65年ぶりの「トリプルスリー」対決(10月28日)
シーズン中に打率3割、本塁打30本、盗塁30個達成の「トリプルスリー」。プロ野球の歴史でも10人しかいない大記録を成し遂げた山田哲人と柳田悠岐の両名が激突する今年の日本シリーズ。27日行われた第3戦はスワローズ・山田が3打席連続の本塁打というシリーズタイ記録でチームを初勝利に導いた。左翼スタンドに突き刺さった3本のアーチは、これまで余裕の戦いぶりを満喫していたホークスファンの度肝を抜いた。
一方、もう一人のトリプルスリー・ホークスの柳田悠岐は、ここまで打率一割台と苦しんでいる。...
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シーズン中に打率3割、本塁打30本、盗塁30個達成の「トリプルスリー」。プロ野球の歴史でも10人しかいない大記録を成し遂げた山田哲人と柳田悠岐の両名が激突する今年の日本シリーズ。27日行われた第3戦はスワローズ・山田が3打席連続の本塁打というシリーズタイ記録でチームを初勝利に導いた。左翼スタンドに突き刺さった3本のアーチは、これまで余裕の戦いぶりを満喫していたホークスファンの度肝を抜いた。
一方、もう一人のトリプルスリー・ホークスの柳田悠岐は、ここまで打率一割台と苦しんでいる。9月26日のマリーンズ戦で、左膝裏に死球を受けて途中退場。そのまま残り試合も欠場した柳田。クライマックスシリーズから復帰したものの未だ負傷の影響が心配なところだ。
山田と柳田の今季の成績はともにずば抜けた素晴らしい数字だが、大きな違いは死球の数。山田の5個に対し、柳田は実に14個もの死球を受けている。これは山田がプロ入り後の4年間で受けた数よりも多い。この代償が日本シリーズでどう出るか?柳田には何とかベストなパフォーマンスを発揮してもらいたい。
ちなみにセ・パのトリプルスリーが日本シリーズで対戦するのは、第一回(1950)の松竹・岩本義行と毎日・別当薫以来65年ぶりのこと。この時は打率5割を叩き出した別当がシリーズ初代MVPに輝いている。果たして今年の対決はどんな決着を見せるのか。最強打者同士の熱い戦いはまだまだ続く。
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トゥーランドットの歌唱とともに(10月27日)
フィギュアスケートのリンクに新星が歴史を刻んだ。グランプリシリーズ開幕戦・アメリカ 大会で、初出場の宇野昌磨(17)が、銀メダルを獲得。デビュー戦で2位の記録は、あの浅田真央以来の快挙である。
昨シーズンはジュニア世界選手権を歴代最高得点で初優勝。今回のプログラム使用曲はその時と同じ歌劇「トゥーランドット」(誰も寝てはならぬ)あの荒川静香がトリノ五輪で日本人初の金メダルを獲得した時の曲としてお馴染みだ。...
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フィギュアスケートのリンクに新星が歴史を刻んだ。グランプリシリーズ開幕戦・アメリカ 大会で、初出場の宇野昌磨(17)が、銀メダルを獲得。デビュー戦で2位の記録は、あの浅田真央以来の快挙である。
昨シーズンはジュニア世界選手権を歴代最高得点で初優勝。今回のプログラム使用曲はその時と同じ歌劇「トゥーランドット」(誰も寝てはならぬ)あの荒川静香がトリノ五輪で日本人初の金メダルを獲得した時の曲としてお馴染みだ。当時とは異なり、フィギュアスケートでは、昨シーズンから歌詞(ボーカル)入りの楽曲の使用が認められた。このプッチーニ作曲のアリアも、素晴らしいオペラの歌声とともにスケーターの演技を彩ってくれている。
「トゥーランドット」の歌詞の中には「誰も私の名前を知る者はいない」という一節がある。このオペラは、求婚してきた王子の名前を解き明かすため、トゥ-ランドット姫が「それまで誰も寝てはならぬ」と家臣に命じる物語なのだ。
宇野の次回GPシリーズ出場は第4戦フランス・ボルドー大会。日本との時差は8時間。日本での生中継は深夜ということになる。もはや宇野昌磨の名を知らぬ者はフィギュアの世界にはいまい。この若き王子の華麗な舞を目撃する誰もが「眠ることを許されない」ことだろう。
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理想のオープニングセレモニーとは何か(10月25日)
日本シリーズ始球式のマウンドには“時の人“五郎丸歩選手の姿があった。ラグビー日本代表の躍進も記憶に新しいなか、地元福岡市出身のヒーローの登場に球場は沸き立った。見栄えのする鍛え上げられた身体、テレビ欄では「五郎丸が始球式に登場!」などと煽っていた。果たしてどんな投球を見せてくれるのか期待が高まったが、彼は淡々と球を放り、キックの際に見せる、両手を組んだ独特の「五郎丸ポーズ」は行わなかった。「本当に思い出になります。...
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日本シリーズ始球式のマウンドには“時の人“五郎丸歩選手の姿があった。ラグビー日本代表の躍進も記憶に新しいなか、地元福岡市出身のヒーローの登場に球場は沸き立った。見栄えのする鍛え上げられた身体、テレビ欄では「五郎丸が始球式に登場!」などと煽っていた。果たしてどんな投球を見せてくれるのか期待が高まったが、彼は淡々と球を放り、キックの際に見せる、両手を組んだ独特の「五郎丸ポーズ」は行わなかった。「本当に思い出になります。神聖な場所なのでルーティン(ポーズ)は必要ないかなと」そうインタビューに応えた五郎丸選手。ボールは大きく弧を描き、“大暴投”となってしまったのはご愛嬌というところだろう。
近年、プロ野球の始球式にタレントやアイドルなど旬の人間を選ぶ傾向がある。確かに視聴率の向上や若者人気の獲得は大切なことではあるかもしれない。しかし、以前の日本シリーズでは、始球式を務めたお笑い芸人が延々と持ちネタを繰り広げるなか、先発投手が待たされたこともあった。その投手は、緊張感を保ち続けるのは容易ではなかったと告白している。
五郎丸選手の「ルーティンポーズ」は、キックの際に集中力を高めるための儀式だ。彼は同じアスリートだからこそ、自らのパフォーマンスよりも、試合を前にした選手の集中力を大切にすることを選んだのではないか。その姿勢は始球式の在り方にも一石を投じたように思う。
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未来への遺産(レガシー)を(10月22日)
国立競技場にあった大きな石碑をご存じだろうか。1943年、明治神宮外苑競技場で行われた戦地に赴く学生たちを送る出陣学徒壮行会。戦後その関係者が建立した「出陣学徒壮行の地」碑である。マラソンゲート付近に建立されていたその石碑は昨年姿を消した。
壮行会から72年目にあたる21日、元学徒や遺族らによる追悼式が都内で開かれた。実はこの碑は2020年東京五輪開催に伴う国立競技場の解体工事のため、一時的に秩父宮ラグビー場の敷地内へ移転されているのだ。...
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国立競技場にあった大きな石碑をご存じだろうか。1943年、明治神宮外苑競技場で行われた戦地に赴く学生たちを送る出陣学徒壮行会。戦後その関係者が建立した「出陣学徒壮行の地」碑である。マラソンゲート付近に建立されていたその石碑は昨年姿を消した。
壮行会から72年目にあたる21日、元学徒や遺族らによる追悼式が都内で開かれた。実はこの碑は2020年東京五輪開催に伴う国立競技場の解体工事のため、一時的に秩父宮ラグビー場の敷地内へ移転されているのだ。新国立競技場には再び設置される予定だという。
太平洋戦争の戦況悪化に伴い、徴兵を猶予されていた学生たちも戦地へと駆り出されていった。命を落とした前途ある若きアスリートたちも多い。壮行会の5日前に行われた出陣学徒らによる野球の早慶戦は、「ラストゲーム 最後の早慶戦」として映画化、舞台化されている。
オリンピック開催の大きな意義は未来への遺産(レガシー)である。建設方法を巡って迷走した新・国立競技場。平和の祭典であるオリンピック・パラリンピックのために私たちは何をすべきなのか?貴重な未来へのメッセージを託された碑(いしぶみ)を蔑ろにするようなことだけは断じてあってはならないだろう。
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スポーツに「神の目」は必要か(10月21日)
誰の目にも明らかな誤審だった。18日、ドイツ・ブンデスリーガ第9節。日本代表・清武、酒井(宏)らを擁するハノーファーと、大迫、長澤の所属するケルンの対戦。清武弘嗣の放ったコーナーキックが、MFレオンの「右腕」でゴールに押し込まれたのだ。ケルン側の猛抗議にも関わらず得点が認められ、結局1-0でその“神の手ゴール”が決勝点となってしまった。
サッカーに限らずどんなスポーツにも誤審は発生する。だが、それが時には取り返しのつかない悲劇を生みこともある。...
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誰の目にも明らかな誤審だった。18日、ドイツ・ブンデスリーガ第9節。日本代表・清武、酒井(宏)らを擁するハノーファーと、大迫、長澤の所属するケルンの対戦。清武弘嗣の放ったコーナーキックが、MFレオンの「右腕」でゴールに押し込まれたのだ。ケルン側の猛抗議にも関わらず得点が認められ、結局1-0でその“神の手ゴール”が決勝点となってしまった。
サッカーに限らずどんなスポーツにも誤審は発生する。だが、それが時には取り返しのつかない悲劇を生みこともある。13年前、高校サッカー選手権の岡山県決勝・作陽対水島工業。主審が作陽の決勝ゴールを見逃してしまった結果、PK戦の末に優勝した水島工業のイレブンは苦悩。退部した一部の選手が、全国大会出場を辞退するという事態にまで発展し、社会問題となった。それから10年後に両校の元選手がOB戦を行う機会があり、彼らはようやくその心の傷を癒すことができたのである。
いまや野球やテニス、バレーボールなどでもビデオ判定が導入され始めている。サッカーでもまさに今回の騒動のあったドイツで、今年からDFB杯決勝でゴール判定システムが導入されたばかりだった。しかし一方では昔から「誤審もサッカーのうち」などという言葉もある。これは今後も議論を呼ぶ課題だろう。
最後にあるスポーツ指導者が語っていたこんな言葉を紹介したい。「誤審は審判の“エラー”なんだ。誰でもミスは犯す。責めてはいけない」
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