【米中覇権争い】
G7対BRICSの様相(6月25日)
BRICSの拡大首脳会合がオンラインで開催された。中国が主催し、インドネシア・アルゼンチン・サウジアラビア・エジプト・タイ・カザフスタン・UAE・ナイジェリア・セネガルの首脳陣が出席した。
ロシア・プーチン大統領や中国。習近平国家主席など、普段はこわもての指導者たち全員がオンライン上で子どものように手を振り、仲良しであることを強く演出してみせた。
プーチン大統領はこの会議の中で、経済制裁を強化する欧米諸国などを非難し、ウクライナから黒海を経由しての小麦などの輸送が出来ないことについて「ロシアは輸出を妨げておらず、西側が意図的にヒステリー状態を作り上げている」などと述べ、持論を繰り返し、友好国との結束を重視する姿勢を強調した。...
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BRICSの拡大首脳会合がオンラインで開催された。中国が主催し、インドネシア・アルゼンチン・サウジアラビア・エジプト・タイ・カザフスタン・UAE・ナイジェリア・セネガルの首脳陣が出席した。
ロシア・プーチン大統領や中国。習近平国家主席など、普段はこわもての指導者たち全員がオンライン上で子どものように手を振り、仲良しであることを強く演出してみせた。
プーチン大統領はこの会議の中で、経済制裁を強化する欧米諸国などを非難し、ウクライナから黒海を経由しての小麦などの輸送が出来ないことについて「ロシアは輸出を妨げておらず、西側が意図的にヒステリー状態を作り上げている」などと述べ、持論を繰り返し、友好国との結束を重視する姿勢を強調した。
BRICSの世界におけるGDPに占める割合は約24%、世界の貿易に占める割合は16%と侮れない規模である。プーチン大統領によればBRICSは、現在、通貨バスケットに基づく準備通貨の開発作業を進めているという。SWIFTを置き換えるような大掛かりなシステムを指向しているものとみられる。
一方、G7はBRICSのメンバーであるインドと南アフリカに加え、アルゼンチン・セネガル・インドネシアを26日から行われるG7サミットに招待している。両方に参加している国が出てきており、さながら欧米中心の秩序からの脱却を試みる中ロを中心の新興勢力BRICSと、従来からの世界秩序を守りたいG7の勢力争いの様相を呈してきている。
気になるのは両陣営に参加するインドのような国の存在であるが、インドはBRICSに加わっている一方、クアッドやIPEFなどの欧米陣営にも加わっている。今のところ両陣営の調整弁的な役割を果たしており許容できる存在であるが、この先、どうなっていくのかについては注視していく必要がありそうだ。
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米国・ウイグル製品輸入禁止の法律・施行(6月22日)
中国の新疆ウイグル自治区で強制労働によって生産された製品の輸入を全面的に禁止する米国の法律が21日施行された。
今後、米国に製品を輸出する企業が強制労働に関与していない証拠を求められるケースが増えると見込まれている。
去年1月には米国の税関当局が強制労働に関与していない十分な証拠がないとしてユニクロのシャツの輸入を差し止めた事例があり、今後日本企業にも影響が及ぶ可能性がある。
財務長官・米国「対中関税の一部引き下げ検討」(6月20日)
米国のイエレン財務長官はABCテレビの番組でトランプ前政権が中国からの輸入品に科しバイデン政権が引き継いでいる関税措置について、「われわれは皆中国が不公正な貿易を行っていると認識しており、これに取り組むことは重要だ」と強調した。
一方で「トランプ政権から引き継いだ関税の中には戦略性に欠け物価を引きあげているものがある。一定の負担を軽減するため関税の一部の再構成を検討している」と述べ、政権内で対中関税の一部引き下げを検討していることを明らかにした。...
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米国のイエレン財務長官はABCテレビの番組でトランプ前政権が中国からの輸入品に科しバイデン政権が引き継いでいる関税措置について、「われわれは皆中国が不公正な貿易を行っていると認識しており、これに取り組むことは重要だ」と強調した。
一方で「トランプ政権から引き継いだ関税の中には戦略性に欠け物価を引きあげているものがある。一定の負担を軽減するため関税の一部の再構成を検討している」と述べ、政権内で対中関税の一部引き下げを検討していることを明らかにした。
バイデン大統領は記者団から対中関税の撤廃や引き下げの可能性について問われると「考えをまとめているところ」と述べ検討していることを認めている。
背景には秋の中間選挙が迫るなか、記録的インフレの緩和につなげたいという思惑があるとみられるが、不公正とされる貿易慣行への是正へ向けた具体策を中国側から引き出さないあまま関税を引き下げれば一方的に譲歩したという批判は免れないだけにバイデン政権は難しい決断を迫られている。
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米中・近く電話などで首脳会談へ・台湾情勢や関税問題議論か(6月19日)
米国・バイデン大統領は18日、滞在先のデラウェア州で、記者団から中国・習近平国家主席と電話やオンラインを通じて近く会談する予定があるか聞かれ、「彼と会談する予定だ」と答えた。また、バイデン大統領はトランプ前政権時代から続いている中国に対する関税上乗せを一部見直すかどうかについて、“考えをまとめているところだ”と述べた。
米中両国を巡っては、今月13日、安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官と、外交を統括する中国・楊潔チ政治局委員がルクセンブルクで会談し、台湾をめぐってけん制し合う一方、対話継続の重要性は一致している。...
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米国・バイデン大統領は18日、滞在先のデラウェア州で、記者団から中国・習近平国家主席と電話やオンラインを通じて近く会談する予定があるか聞かれ、「彼と会談する予定だ」と答えた。また、バイデン大統領はトランプ前政権時代から続いている中国に対する関税上乗せを一部見直すかどうかについて、“考えをまとめているところだ”と述べた。
米中両国を巡っては、今月13日、安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官と、外交を統括する中国・楊潔チ政治局委員がルクセンブルクで会談し、台湾をめぐってけん制し合う一方、対話継続の重要性は一致している。
バイデン大統領と習近平国家主席の首脳会談が一致すれば、3月のオンライン形式での会談以来となり、台湾情勢や関税を巡る問題、ウクライナ情勢などが議題になるものとみられる。バイデン大統領は記者団の質問に応じる前に、乗っていた自転車から降りる際に転倒。ホワイトハウスは“大統領にけがはなく、手当の必要はない”としている。バイデン大統領は79歳と高齢で、健康状態が常に注目されている。
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米中太平洋戦略の行方(6月18日)
中国・王毅外相が8か国の島嶼国を歴訪するなど、南太平洋で存在感を増している中国とこれに対抗する米国の駆け引きが展開されている。
米国は太平洋島嶼国との関係強化のため、日本や豪州などと連携し、新たな協力の枠組みを創設すると発表した。各国の強みを生かした柔軟な枠組みで、経済協力や災害対策など、幅広い分野での協力を検討しているという。
一方、ソロモン諸島を豪州・ウォン外相が訪問し、中国との急激に距離を急速に縮めているソガバレ首相と会談した。...
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中国・王毅外相が8か国の島嶼国を歴訪するなど、南太平洋で存在感を増している中国とこれに対抗する米国の駆け引きが展開されている。
米国は太平洋島嶼国との関係強化のため、日本や豪州などと連携し、新たな協力の枠組みを創設すると発表した。各国の強みを生かした柔軟な枠組みで、経済協力や災害対策など、幅広い分野での協力を検討しているという。
一方、ソロモン諸島を豪州・ウォン外相が訪問し、中国との急激に距離を急速に縮めているソガバレ首相と会談した。ソロモン諸島は中国と安全保障協定を締結しており、周辺地域への影響が懸念されている。
会談後、ウォン外相は「ソガバレ首相も豪州の懸念を理解してくれている」とした上で、ソロモン諸島から「中国の軍事基地建設や永続的な軍駐留はないとの確約を得た」と発表した。
しかし、ソガバレ首相の発言を額面通り信じるにはリスクは大きい。なぜならばこれまでもソガバレ首相は中国による軍事基地建設を否定していたが、草案の流出によって中国軍の派遣や艦船の寄港を認める内容が盛り込まれていることが明らかになった経緯があるからである。
中国としてはカンボジアや南太平洋エリアに軍事基地や寄港できる港を作るなど足場を広げて台湾有事の際米国が介入できないようにしていきたい考えとみられる。
その為の布石を中国は着々と進めている。最新鋭空母「福建」を17日に進水したが、この3隻目の空母は、技術的にも米国原子力空母が装備する電磁カタパルトを採用しているなど米国への対抗意識をむき出しにしたもので、米軍の接近を拒否するA2/AD戦略に使われるものとみられる。
空母3隻で太平洋を回せるローテーションを組む体制が完成すれば、習主席が提唱する「世界一流の海軍」が実現することにもつながる。
着々と歩を進める中国、これに対抗した米国の動きから、片時も目が離せなくなってきた。
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