朝鮮戦争の開戦から68年(6月25日)
68年前の今日、朝鮮戦争が始まった。停戦協定のままであった朝鮮戦争だが、本年4月27日の南北朝鮮の首脳会談では「年内に朝鮮戦争の終戦宣言を行い、休戦協定を平和協定に転換するため南北米または南北米中の協議を進める」ことが宣言された。米朝首脳会談の共同宣言には終戦宣言については記されなかったが、朝鮮半島の平和体制保障が記されていた。
朝鮮半島での融和ムードが高まる中、韓国では米韓合同軍事演習だけでなく、韓国軍独自の訓練も中止になった。...
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68年前の今日、朝鮮戦争が始まった。停戦協定のままであった朝鮮戦争だが、本年4月27日の南北朝鮮の首脳会談では「年内に朝鮮戦争の終戦宣言を行い、休戦協定を平和協定に転換するため南北米または南北米中の協議を進める」ことが宣言された。米朝首脳会談の共同宣言には終戦宣言については記されなかったが、朝鮮半島の平和体制保障が記されていた。
朝鮮半島での融和ムードが高まる中、韓国では米韓合同軍事演習だけでなく、韓国軍独自の訓練も中止になった。一方北朝鮮でも変化がみられる。例年であれば朝鮮戦争の開戦に合わせて6月25日から反米闘争月間が始まるのだが、今年は反米のポスターやスローガンが街頭に貼られておらず、闘争月間は行われないようだ。かわって経済建設をよびかけるポスターが貼られているという。北朝鮮メディアでも反米的な論調が減少している。
北朝鮮のなかの反「反米」の動きが一過性ではなく、非核化交渉に本気で取り組むかは、ポンペオ国務長官の訪朝の日程に対して、北朝鮮がいつ回答するかにかかっている。
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米兵の遺骨収集作業始まるか(6月24日)
非核化の具体的手順等を決める会談が行われないまま、米朝首脳会談の第4の合意事項であった朝鮮戦争時の米兵の遺骨収集作業が始まるようである。「遺骨収集作業が始まる」との公式報道はまだないが、南北朝鮮の非武装地帯に100の木製の棺が運びこまれたもの。さらに158の金属製の棺がソウル近郊の在韓米軍基地には用意されているという。
20日にトランプ大統領はミネソタ州の集会で「すでに200柱の遺骨が北朝鮮から返還された。...
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非核化の具体的手順等を決める会談が行われないまま、米朝首脳会談の第4の合意事項であった朝鮮戦争時の米兵の遺骨収集作業が始まるようである。「遺骨収集作業が始まる」との公式報道はまだないが、南北朝鮮の非武装地帯に100の木製の棺が運びこまれたもの。さらに158の金属製の棺がソウル近郊の在韓米軍基地には用意されているという。
20日にトランプ大統領はミネソタ州の集会で「すでに200柱の遺骨が北朝鮮から返還された。」と述べ、ホワイトハウスが否定する事態が起こっていたが、遺骨収集という米国民にはアピールしやすいことから作業を始めるようである。
遺骨を発掘するための重機をどのように持ち込むのか、作業が終わった後どうするのか。重機を北朝鮮にそのまま残していく場合、経済制裁違反になる可能性が高い。
朝鮮戦争時の行方不明米兵は7697人で、うち5500人余が埋葬されているという(「環球時報」2018年6月24日)。
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米、北朝鮮への制裁1年延長(6月23日)
トランプ大統領は21日「北朝鮮の完全な非核化はすでに始まっている。北朝鮮はすでに主要な実験場を破壊した」と述べた。その発言にも関わらず、ホワイトハウスは22日、北朝鮮への制裁を1年延長した。米国の制裁措置であり、2008年以来更新されていたもの。
米朝首脳会談後、北朝鮮の非核化の意思や期限について論じられているが、トランプ大統領の発言の前日、マティウス国防長官は「北朝鮮に非核化の動きはない。...
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トランプ大統領は21日「北朝鮮の完全な非核化はすでに始まっている。北朝鮮はすでに主要な実験場を破壊した」と述べた。その発言にも関わらず、ホワイトハウスは22日、北朝鮮への制裁を1年延長した。米国の制裁措置であり、2008年以来更新されていたもの。
米朝首脳会談後、北朝鮮の非核化の意思や期限について論じられているが、トランプ大統領の発言の前日、マティウス国防長官は「北朝鮮に非核化の動きはない。詳細を決める会談も進んでおらず、進展を期待していない。」と語っている。米国議会でも米朝首脳会談に対し、国防省の関係者は「非核化の期限も決められておらず、検証方法も記されていない」との指摘があった。
米朝首脳会談の翌週にはポンペオ国務長官が訪朝し、詳細をつめるための会談を行うとしていたが、その時期さえも発表できないまま、制裁を延長したということは、トランプ大統領自身も北朝鮮の非核化の意思に対して疑問を持ち始めたのかもしれない。
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北朝鮮情勢を追う(6月23日)
(来週にもポンペオ国務長官が訪朝か?)
トランプ大統領は21日、ホワイトハウスで行われた閣議で「北朝鮮による完全な非核化のプロセスは既に起き始めている」と述べたが、その具体的根拠は示さなかった。米国の北朝鮮監視機関「38ノース」は衛星による監視で「今のところ、核関連施設破壊につながる目立った動きは確認できていない」としている。ポンペオ国務長官は「できる限り早い時期に金正恩委員長と会い非核化を話し合う」としている。...
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(来週にもポンペオ国務長官が訪朝か?)
トランプ大統領は21日、ホワイトハウスで行われた閣議で「北朝鮮による完全な非核化のプロセスは既に起き始めている」と述べたが、その具体的根拠は示さなかった。米国の北朝鮮監視機関「38ノース」は衛星による監視で「今のところ、核関連施設破壊につながる目立った動きは確認できていない」としている。ポンペオ国務長官は「できる限り早い時期に金正恩委員長と会い非核化を話し合う」としている。来週にかけてポンペオ国務長官が訪朝し、平壌で事後協議が行われる可能性が高いとみられる。
(朝鮮半島非核化で主導権を握りたい中国)
一方、金正恩委員長は19日から20日にかけて米朝首脳会談の際の飛行機貸与のお礼と米朝首脳会談の内容の報告という名目で3度目の訪中を行った。今まで中国では、北朝鮮の指導者が帰国した後に報道するのが慣例となっているが、今回中国は敢えてその慣例を破り、金正恩の3度目の訪中を実況中継で伝えた。このことからも伺えるように、中国は朝鮮半島における段階的非核化で「中国がイニシアティブを握りたい」という姿勢を強烈に打ち出してきている。中朝にとって朝鮮半島の非核化とは米国が韓国に核の傘を貸さない状態でもあり、この点でも両国は一致しており、中国は北朝鮮にとっても歩調を合わせやすい相手であることは確かである。
(韓国、ロシアも活発な動き)
一方、中国にも米国にも主導権を握られたくない韓国・文大統領はロシアに接近し、ロシア議会で演説を行った。文大統領は「朝鮮半島の恒久的な平和体制が構築されれば、シベリア鉄道が北朝鮮を経て韓国南部までつながるなど、南北とロシアの経済協力が深まる」と力説した。また文大統領はプーチン大統領と会談し、北朝鮮の非核化に向けて協力していくことで一致し、ロシアもまた北朝鮮の非核化に積極的に関与していく姿勢を示した。この会談でプーチン大統領は6か国協議の再開を文大統領に働きかけたものとみられる。ただ、ロシアが想定する朝鮮半島における非核化は、中朝同様に米国が韓国に核の傘を貸さない状態を指すものとみられ、この点でやや立場を異にする韓国が今後どのように動くのかも注目される。
(動き始める日本外交)
核問題と拉致問題をセットで解決するのが日本のスタンスだが、安倍首相は拉致議連との会談で「日本と北朝鮮が直接向き合い、交渉しながら解決していかなければならない」と述べ、日朝首脳会談の開催に強い意欲を示した。安倍首相は拉致問題の解決がない限り、北朝鮮への経済支援は行わない考えだが、北朝鮮の非核化を進めるためにIAEAによる核関連施設などの査察費用に関しては、日本が費用を負担する考えを示している。こうした中、河野外務大臣は7月、オーストリア・ウィーンにあるIAEA・国際原子力機関を訪問し、天野事務局長と会談する方向で調整を進めている。北朝鮮がIAEAの査察を受け入れる場合を想定し、緊密な連携を行なえるようにするためで、蚊帳の外にいると言われてきた日本外交が、いよいよ動き始めた。
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北朝鮮問題:米韓を気にする?中国(6月22日)
金正恩委員長の3度目の訪中がなぜ行われたのか、要因探しが起こっている。米韓(日本も含めて)のマスコミは米国が中国に対し追加の制裁関税措置をとると発表したのと同時期であったことから、中国が米国に対し北朝鮮を交渉のカードに使おうとしているのではないかとの見立てを行っている。5月に米朝首脳会談が中止との報道があったとき、トランプ大統領は「5月に訪中してから金正恩委員長が変わった」と語っていたが、このときも対中制裁関税の問題が起こっていた。...
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金正恩委員長の3度目の訪中がなぜ行われたのか、要因探しが起こっている。米韓(日本も含めて)のマスコミは米国が中国に対し追加の制裁関税措置をとると発表したのと同時期であったことから、中国が米国に対し北朝鮮を交渉のカードに使おうとしているのではないかとの見立てを行っている。5月に米朝首脳会談が中止との報道があったとき、トランプ大統領は「5月に訪中してから金正恩委員長が変わった」と語っていたが、このときも対中制裁関税の問題が起こっていた。
これに対し中国の6月22日の「環球時報」は金正恩委員長の3度目の訪中を米韓の世論が注目していること、「米韓は中国の役割を低く見せようとしている、自分たちこそが主役になりたがっているとしている」と述べているが、米韓の世論を気にしていること自体が珍しい。「米韓は中朝関係が朝鮮半島の転換を制御しているのではないかと心配しているが、これはお門違いであり、金正恩委員長がシンガポールを訪問した際に専用機を貸与したように、中国は米朝会談を促進しようとしていた」と主張。さらに金正恩委員長の訪中と中米貿易戦争は同時期に起こっているが、ただし中米貿易戦争は南シナ海問題や台湾海峡問題とも同時期に起こっているとしている。中国をとりまく国際情勢が動いているなかで、様々な事態が起こっているので、同時期にたまたま起こったのだといいたいのである。米韓が騒ぎたてるのは枯れ尾花にびくついているようなものである、とも述べている。
周辺国の問題はマティス国防長官が6月15日に海軍大学の卒業式で「中国は周辺国に朝貢を要求している。明の時代に戻ったようだ」と演説したこととも関係しているのかもしれない。
トランプ大統領のように「取引」を行っているわけではないと主張しているわけだが、米韓の過剰反応をみて中国にとって北朝鮮カードは益々使いやすくなったのかもしれない。
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