中国輸入関税を引き下げ(10月1日)
米中貿易戦争が泥沼化の様相を呈するなかで、中国は企業や消費者の負担を軽減するために11月1日より1585品目の輸入関税率の引き下げることを9月26日の国務院常務会議で決定した。
機械・設備の平均関税率を12.2%から8.8%に、紡織品や建材等については11.5%から8.4%に、紙製品などの資源関連品および一次産品の平均関税率を6.6%から5.4%に各々引き下げる。これにより企業や消費者の負担は600億元軽減され、中国の関税水準は2017年の9.8%から7.5%に引き下げられることになる。...
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米中貿易戦争が泥沼化の様相を呈するなかで、中国は企業や消費者の負担を軽減するために11月1日より1585品目の輸入関税率の引き下げることを9月26日の国務院常務会議で決定した。
機械・設備の平均関税率を12.2%から8.8%に、紡織品や建材等については11.5%から8.4%に、紙製品などの資源関連品および一次産品の平均関税率を6.6%から5.4%に各々引き下げる。これにより企業や消費者の負担は600億元軽減され、中国の関税水準は2017年の9.8%から7.5%に引き下げられることになる。
また同会議では内需の拡大を図るとともに、対外開放も委縮しないようにさらに外資の一層の誘致の拡大も決められた。このため外資系企業の再投資に関わる所得税の非課税分野を拡大するとともに、外資系企業の投資禁止項目を縮小する方針を決めた。また知的財産権の保護にも努めるとしている。
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米中貿易戦争と日本の対処(9月29日)
(二国間貿易の土俵に乗った日本)
ニューヨークで27日に行われた日米首脳会談では、トランプ大統領が主張する貿易赤字解消についての直接交渉が焦点となった。安倍首相とトランプ大統領はFTAの代わりにTAG(日米物品貿易協定)を結ぶための協議を開始することで合意した。TAGという呼び名がついてはいるものの、WTO体制の国際ルールにおいて、二国間貿易はFTAという概念しか存在しない。米国メディアも「米国と日本がFTAに向けて協力することに」と報じている。...
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(二国間貿易の土俵に乗った日本)
ニューヨークで27日に行われた日米首脳会談では、トランプ大統領が主張する貿易赤字解消についての直接交渉が焦点となった。安倍首相とトランプ大統領はFTAの代わりにTAG(日米物品貿易協定)を結ぶための協議を開始することで合意した。TAGという呼び名がついてはいるものの、WTO体制の国際ルールにおいて、二国間貿易はFTAという概念しか存在しない。米国メディアも「米国と日本がFTAに向けて協力することに」と報じている。懸念されていた日本車への25%の追加関税については、交渉継続中は課されないことが確認され、農産物についても税率をTPP以下にしないことを両国で確認するなど、日米貿易摩擦は一時的に回避された形にみえるが、重要な事はトランプ大統領の恣意的な判断によって交渉がいつでもストップさせることができるということだろう。自動車がターゲットの状態は変わらずに続くことになる。韓国やメキシコと米国の交渉を例にとれば、米国が追加関税というカードを片手に持ちつつ両国を、数量規制に追い込んだことは記憶に新しいが、この時とまったく同じ手法を日本に対しても行おうとしている様にも見える。今回、日米共同宣言の中に「米国は自動車の交渉で自動車産業の製造および雇用の増加を目指す」という文言が入ったが、日本からは現在、米国に174万台輸出している。米国で現地生産されている日本車は377万台で、これによって米国人150万人が雇用されている。日本国内では969万台が生産され、500万人が雇用されている。仮に米国の現地生産で雇用されている人数を150万人以上増やそうとすることを考えた場合、現地生産への投資を増やすか、輸出台数を抑制(数量規制)するかしかなく、これらを行った場合にはいずれも日本での雇用が減ることに直結する。こうしたことを日本は牛肉をTPP並みの水準9%まで引き下げることで回避しようとしているが、先行きは厳しいといえるだろう。
(米中の間に厳しい空気)
一方、双方が報復合戦となり、泥沼化している米中貿易戦争だが、中国に拠点を持つ日本企業にも一部移転を検討する会社も出始めている。この問題は政治にまで及び始めており、26日、トランプ大統領は国連安保理事会で「米国が米中貿易戦争を優位に進めているため、私を勝たせないよう中間選挙に中国が介入してきている」と主張し、これに中国・王毅外相が「中国は他国への内政干渉はしない」と反発し、ニューヨークで行われた記者会見ではトランプ大統領が「習近平国家主席は、もう友人とは言えないかもしれない」などと述べ、中国との全面対決姿勢を露わにしている。王毅外相は国連総会での演説で、トランプ政権の関税上乗せを念頭に「保護主義は最終的に自らを傷つけ、一方的なふるまいは各国にも災いをもたらす」と批判した。気がかりなのはこうした米中の対立が安全保障分野にまで広がり始めていることで、26日には米軍の軍艦が、10月に予定していた香港への寄港を中国政府から拒否されていたことがわかった。さらに28日には米軍と自衛隊が東シナ海周辺の空域で初めてとなる共同訓練を実施し中国をけん制するなど厳しい空気が米中の間に流れている。10月23日の安倍首相の中国訪問に備えて融和ムードを強めている日中だが、11月の中間選挙前に、トランプ大統領は中国を叩けば点数稼ぎができると考えており、この先、ますます中国に対する強硬姿勢に出ていく可能性があり、日中関係に与える影響も懸念されている。米中貿易戦争の背景には米中の覇権争いがあり、両国の争いはそう簡単には終わりそうもないように見える。日本は自らのスタンスと戦略をきちっと確立させておかないと両国の間を右往左往するだけになってしまうだろう。
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習近平国家主席は友人ではない?トランプ大統領・中国に不満(9月28日)
中国との貿易摩擦をエスカレートさせる米国・トランプ大統領、記者会見で「近平主席はもう友人とは言えないかもしれない」と述べ、中国への不満を爆発させた。
記者会見でフェイクニュースとトランプ大統領が不満を顕にしたのが、前日の国連総会で自らの業績を自画自賛した際、会場から笑い声が漏れた場面だった。
トランプ大統領は貿易摩擦をめぐり制裁を強化しても中国が歩み寄りを見せないことに苛立ちを募らせている。...
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中国との貿易摩擦をエスカレートさせる米国・トランプ大統領、記者会見で「近平主席はもう友人とは言えないかもしれない」と述べ、中国への不満を爆発させた。
記者会見でフェイクニュースとトランプ大統領が不満を顕にしたのが、前日の国連総会で自らの業績を自画自賛した際、会場から笑い声が漏れた場面だった。
トランプ大統領は貿易摩擦をめぐり制裁を強化しても中国が歩み寄りを見せないことに苛立ちを募らせている。
中国について「私が選挙に負けることを望んでいる」と発言するに及んだ。
中間選挙で共和党の勝利を阻止するため中国が中間選挙に干渉しようとしていると述べた。
国連安保理でも同じような発言し、ツイッターでも「中国はニュースを装って米国の新聞に広告記事を載せている」と主張した。
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トランプ大統領・中国に不満・貿易不均衡に“選挙干渉”(9月27日)
米国・トランプ大統領は記者会見で、中国について、貿易の不均衡への不満をあらわにしたうえで、11月に控えた中間選挙にも干渉しようとしていると述べた。
中間選挙を意識し、国内の支持者に、中国に厳しく臨む姿勢を明らかにする狙いもあるとみられる。
トランプ大統領は、中国との貿易摩擦がエスカレートするなか、中国・習近平国家主席に対する不満をにじませた。
さらに、中国が共和党の勝利を阻止するため、中間選挙に干渉しようとしていると主張した。...
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米国・トランプ大統領は記者会見で、中国について、貿易の不均衡への不満をあらわにしたうえで、11月に控えた中間選挙にも干渉しようとしていると述べた。
中間選挙を意識し、国内の支持者に、中国に厳しく臨む姿勢を明らかにする狙いもあるとみられる。
トランプ大統領は、中国との貿易摩擦がエスカレートするなか、中国・習近平国家主席に対する不満をにじませた。
さらに、中国が共和党の勝利を阻止するため、中間選挙に干渉しようとしていると主張した。
米国政府高官はこの問題に関して、「中国政府はさまざまな手段で米国世論を操作しようとしている」と指摘したうえで、「通常の政府の活動を超え、許容できないレベルに達している」と批判した。
一方米軍は今週、中国が軍事拠点化を進める南シナ海の上空で、核兵器を搭載可能なB52戦略爆撃機を飛行させたことを明らかにした。
トランプ大統領としては、中国をけん制するとともに、中間選挙を意識し、国内の支持者にアピールする狙いがあるものとみられる。
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中国、中米貿易白書を発表(9月26日)
米中貿易戦争が一段と激しさを増すなかで、米国が追加関税を発動し、中国がそれにあわせて報復関税を課した日、中国国務院新聞弁公室は米中貿易白書(「中米の貿易摩擦の事実と中国の立場」白書)を発表した。
白書では、中米貿易の本質は互恵、ウィン-ウィンのであるはずが、米国が保護貿易主義に陥り貿易覇権主義になっていることを指摘。米国が米中貿易摩擦を劇化させていることから、両国政府が長年にわたって培ってきた多角的な貿易体制と自由な貿易原則が厳重な脅威にさらされているとしている。...
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米中貿易戦争が一段と激しさを増すなかで、米国が追加関税を発動し、中国がそれにあわせて報復関税を課した日、中国国務院新聞弁公室は米中貿易白書(「中米の貿易摩擦の事実と中国の立場」白書)を発表した。
白書では、中米貿易の本質は互恵、ウィン-ウィンのであるはずが、米国が保護貿易主義に陥り貿易覇権主義になっていることを指摘。米国が米中貿易摩擦を劇化させていることから、両国政府が長年にわたって培ってきた多角的な貿易体制と自由な貿易原則が厳重な脅威にさらされているとしている。また米国が2017年に新政権になって以降、「米国第一主義」のもとで、追加関税などの経済的恫喝を行っているとしている。
この白書では中国が「経済的侵略」や「知的財産権の侵害」を行っているとされているのは米国の言いがかりだとしているが、一方で貿易「戦争」を続ければ双方に損害がでるばかりであり、協力しあうことによって双方に利益をもたらすともしている。
トランプ大統領は24日に追加関税を行った際に、「中国が報復関税を課すようなことがあれば、中国からの輸入品総てに追加関税を課す」と宣言している。中国は5月の劉鶴副首相とムニューシン米財務長官の会談で関税発動を棚上げにしようとした合意がトランプ大統領によって覆されたこともあり、9月に行われる予定であった高官級会談にも応ぜずにいる。
トランプ大統領の「米国第一主義」に対しては、国連総会の場でも批判が続いているが、早くても米国中間選挙までは米国の政策変更はなされないであろうことから、中国にとってまだまだ不毛な戦いをしなければならないことになる。
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