【世界の新技術】
気候予測の高度化(8月14日)
最新テクノロジーを気候予測に応用しようという動きがでている。
JAMSTEC(海洋研究開発機構)はGPS受信機を搭載した「ウェーブグライダー」と呼ぶ無人装置を海上に浮かべ、GPS(全地球測位システム)からの電波を受信させるシステムの実験に入った。
大気中の水蒸気の量が多ければ多いほどGPSの電波が「ウェーブグライダー」の受信機に到達する速度が遅くなるという性質を利用して10分間隔で水蒸気量を推定することができる。...
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最新テクノロジーを気候予測に応用しようという動きがでている。
JAMSTEC(海洋研究開発機構)はGPS受信機を搭載した「ウェーブグライダー」と呼ぶ無人装置を海上に浮かべ、GPS(全地球測位システム)からの電波を受信させるシステムの実験に入った。
大気中の水蒸気の量が多ければ多いほどGPSの電波が「ウェーブグライダー」の受信機に到達する速度が遅くなるという性質を利用して10分間隔で水蒸気量を推定することができる。
これまでの気象観測においては海上という視点はなかった上、海上で発生した水蒸気量が刻刻と把握できるため、これまでと比べて正確な豪雨予測がしやすくなる。
すでにJAMSTECは2018年には西太平洋で約2ヶ月にわたり試験観測を行い、高い精度の予測が可能であることが証明できたとしている。
問題は無人装置の規模であり、規模が小さければ水蒸気を捕捉できない空白域が出てしまう。
いかに無人装置の規模を大きくし、できるだけ空白域を少なくできるかというところが今後の課題である。設備費用と豪雨被害の被害額を比べた上で予算を考えなければならない。
仮にこのシステムの実験が成功すれば、豪雨被害で困っている国に売りこむことも可能となる。
災害大国日本としては災害を資源に転換し、次の成長産業につなげていていきたいところである。
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米国ゼロエミッション車政策の現状(8月7日)
5日、米国・バイデン大統領が2030年に新車販売の半分を「ゼロエミッション車」にするという目標を定めた大統領令に署名した。
この目標には強制力はないが、米国に自動車の市場を持つ日本車産業も当然のことながらこの大統領令に影響を受けることになる。
今回、日本車が得意とするHV(ハイブリッド車:エンジンとモーター組み合わせ、複合動力を有効に活用)が「ゼロエミッション車」から除外されることになった。...
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5日、米国・バイデン大統領が2030年に新車販売の半分を「ゼロエミッション車」にするという目標を定めた大統領令に署名した。
この目標には強制力はないが、米国に自動車の市場を持つ日本車産業も当然のことながらこの大統領令に影響を受けることになる。
今回、日本車が得意とするHV(ハイブリッド車:エンジンとモーター組み合わせ、複合動力を有効に活用)が「ゼロエミッション車」から除外されることになった。日本の自動車メーカーにとって痛手となるが、幸いなことにPHV(プラグインハイブリッド車)はゼロエミッション車として認められた。
PHVはエンジンを併用している点で、HVと違いはないが、家庭の電源から充電できる点が異なる。いわばHVとEV(電気自動車)の中間に位置するのがPHVである。
実はEUや英国ではPHVの販売禁止が打ち出されていて、日本の自動車業界には不穏な空気が流れていた。そんな中、バイデン大統領があたかも日本車に救いの手を差し伸べた格好となっている。トヨタ幹部は「PHVが含まれるなら我々としてもいくらでもやりようがある」と大歓迎している。
バイデン大統領がPHVを「ゼロエミッション車」に入れた背景には、国土が広く長距離移動が多い米国において、走行距離の短いEVだけでは地方からの支持が得られないという現実的な理由があった。
裏を返せば、この問題が解決されれば、すぐにでもPHVは「ゼロエミッション車」から除外される可能性もあるということである。
日本車メーカーはこうしたことも念頭に入れつつ、PHVにもEVにも使用可能な電池の研究開発投資に力を入れ、どんな状況になっても対応できるようにしておく必要があると感じられる。
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気象コントロール技術の脅威(7月31日)
中国が天候をコントロールするための取り組みを大幅に強化している。2020年12月初め、中国政府は「気象制御能力を大幅に強化し、人工降雪・降雨プログラムを大幅に拡大させる」と発表した。
中国だけではない。エチオピアも乾燥地帯での農業開発に気象制御能力の活用を考えている。UAEなども気象の制御に乗り出している。
これまでも中国はロケットを打ち込んでは人工降雨を起こし、干ばつ対策や大規模な国際行事の前には大気浄化まで公然と行ってきた実績がある。...
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中国が天候をコントロールするための取り組みを大幅に強化している。2020年12月初め、中国政府は「気象制御能力を大幅に強化し、人工降雪・降雨プログラムを大幅に拡大させる」と発表した。
中国だけではない。エチオピアも乾燥地帯での農業開発に気象制御能力の活用を考えている。UAEなども気象の制御に乗り出している。
これまでも中国はロケットを打ち込んでは人工降雨を起こし、干ばつ対策や大規模な国際行事の前には大気浄化まで公然と行ってきた実績がある。
今回、中国は2025年までに国土の約半分で気象制御プログラムを実施し、雨や雪のコントロールを目指していくとしている。
懸念されるのは、気象改変による環境への影響が未知数であることである。川の上流で大量の雨が降れば、その水が下流の国々に流れ込むことになり洪水になる可能性もある。
雨の降る場所が変われば、逆に乾燥し、干ばつになるところも出てくる。そうした影響がきちんと検証され、国際ルールが整備されるまでは、こうした研究は行うべきではないのかもしれない。使いようによっては台風や竜巻の進路も変更可能になるため、新たな国際紛争になる恐れもある。
ウイルスなどの細菌兵器と並び、気象兵器は一見武器による攻撃に見えないため、なかなか反論することは難しいに違いない。
実は国連には自然の作用を意図的に操作することは禁じる「環境改変兵器禁止条約」という条約が既に存在し、1978年に発効している。
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アジア・EVシフトに欠かせないもの(7月29日)
EV電気自動車へのシフトが加速する中国では、寿命を迎えたバッテリーをどう扱うかが大きな課題になっている。
5年から10年ほど使われたバッテリーが今、新たなビジネスを生んでいる。中国南部、深センのこの企業は、自動車メーカーからバッテリーを買い取り、リユースする事業を手がけている。
買い取ったバッテリーを分解し、電池の容量などを分析する。
電池として使えない場合は、中の希少金属を取り出すためにリサイクルに回するが、劣化が進んでいないものは、家庭などで使う蓄電池として再生産する。...
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EV電気自動車へのシフトが加速する中国では、寿命を迎えたバッテリーをどう扱うかが大きな課題になっている。
5年から10年ほど使われたバッテリーが今、新たなビジネスを生んでいる。中国南部、深センのこの企業は、自動車メーカーからバッテリーを買い取り、リユースする事業を手がけている。
買い取ったバッテリーを分解し、電池の容量などを分析する。
電池として使えない場合は、中の希少金属を取り出すためにリサイクルに回するが、劣化が進んでいないものは、家庭などで使う蓄電池として再生産する。
中国では、リユースされるバッテリーが、2030年に、EV740万台分に上るとも試算されている。このため、資源をむだづかいしないことが重要になると見ている。
日本の大手商社も、みずからの環境ビジネスに生かそうと、この中国企業に出資。今年からリユースした蓄電池を日本に輸入して、太陽光発電の施設で活用する実証実験を始めた。
発電量が天候に左右されやすい太陽光発電では、適切に電力を制御するために蓄電池が欠かせない。
会社は、リユースの蓄電池を使ったシステムを海外展開することも視野に入れている。中国を中心に世界で拡大するリユース市場に、独自の技術で参入を目指す日本企業もある。
大手電機メーカーを退職した技術者などで作る大阪市の企業では、すでに中国で実証実験を行い、現地の企業などから一定の評価を得たという。様々な技術開発がどう進んでいくか、今後注目される。
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成長が続く医薬ハイテク企業(7月24日)
次世代世界標準の行方を握っているのはGAFAMやスペースX、テスラだけではない。米国・ファイザーと共に新型コロナウイルスワクチンを開発したドイツのバイオテクノロジー企業・ビオンテック社もそうした有望な企業のひとつである。
ビオンテックによれば、mRNAワクチンを開発するのは想像する以上に難しいという。ある日、突然普通の製薬会社が10億回分を超えるワクチンを作ることにはならないのだという。何年にもわたる経験とデータの蓄積、組織力や技術力や、治験と生産インフラを同時に拡大できる資金力が必要となるからである。...
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次世代世界標準の行方を握っているのはGAFAMやスペースX、テスラだけではない。米国・ファイザーと共に新型コロナウイルスワクチンを開発したドイツのバイオテクノロジー企業・ビオンテック社もそうした有望な企業のひとつである。
ビオンテックによれば、mRNAワクチンを開発するのは想像する以上に難しいという。ある日、突然普通の製薬会社が10億回分を超えるワクチンを作ることにはならないのだという。何年にもわたる経験とデータの蓄積、組織力や技術力や、治験と生産インフラを同時に拡大できる資金力が必要となるからである。
彼らはドイツの会社であるが、自分達をグローバル企業と位置付けており、できるだけ多くの国々に自分達のワクチンを届けたいという使命感を持ってやっているという。
ビオンテックのクリーンで真新しい研究所はロボットが高速で検査を行い、遺伝子解析装置がアルゴリズムを解析するなど、製薬会社というよりむしろハイテク企業といった方が正確である。
もともとはガン研究の会社であったビオンテックはガン治療にもmRNAを応用しようとしているが、mRNAは、破壊的革新技術と目されていて、今後20年の間に医療業界に革命をもたらす可能性がある。今後もビオンテック等医薬ハイテク企業から目を離せない。
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