【ベビーメタルの魅力】
『The One』について、あれこれ考えてみたこと②(第41回)
イギリス巡業で計8回にわたって行われたのBABYMETALによるレッチリへのサポートアクト、つまり前座公演も無事に、というより盛況のうちに終わり、というより、これはもう大勝利だった。
当初口ポカン、まさに「なんじゃこりゃ」状態だったレッチリのファンも、回を重ねるごとに熱が増していき、後半は熱狂につぐ熱狂。 12月14日にマンチェスターで開かれた公演では、共演も果たし、彼らと「Nobody Weird Like Me」をパフォーマンスしたらしい。...
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イギリス巡業で計8回にわたって行われたのBABYMETALによるレッチリへのサポートアクト、つまり前座公演も無事に、というより盛況のうちに終わり、というより、これはもう大勝利だった。
当初口ポカン、まさに「なんじゃこりゃ」状態だったレッチリのファンも、回を重ねるごとに熱が増していき、後半は熱狂につぐ熱狂。 12月14日にマンチェスターで開かれた公演では、共演も果たし、彼らと「Nobody Weird Like Me」をパフォーマンスしたらしい。 https://www.barks.jp/news/?id=1000136194 (ホントなのかな、これ? 動画が見つからないので不確定情報ということで…。) なんてこともあってかあらずが、そしてついに最終日にはドラムのチャド・スミスが白塗り白装束でBABYMETALと一緒にPainkillerやBreaking The Lawをコラボレーション! 青山神の超高速、超正確なドラミングに比べると音数がだいぶ少ないようにも聴こえたが、そのパワフルなドラミングはさすがだった。そしてさらに演奏終了後にはなんとケーキを抱えて再登場し、SU-METALにバースデーケーキをプレゼント。予想外の事態に口開けっ放しのすうちゃんがことのほか可愛かったし、会場一体となった「ハッピーバースデー トゥ スウメタ~ル」の大合唱は本当に感動的だった。 BABYMETAL with Chad-metal - Painkiller, Breaking the Law, and birthday cake! at The O2 Arena, London https://www.youtube.com/watch?v=xm8JYDiPfAc これはとても前座の扱いではないよね。レッチリ自身が自分たちのファンに向けて「この子たち、面白いでしょ、すごいでしょ」といいたいためのサポートアクトだったんだと合点がいったし、その思惑通り、BABYMETALの存在はレッチリファン、のみならず、ROCKコミュニティの中に深く深く浸透していったようだった。 METALからROCKへ、そしてゆくゆくは全音楽ジャンルへ、さらにその彼方へ… それがBABYMETALのめざす『The One』なのか…? それはそれでとてもおもしろいし、ワクワクもする。 ただ『The One』というイメージは音楽カテゴリーの範囲に留まらない気がする。 ではそもそもこの楽曲は、誰に向けてのメッセージなのか? いうまでもなく、一次的にはBABYMETALのライブ会場に来ている観客、そしてCDやDVD、Blu-rayで楽曲を楽しんでいる視聴者、世界中に広がるファンに向けてのメッセージなのだろう。 何度もいっていることだが、BABYMETALのファン層は幅広い。子供からお年寄り、男女、国、民族を超えて、世界中に広がっている。それらすべてのBABYMETALファンに向けて、「すべての違いを乗り越え、BABYMETALの旗の下、みんなでひとつになろう」、それがこの曲に込められた一次的なメッセージだと思う。 しかしその対象は、BABYMETALというファン層を超えて、世界の隅々に住まうすべての人に向けてのメッセージでもあるだろう。 「世界がもし100人の村だったら 」ではないが、進化した交通網やインターネットが普及したのにもかかわらず、今日の世界はかつてないほど細分化し、統合性を失っているように感じている。 細分化は分断化を生み、分断化は孤立化を生み、人は閉塞の中で独善を育む。 それは国際政治だけでなく、民族、文化、性差、文化などあらゆる方面に広がっているように思える。たとえば音楽やアニメなどのサブカルといったきわめて狭い世界でも同様だ。 ♪どれも同じだよ みんなそう言うけれど なんかちょっと違うよね?♪ 他のカテゴリーや作品に対しては、ことさらに異質性を荒捜し ♪なんか ちょっと やっぱ ちょっと 違うー♪ と、小さなコミュニティの中で仲間同士寄り添い、隣接領域に対してまさに近親憎悪のような罵り合いを繰り広げる。 こうしてあらゆるカテゴリーが蛸壺化し、さらに蛸壺の隅をつつくような偏狭な叩き合いにより、蛸壺そのものがまるで細胞分裂のように枝分かれし、さらに極小化していく。 ♪なにか違う なにか違う どれが違う どれが違う あれも違う これも違う かなり違う かなり違う…♪ 人はその狭隘な環境の中で他者を厳しく遮断し、自己満足的な快楽に身を委ね、まったき幸福を得る。グローバル世界の行く末には、そんな孤立化した社会や個人が生まれてしまうのだろうか。 そんな世界の趨勢に異議を唱えるキーワード、それが『The One』になり得るのではないか。さまざまな違いを乗り越え、失われた統合性というまったき世界をもう一度取り戻すための試み。 それはいってみれば、ディズニーランドのアトラクション『It’s a Small World』に登場する理想の世界とも似ている。 https://www.youtube.com/watch?v=3kqayOVeOfM 話は飛ぶが、先日放映されたテレビ東京の『YOUは何しに日本へ』という番組で熱烈ファンの23年さんを追いかけていたが、その時バックに提供WOWOWとか、提供Amuseとかクレジットされた映像や楽曲がふんだんに流れていた。手間も暇も、お金もかかっただろうなぁ、とテレ東の本気を見た。しかもそのコーナーだけで20分前後。ゴールデンタイムでこれほど長くBABYMETALを扱ったのは、たぶんはじめて、まさに快挙といえるだろう。そして最後の最後に流れたのが、まさに『It’s a Small World』だった。同じようなことを感じている人はいるんだな、とちょっと嬉しくなった。 閑話休題。 これまでのHR/HMのような声高な対抗的メッセージではないが、BABYMETALの楽曲のいくつかは、今という時代と未来を深く見通したメッセージが込められているように感じる。 別冊カドカワのDirectT04号で、東大大学院の田中純先生がBABYMETALをして『懐かしい明日』と評していたが、つまりそれだけBABYMETALはかつてのHR/HMのように時代に対する強いインパクトと破壊力を秘めている、ということなのだろう。 BABYMETALの挑戦は続く。 とりあえずは来年早々に予定されているMETALLICAのサポートアクト。しかも場所は韓国ソウル。すでに一部で炎上の気配も見せているが、常に戦いの場に身を置くBMチームだからこそ、2017年のBABYMETALにも目が離せない。期待もいやが上にも高まっていく。
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『The One』について、あれこれ考えてみたこと①(第40回)
2016年4月2日、イギリスのWembleyで行われた、日本人初となったBABYMETALのライブコンサート。終盤も押し迫った最後から二曲目の『The One』のシンガロングでは観客席で約20カ国の大小さまざまな国旗が振られ、「We are The One」のメッセージが巨大なホールを平和への想いと歓喜で満たした。
この演出は、とあるスロバキア人の発想だったという。SNSに上がったこのアイデアはあっという間に世界中に拡散し、ライブ当日にはそれぞれの国の旗を持ち込んだ観客により、巧まざる巨大な『The One』コールが巻き起こった。...
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2016年4月2日、イギリスのWembleyで行われた、日本人初となったBABYMETALのライブコンサート。終盤も押し迫った最後から二曲目の『The One』のシンガロングでは観客席で約20カ国の大小さまざまな国旗が振られ、「We are The One」のメッセージが巨大なホールを平和への想いと歓喜で満たした。
この演出は、とあるスロバキア人の発想だったという。SNSに上がったこのアイデアはあっという間に世界中に拡散し、ライブ当日にはそれぞれの国の旗を持ち込んだ観客により、巧まざる巨大な『The One』コールが巻き起こった。非常に感動的な場面だった。後日、このスロバキア人にAmuseから感謝のMailが送られたとか。 会場の様子は、発売されたばかりの新しいライブアルバム「LIVE AT WEMBLEY BABYMETAL WORLD TOUR 2016 kicks off at THE SSE ARENA, WEMBLEY」にも納められているので、ぜひあの感動を再体験したい。 さて。 音楽、とくにROCK系の音楽が、時代に対して強いメッセージを発した時代がかつてあった。 1969年8月15日(金)から17日(日)までの3日間、アメリカのニューヨーク州サリバン郡ベセルで開かれた、音楽史に残る大規模な野外ロックコンサート“Woodstock”。30組以上のフォーク歌手やロック・グループなどが出演し、入場者は40万人以上。このコンサートは、アメリカにおけるカウンターカルチャー(対抗文化)を象徴する歴史的イベントとして、ロック史に深く刻みつけられている。 当時ROCKは、時代と熱くシンクロしていた。 多くのバンドが政治や社会について熱いメセージを発し、時代を動かした。当時のベトナム反戦や公民権運動、人種差別撤廃の盛り上がりに、ロックミュージックが一定程度の役割を果たしたことは疑いないだろう。 そしてこうした大衆運動には、具体的なメッセージのフレーズも求められる。 60年代から70年初頭にかけて、とくにヒッピーの間から自然発生的に生まれたキャッチフレーズが『LOVE & PEACE』だった。一般にはジョン・レノン&オノ・ヨーコのあのベッドイン時の記者会見で発表されたといわれているだが、実質的にはWoodstockのようなロックコンサートで、多くの観衆がいつの頃からか『LOVE & PEACE』と叫んでいた。 『LOVE & PEACE』…愛と平和。改めて今から考え直すと、なんとも青臭くて甘っちょろいスローガンではある。でも当時はアメリカでもさまざまな抗議集会で警官と激突した若者が血を流したり命を落としたりと、なにかと殺伐とした時代だった。 だからこそ、一見のんびりとしたフレーズに多くの人々は平和への夢を託したのではないだろうか。 そんな時代を象徴する楽曲として、たとえば1970年5月4日、オハイオ州ケント大学で起きた州兵による4人の学生殺傷事件への抗議曲『Ohio』(Neil young)などもあった。 「ohio- neil young」 https://www.youtube.com/watch?v=hkg-bzTHeAk かつては“ROCKで世界を変える”と本気で信じられた。それは様々な紆余曲折の末、沈静化、つまりは諦念化していったのだか…。 そして同じ文脈で、ロックではなくパーソナル・コンピュータで世界を変えることに夢を追い、実際に具現化したのが、ピッピー出身のスティーブ・ジョブスという若者だった、とこれはまぁ余談。 さて国内に目を向けると、“異議申し立て”運動としてのカウンターカルチャーはついに日本に根付くことはなかったが、ロックではなくフォークの前期に、一瞬だけ光芒を放った時期があった。その一人が岡林信康だ。 フォークの神様とも呼ばれる岡林が歌った楽曲は、愛だの恋だのではもちろんなく、とくにその詩世界はきわめて社会派的、問題提起的、ある意味では人生哲学的だった。その端的な例が、1970年、いまや伝説となっている中津川フォークジャンボリーでのステージだった。 「HAPPY END はっぴいえんど 岡林信康 私たちの望むものは」 https://www.youtube.com/watch?v=kjAI9V1G6bA フォークのコンサートのはずなのに、ステージで繰り広げられる熱いパフォーマンスはまるでロックだ。まったくもって凄いの一言。 自分としてはまだこの頃は子供だったのでリアルタイムで参加することはできなかったが、今から見直してみても、その熱量に驚く。 ちなみにこの時バックバンドをつとめていたのが、日本ではじめて日本語でロックを歌ったはっぴいえんど(細野晴臣、故・大瀧詠一、松本隆、鈴木茂)だった。いずれもその後日本の音楽界に重要な足跡を残した人ばかりだ。細野晴臣、故・大瀧詠一しかり。鈴木茂もアレンジャーとして様々な歌手、バンド力を添えている。とはいえ、松田聖子をはじめアイドル歌手の歌詞を量産し超売れっ子になった松本隆の出世ぶりには驚いてしまう。 ちなみに当時生ギターからエレキギターに移行するミュージシャンは多かったのだが、ディランも、岡林も、そういえば吉田拓郎も、当初は客から相当なブーイングを食らっていた。エレキとは反自然主義であり商業主義に堕したと見られたのかもしれない。大衆は案外保守的なのである。でもほんと、当時は演り手も客も熱かった…。 ただし日本においては、並行して盛んだった学生運動の敗北とともに、異議申し立てとしてのフォークも急速に下降していく。代わりに若者の間で流行ったのが、いじましくもジメジメとした、視界3メートル限定の、いわゆる四畳半フォークだった。 しかしその四畳半フォークも、おしゃれでポップなニューミュージックによって一掃され、今日のJ-POPへと連なっていく。 ロックに通じる熱い魂は、メインストリームではないところで、ほそぼそと生き残っていく。それはたとえば、個人的な嗜好を言わせていたたげればシーナ&ロケッツやRCサクセションだった。 メインストリームでも若者のやるせない焦燥感や反逆の心を楽曲に込めた例も時々は浮かび上がっていたけれど、それも盗んだバイクで走る程度の、かわいい“反逆”だった。 今日のように不幸や不満の源泉が、多層化された権力構造や持ち合い、もたれ合いの相互よりかかり構造の中に潜んでいると、なかなか敵が見えにくい。だから以前のように、明確な反抗的メッセージソングは作りにくいし説得性を持つのは難しいのだろうな、と想像する まさに歌は世に連れ、ということなのであろう。 前置きが長くなった。『THE ONE』である。 ベビーメタルの楽曲には、メッセージ性の強い作品がいくつかある。 それはたとえば、I.D.ZやRoad of Resistance、そしてTHE ONEだと思う。 では『THE ONE』に込められたメッセージとはなんだろうか? 国、宗教、民族、貧富の差などにより、人類はかつてないほど分断化されているように見える。資本主義は行き詰まり、民主主義は形骸化し、人々はあらゆる面で希望を失っているようだ。そして破れかぶれの突破口を求めて、大衆はトランプを当選させてしまった。 そんな時代だからこそ、『THE ONE』という言葉が今、大きな意味を持ってくる。 (つづく)
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Rob爺 から~の RHCP(第39回)
今年7月18日に開催された『AP Music Awards』におけるRob HalfordとのCollaboration。素晴らしいライブだったし、大好評ではあったのだか、Rob Halfordの身になって、このコラボがどういう意味を持つのか、ベビメタロスの暇にあかせて、つらつら考えてみた。
BABYMETALとの競演の話が来た時、METALの神様、METALの伝説であるRob Halfordはなにを考えたのだろう。...
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今年7月18日に開催された『AP Music Awards』におけるRob HalfordとのCollaboration。素晴らしいライブだったし、大好評ではあったのだか、Rob Halfordの身になって、このコラボがどういう意味を持つのか、ベビメタロスの暇にあかせて、つらつら考えてみた。
BABYMETALとの競演の話が来た時、METALの神様、METALの伝説であるRob Halfordはなにを考えたのだろう。 アイドルグループとのコラボに、抵抗はなかったのだろうか。伝説の名を汚すかもしれないという危惧はなかったのだろうか。 まず前提として、ここ最近のMETALの凋落をなんとかしたい、という思いがつねづねあったのでないか。そこに彗星のごとく登場したのがBABYMETALである。その斬新さには、Rob さんも大いに驚いたのに違いない。「彼女たちならこのMETALの閉塞状況を突破できるのではないか」そう感じたと勝手に想像する。 しかし当時のMETALのファン層は、BABYMETALに対して賛否両論真二つ。熱狂的な人気を集める一方で、BABYMETALに対する罵詈雑言も溢れかえっていた。しかし「生まれたばかりのこの新しい火を絶やしてならない」、Robがそう考えたとことは十分あり得る。 そこに降ってわいたような競演話。すでに伝説としての地位を確立していた彼にとって、BABYMETALとの競演は、METALコミュニティに対してお墨付きを与えることに繋がる絶好の機会と捉えたのではないか。もちろんリスクはある。BABYMETALへの非難が自分にも飛び火して、中傷の嵐が巻き起こる、というリスクだ。 さらに懸念されるリスクが、もうひとつあった。年齢である。Rob Halfordはすでに60代後半。まだ10代の才能あふれる女の子たちと同じステージに立てば、老醜を晒すのではないか。そんなことも頭をよぎったのではないか。 しかし彼は決断する。 ライブ当日。Rob HalfordとSU-METALのVocal合戦は、本当に素晴らしかった。老いたりといえどもやはり生きる伝説、Robのパワーあふれる声は、かつてJUDAS PRIESTのVocalとして時代を切り開いたパワーを蘇らせてくれた。しかし一方で、SU-METALその才能、若さ、パワーあふれるVocalは、それ以上に素晴らしかった、互角、いやそれ以上の出来だった。 しかし観衆にそう感じさせることも、Robの狙いではなかったのか。 「これからのMETALは彼女たちのものだ」 「後は任せた」 そんなRob Halfordの想いが伝わってくるような、METALカルチャーの伝承が成された歴史的なライブだったのだ。まさにMETALの正統後継者としてBABYMETALを観衆にアピールできた、絶好の機会となったのだ。 ライブ終了後のWebメディアのインタビューが動画でアップされていたが、Robさんの佇まいは孫娘を優しく見守る好々爺そのもの。家業を継ぐ頼れる後継者を見つけほっと安堵の老齢中小企業経営者、のようだった(笑)。 ※その後のインタビューで、絶賛の声が集まった一方、やはりヘイターから結構な非難が押し寄せたらしい。だが、「自分は正しいと思ったことするだけ」と一笑に付したのもRobらしい。格好いい爺さんである。 参照: Rob Halford sobre cantar con BABYMETAL y las cr?ticas de sus fans. https://youtu.be/mwgij9zrtc0 ♪ ♪ ♪ で、この12月からRed Hot Chili Peppersに帯同してのイギリスツアーである。 レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、略してレッチリ、RHCP。 申し訳ないが、名前は聞いたことがある程度で、レッチリのことは実はよく知らない。そこでまたいろいろとググってみた。以下、超簡略版の要約。 Red Hot Chili Peppersは1984年にデビューしたアメリカのロッグバンド。1991年 、5枚目のアルバム『Blood Sugar Sex Magik』が全世界レベルでブレイクし、シングルカット『Under The Bridge』が初の全米1位、『Give It Away』はグラミー賞ハードロック部門最優秀シングル賞に輝く。 1999年に発表したアルバム『Californication』のシングルカット曲『Scar Tissue』で2度目のグラミー賞。2002年には『By the Way』で、アルバムチャートでイギリスをはじめ多くの国で1位を獲得する。 続く2006年 には『Stadium Arcadium』で初のアメリカアルバムチャート1位、3度目のグラミー賞を受賞。さらに全世界24ヶ国で1位を獲得し、日本でも史上初の初登場1位を獲得。先行シングル『Dani California』とアルバム収録の『Snow ((Hey Oh))』は、当時日本で公開され話題を読んだ映画『デスノート』、『デスノート the Last name』の主題歌としても採用され大ヒットする。その後2009年と2016年 にアルバムを発表し、RHCPはまさに揺るぎない人気を誇る大物Rロックバンドとして君臨している。 全世界でアルバムもシングルも何度も1位にチャートインし、グラミー3度受賞という実績はたしかに凄い。 ちなみに『デスノート』の主題歌になったことで、日本でも当時の小中学生の人気を集めたとか。この映画は自分も観たけれど、松山ケンイチの怪演ぶりに目を奪われてしまい、主題歌までは気が回らなかったなぁ(苦笑)。 レッチリをジャンル史的に探ってみると、従来のハードロックにファンクやパンク、ラップなどを組み合わせた新規性が受けたとのこと。元祖ミクスチャーバンドといえそうだ。ただいくつか曲を聴き直してみると、普通のロックという印象(ファンの人、すいませんね)。それだけロックにいろいろな要素を加えることは、いまでは当たり前になったということなのだろう。ポップ感もあるし、人気になったのもうなずける。 ただそれだけに当時の流行り曲という印象も強い。だからこそ当時の青少年少女たちの心を熱くしたのだろうが、ピークは90年代前半から2000年代前半。個人的にはバブル崩壊で右往左往していたので、じっくり洋楽を聞く余裕はなかった時期だ。 ただ当時のロック全般にいえることだが、本来ロックが持っていた強いメッセージ性や攻撃性が足りない。そうした特徴はみなMETALに継承されてしまったわけで、いわば当時のROCKはみな出がらし、というのは言い過ぎかもだが、同じようなことを繰り返していた、という印象が強い。そのなかではわりと元気が良かった、新しいことに挑戦していた、のがレッチリだったのだろう。 だから当時の若者、いまの30代から40歳前後の人たちにとっては、青春を彩ったバンドとして深く心に刻み込まれているようだ。 そんなロックファン層に向けての、BABYMETALとのコラボである。世代は重なるがジャンルはやや異なる。ROCKとMETAL、BABYMETAL陣営にとっては、お隣ではあるがまたまた新しいジャンルへの挑戦である。 それにレッチリにとっては、予想以上のいいタイミングとなった。 コラボ発表の時点では、大物が新人を招待する、という余裕のスタンスだったが、東京ドームを経て、BABYMETALは現在世界でもっともパワフルで勢いのあるバンド(ユニット)であることを証明した。このタイミングで競演したら、けっこうな観客動員が見込めるのではないか。逆に赤唐辛子は食われちゃうんじゃないかという危惧も生じるが、お客さえ入れば御の字だろう(笑)。 それに今回のライブ会場はドームではなく、3万人前後収容可能なスタジアムクラス。海外でこの規模のライブはBABYMETALにとってもはじめてだから、今後に向けたいい経験となるにちがいない。 一応前座ではなくスペシャルゲストという名目だけれど、実際のライブはどうなるのか? いろいろな意味で、楽しみである。 そして近い将来、本当の本物とのコラボまで期待してしまう。METALならメタリカだし、本丸のROCK界に乗り込んで、ゆくゆくはColdplay、MUSE、U2あたりと対バンしてほしい、そんな妄想が膨らむのも、BABYMETALだからこそ、なのだから。 参照: Red Hot Chili Peppers - Dani California [Official Music Video] https://youtu.be/Sb5aq5HcS1A
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【番外編】東京DOMEに行ってきた②(第38回)
ライブ中、3姫は円柱のてっぺんから平場のステージ、そして三方向に伸びた花道を登ったり降りたり、行ったり来たり、まさに縦横無尽のステージング。
舞台演出も、爆音とともに炎が吹き上がり、照明やレーザー光が複雑に交差し、円形のステージが360 度回転し、巨大ディプレイが会場の隅々にプレイの様子を映し出していた。そして最後はライト搭載のネックコルセットが白く(初日)、赤く(2日)会場を染めた。 そしてなにより、それらド派手な演出を凌駕する、3姫4神の圧倒的なプレイ。...
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ライブ中、3姫は円柱のてっぺんから平場のステージ、そして三方向に伸びた花道を登ったり降りたり、行ったり来たり、まさに縦横無尽のステージング。
舞台演出も、爆音とともに炎が吹き上がり、照明やレーザー光が複雑に交差し、円形のステージが360 度回転し、巨大ディプレイが会場の隅々にプレイの様子を映し出していた。そして最後はライト搭載のネックコルセットが白く(初日)、赤く(2日)会場を染めた。 そしてなにより、それらド派手な演出を凌駕する、3姫4神の圧倒的なプレイ。より力強く、より凄まじく、より華麗琉美に展開される3姫たちのパフォーマンスは、圧巻の一言だった。 さらに豪華な演出と華麗なパフォーマンスのシナジーにより、ステージから観客に向かって放出れるエネルギーもまた凄まじかった。そしてステージからのエネルギーと合流し、呼応し、渦巻きのように舞い上がり降り注ぐ5万5000人のC&R。 やはり5万5000人という数は、すごい。しかも全員がファンたち。 これまで大きなフェスで数万人という観衆の前でライブしてきた経験農豊富なBABYMETALだが、フェスはあくまでフェス。初見や様子見のお客さんも多く、騒いでいるのは前の方の観客だけ、というのが大方だ。 しかし今回の5万5000人は、ほぼ全員がコアなファン。 中央のステージに熱狂し、力いっぱいC&Rの雄叫び(一部雌叫び)をあげる観客たちのパワーはすさまじかった。 うまい、すごい、かわいい、かっこいい、音でかい、声きれい、楽しい、微笑ましい、もうわけわからない。この全方位の多幸感は、まさにBABYMETALならでは、だろう。 まさに壮絶。空前絶後。前代未聞。唯一無二。 新曲ラッシュだった1日目に比べて、2日目は既存曲が多かったので新鮮味にかける、どうせおまけなのよね、と当初はいじけ気味だったが、2日とも参戦したファンの声を聞くと、2日目のほうがステージも観客もはるかにパワフルだったとのこと。 そういえばと思いだしたのが、武道館のRED Night。以前MOAMETAL(だっけ?)が「今の力でもう一度武道館を演りたい」といっていた。その想いが、2日目に集約され、爆発したのかもしれない。 結果として2日目のライブは、かつてない盛り上がりを見せ、大大円の末に終結。参戦してよかった、と思ったが、でも「Tales of the Destinies」はやっぱり見たかったな。次回に期待。 とにもかくにも、今回のBABYMETALの2Daysライブは、舞台装置、演出、楽曲、歌、ダンス、演奏、個々のパフォーマンスすべての面において、日本の芸能エンタメの世界で、間違いなくNO.1だった。確信を持ってそう言い切ってしまえると思う。 いや日本だけでない。ウェンブリー・アリーナのライブアクトでの大成功後、BABYMETALは、今年6月にはイギリスの音楽専門誌「Kerrang」が主催する「Kerrang! Awards 2016 」で「BEST LIVE BAND」賞を、9月にはユーザーの投票で決まる「AIM Independent Music Awards」の「 The Association of Independent Music」で「BEST LIVE ACT」賞を、相次いで受賞している。 つまり、BABYMETALは当該ジャンルでは、すでに名実ともに 世界一のライブバンド として、確固たる地位を築き上げているのだ。 まぁイギリスだし、HR/HMだし、日本ではほとんど伝えられることはなかったが、世界的にライブ・パフォーマンスの凄さはすでに実証されてたということ。 そしてWembley以降、世界各国を回って得た膨大な経験値を土台に、母国日本の11万人の観衆に向けてその圧倒的なクオリティを全力でぶちかました。いやその向こうにあるアイドル界や芸能界やマスメディア界に見せつけた、とさえいえるだろう。 だからだろうか、今回はさすがに朝の情報番組などでも取り上げられていた。 フジテレビ めざましテレビ「ガガも絶賛ベビメタ」 TBS あさチャン!「親父熱狂!ベビメタ」 日テレ ZIP!「BABYMETALに外国人熱狂」 などなど。 ただTBSの「親父熱狂!」にはやや抵抗があるが、まぁ以前からBMのファンは中高年や高齢者が多いのは事実。でもテレビ画面のフレームでそこだけ切り取られると、かなり違和感があった。 特に今回のライブは、外国人もコスプレした若い女の子も多かった。5歳前後のコスプレ幼女もチラホラいた。まぁパパにおねだりしたんだろうが。いやパパからおねだりされたのかな? それにわざわざこのライブのためだけに来日したイギリスの女の子たちもいたし、ファンの間で「23年」さん※と呼ばれているおっさんも来てた。 ※2014年末にNHKで放映された『BABYMETAL現象~世界が熱狂する理由~』に登場したファンの人。「俺は23年前からメタルファン。ファスにもたくさん行った。でもBABYMETALほど楽しかったライブはマジでなかったぜ!」 という一言が日本のファンの間でも印象に残り、その後のいろいろなフェスや世界各国の単独ライブでもしょっちゅう顔を見せるので、いつの間にかプチ有名人になっている。そして今回の東京ドームにも参戦。来日した23年さんに、なんとテレ東の『YOUはなにしに日本へ』という番組撮影クルーが張り付いていた(ご本人が撮影されている様子をTwitterで投稿していた)。そのうち放映されるでしょうね。楽しみです。 閑話休題。 今回の東京ドームの客層は、いつものように中高年男性が主体ではあるが、外国からのファンも多かったし、女性もそこそこいた。とくにコスプレした若い女性が多いかった。世代として凹んでいるのが、十代の若い男性と40代以降の女性。最近の若い男の子たちはMETALとかROCKとか聴かないのかな? 40代以降の女性は、やっぱりジャニーズなのかな? ♪ ♪ ♪ なにはともあれ、今回のライブでBABYMETALは、日本の芸能エンタメの頂点にいることを見事に証明した。いや日本だけではない。アイドルでもメタルでもロックでも、世界中見渡してもこれほどのパフォーマンスでライブができるバンド(ユニット)は他にない。 まさにアイドル史どころではない、世界のHR/HM史、いや世界の音楽エンタメの頂点を極めた歴史的なライブだったといえる。 ライブ中、自分はいま歴史が大きく塗り変わる瞬間を目撃している。伝説が生まれる現場に、いま自分は立ち会っているという感動が胸の底から、じわじわと湧き上がってきた。 作られたアイドル、大人が用意したステージで歌って踊っているだけ、といまだに非難する者もいるようだ。しかし周到に用意されたリアル感あふれるライブ、という一見矛盾した混沌世界の彼方に、BABYMETALはいる。そこから現出してくるのは、新しい時代のROCKであり、新しい熱狂を生む新しいエンターテイメントなのだと思う。 ♪ ♪ ♪ 今回のライブでは、プロのミュジシャンだけでなく芸能人やアイドルさんたちも、多数客席にいたらしい。これまでのアイドルや芸能エンタメとは、何もかもが別次元。その圧倒的なパフォーマンスを見て、聴いて、その空気に触れて、なにも感じないという者はいないだろう。 このライブに参戦した者は、そのパフォーマンスと、その裏にある才能と超人的な努力に思いを馳せるだろう。 そしてこう思うのではないか、「このままではいけない」と。 東京ドームに触発されて、日本の芸能エンタメ界も目覚めるかもしれない。 本物こそが熱狂を生み、本物こそが成功を呼び込む、と。 それは音楽シーンだけにとどまらない。東京ドームBefore、Afterで日本人、いや世界のあり様も変わるのかもしれない。 未熟であること、未完成であること、言い換えれば、いい加減で適当で、いつも効率だけを考え、ズルや抜け駆けに終始し、仲間内だけで小さくまとまることに満足して、新しいことにはいつも及び腰で、というバブル以降の日本人のメンタリティを大きく変えるきっかけになるのではないか。 それはたとえば、ひたむきであること、誠実であること、全力を尽くすこと、謙虚であること、つねに高みをめざし続けること…。(我ながら耳が痛い) そんな人の生き方まで変えるほどのパワーを、この子たちは今回のライブで示したのではないか。そんな妄想まで広がるライブだった。 観客の多くを占める中高年の方々から若者まで、随分と励まされ、勇気や元気をもらったに違いない。ただそれだけでなく、彼女たちのひたむきさ、最高をつねに最高で塗り替えていく強い意志と不断の努力を目の前にし、芸能関係者だけでなく、多くの一般人も自身を振り返るきっかけになったのでないか? これからの時代は、本物だけが生き残る。 大事なことは、本気がどうかだけぇ♪ そんな当たり前のことを、そして長らく芸能エンタメが、いや多くの日本人が置き去りにしてきた大切なことをBABYMETALは呼び起こそうとしている。そういったら、大仰すぎるだろうか? 最後に結論。心から満足できました。楽しませていただきました。 ありがとう、BABYMETAL! ※追記 最新ニュースで、BABYMETALがアメリカでアニメ化されるという話が飛び込んできた。これまたびっくり。制作はWarner Bros。担当するのは、あのPUFFYのアニメ化で大成功したチームだという。アメリカの幼年幼女へのアプローチというマーケティング的な意味あいが大きいとは思うが、どんなものが出来上がるのか、楽しみではある。TBSが夜のニュースで流していたのにもびっくりだ。 参照 http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20160929-00000076-jnn-int#contents-body ・訂正 2日目、BLACK NIGHTのSU-METAL転倒事案。先回、MOAに助け起こされたと書いたが、流失映像で確認とすると、手を差し伸べたのはYUIで、でもSUはほぼ一人で(大笑いしながら)起き上がってた。訂正してお詫びいたします。 そしてその際、YUIMETALも足を滑らせたけれど、おっとっと、と踏みとどまり、両手を広げて「セーフ」のアクションをとっていた。咄嗟にこんなあどけない所作ができてしまうところが、さすがにYUIMETALだなぁ、と感心した。いつもYMYと連呼しているドルヲタの方々の気持ちが、少しだけわかった気がした。
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【番外編】東京ドームに行ってきた①(第37回)
凄かった。とてつもなく凄かった。
語る言葉を失ってしまう。 筆舌に尽くしがたい、とはまさにこういう時に使う言葉だと思う。 9月19日、20日の両日。東京ドームで行われたBABYMETALのツアーファイナル。 両日SOLD OUT。収容人数5万5000人、2日間で計11万人という、BABYMETALにとってかつてない最大規模のライブコンサートである。 初日19日に奏でられた調べの中には「ヤバ!」「Amore‐蒼星‐」「シンコペーション」があったという。...
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凄かった。とてつもなく凄かった。
語る言葉を失ってしまう。 筆舌に尽くしがたい、とはまさにこういう時に使う言葉だと思う。 9月19日、20日の両日。東京ドームで行われたBABYMETALのツアーファイナル。 両日SOLD OUT。収容人数5万5000人、2日間で計11万人という、BABYMETALにとってかつてない最大規模のライブコンサートである。 初日19日に奏でられた調べの中には「ヤバ!」「Amore‐蒼星‐」「シンコペーション」があったという。そしてなんといっても「Tales of the Destinies」! 変拍子ありまくり、変調入りまくりの、ライブでは再現不可能といわれたあの曲を完全再現したそうな。まったく驚くしかない。 自分が参加したのは、2日目の9月20日。 そうか、「Tales of the Destinies」、演ったのか。初日に見れた人、裏山杉。 そもそも最初は19日だけの1Dayライブの予定だったのが、瞬殺でソールドアウトしそうだったため急遽2Dayとなった今回のライブ。どうせ2日目はおまけなのよね、と少々いじけた気持ちではいた。 ということで風の予兆高まる20日午後、大雨の降りしきる中、いそいそと東京ドームへと足を運んだ。 会場に到着したのは1時間ほど前。しかし席はみるみる埋まっていき、開演直前にはグラウンドは人で溢れ、3階席もびっしり。6年程前に来た巨人戦より入っているw ステージは1塁、3塁、センターの3方向に花道が敷かれ、グラウンドの真ん中には高さ20メートル、ビル20階建相当(主催者発表)の巨大な円柱セット(天空ステージ)が鎮座している。そして円柱の側面は360度の巨大スクリーン。 席はちょうどバッグネット裏。ステレオ感バッチリで、音的にも期待できそう。 一体これからどんなライブが繰り広げられるのか? いやが上にもワクワク感が増してくる。やだ、ドキドキとまんな~い。 ということで、さて、いよいよ開演。 まずはスクリーン上の骨KOBA-METALから(おそらく)昨日と同じ「2日間で曲被りなし。MC、アンコールいっさいなし」というご宣託が発せられ、轟音とともに定番の「BABYMETAL DEATH」からスタート。やはりBABYMETALのライブはこの曲から始まると盛り上がる。 次曲の「 あわだまフィーバー」では、早くも頭の上に輪っかを作って飛び跳ねる観客たち多数。続く「ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト」では、YUIMETALのダンスを注視するために持参した双眼鏡を握りしめるw 曲終わり、しばらくすると「META! メタ太郎」の呼び声が。観客のどよめきがさらにパワーアップする。やはりセカンドの曲は歓声が高い。そして曲中すうちゃんまさかの「シンギン!」、そしてまさかの5万5000人によるウォーウォーの大合唱。ありゃ、楽しいw いったん間が空いて「怒り」の紙芝居がはじまり、「Sis. Anger」スタート。この曲のダンスを見るのははじめてだ。YUIMOAが客を煽り、会場は今度は「おい!、おら!」の大合唱。炎が吹き上がり、その間からYUIMOAがとびきりのKawaiiを発散し、会場を笑顔と至福で満たしていく。 さて次に神バンドの凶暴凶悪なインストゥルメンタル。なんか、いつもより荒々しい。超絶のテクニックに、観客の熱気も頂点に。 興奮が覚めやらぬ会場に流れはじめた静かなビアノの調べ。「お、あかつきか?」と客席がざわつく中、SU-METALがスポットライトを浴びて登場。 「あかつきだぁ!」 乱れ飛ぶ炎、唸るギター、飛び交うレーザー光、会場に響きわたるSU-METALの声。5万5000人の心に染み込む澄み切った声。間違いなく、過去最高の「紅月」だ。息を呑む。鳥肌が立つ。目頭が熱くなる。つねに最高を最高で更新し続けるSU-METALの凄さには、ただただ感服するしかない。 曲終了後、5万5000人の心のため息が聞こえてきそうな静寂の中、ここで空気がガラリと変わってまさかの「おねだり大作戦」! え、この曲、YUIMOAが大人になったから封印したんじゃなかったっけ? Wembleyでそういってなかったっけ? そしてまたまた過去最高にパワフルなおねだりの連発。観客も狂躁状態! さらに雰囲気が一変して、次は「NO RAIN NO RAINBOW」。武道館以来、約2年半ぶりのライブ披露である。天空ステージのてっぺんで、四方八方から眩いライトを浴び、切々と歌い上げるSU-METAL。ギターもたっぷり泣いている。久々だからなのか、歌唱の進化が際立っている。あれ、また目から汗が…。 そしてまた一転して、今度はアイドル感いっぱいの「 ド・キ・ド・キ☆モーニング」。こちらも思わず微笑んでしまう。泣いたと思ったらすぐに笑ってしまう。この振り幅の広さが、いかにもBABYMETALだなあと感心する。ついでにこれってデビュー曲だったんだよなぁ、と感慨にふける。「いまなんじ~」のC&Rが凄まじい。 そしておなじみのキラーチェーン「メギツネ」では、すぅさんここでもまさかの「シンギン!」。ご太い声の“せいや、そいや”“せいや、そいや”で、会場が揺れる揺れる。 続く「ヘドバンギャー」は、SU-METALの中低音の魅力がもっとも発揮される曲だが、こちらも以前より遥かにパワーアップしている。3姫の煽りに、土下座してヘドバンしているおじさんがスクリーンに大写しになって、つい笑ってしまった。 そしていよいよ最後の「イジメ、ダメ、ゼッタイ」。出だしのYUIMOAが駆け寄るシーンは、今回花道の一塁側と三塁側の先からのダッシュだったので、まさに全力疾走。そして入場時に配布されたネックコルセットが、会場全体を幻想的に紅く染め上げていく。 すべての曲が終わった後、いつものC&R。会場全体を「We are!!」「BABYMETAL!!」と煽りながら花道の三方向へ走り回る3姫。一塁側の花道では水で濡れていたのか、移動車の油圧系統からオイルでも漏れたのか、途中でSU-METALがステーンと転んでしまい本人苦笑い。MOAに助け起こされてた。 そして花道の先で再び3人で「We are!!」「BABYMETAL!!」。SUがMOAにわざとマイクを向けなかったりのわちゃわちゃ感も微笑ましく、ああ、3人はほんとに仲いいんだなぁと、ほっこりした。 さらにギター2神、ベース神も花道の先まで顔見世。最後に演奏陣にも花を持たせる運営の心意気がなんともにくい。ついでにLEDA神も花道の途中ですってんころりん。こちらはご愛嬌? このふたつのすってんころりんは、一生の宝物として、目に焼き付けることにする(笑) 大観衆の歓声を浴びながら、 “すべてやりきった”感に溢れたSU-METAL、YUIMETAL、MOAMETALの満面の笑顔がこの上なく輝いていた。 そして3人は天空のステージへ。巨大な銅鑼を SU-METAL が打ち鳴らし、BABYMETALのワールドツアーはここに完結した。 (なぜかつづく)
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