金正恩重篤説を考える ~北朝鮮では学校は再開~(4月22日)
21日、米CNNは金正恩委員長が何らかの手術を受けて、現在重篤な状況にあると報じた。その根拠としては、12日の最高人民会議を欠席し、15日の金日成主席の生誕記念日である太陽節に錦繍山宮殿に参拝しなかったこと、それ以降の動静がないことをあげている。
4月13日の本欄でも述べたが、最高人民会議を欠席することはこれまでもあった。...
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21日、米CNNは金正恩委員長が何らかの手術を受けて、現在重篤な状況にあると報じた。その根拠としては、12日の最高人民会議を欠席し、15日の金日成主席の生誕記念日である太陽節に錦繍山宮殿に参拝しなかったこと、それ以降の動静がないことをあげている。
4月13日の本欄でも述べたが、最高人民会議を欠席することはこれまでもあった。まして昨年から金正恩委員長は代議員ではない。一方15日に錦繍山宮殿を参拝しなかったことは異例である。ただし動静としては、その後もキューバやジンバブエなどに金正恩名義の祝電が送られている。祝電であれば、本人の決裁なしに送ることはできそうだが、北朝鮮では金正恩名義を軽々に扱うことはできない。
またCNNの情報源がどこなのかも疑問が残る。金正恩委員長の父、金正日総書記の手術はフランス人医師が行い、医師の専門分野や入出国の状況から金正日総書記が脳卒中で倒れたとの説は信憑性を持った。現在は世界的なコロナウィルスの感染拡大で、金正恩委員長の症状にあわせた名医を北朝鮮に呼べなかった可能性もあるが、もし北朝鮮の医師が執刀したのであれば、金正恩委員長の健康という重大な秘密を外にもらすようなことがあれば、重罪にあたろう。
もちろん肥満体であり、酒を嗜み、ヘビースモーカーであると伝えられている金正恩委員長であるので、30代にも関わらず、心臓疾患など急激に重篤になる病にかかる可能性は残っている。遺伝的にも心臓疾患にかかりやすいということもあろう。
ただこれまでも30日、40日と長く動静が伝えられなかったこともあったことを考えると、性急な判断はできない。
一方コロナウィルスの感染拡大を防ぐために冬休みが2度にわたって延期されていた北朝鮮の学校は20日に再開された。校門で体温測定して、感染者がいないかをチェックしている。4月3日には登校停止期間をさらに延長する案が出されていたが、オンライン授業を受けられない学生がかわいそうだから、学校を再開するように、との金正恩委員長の指示があったという。
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真相はどこに・“キム委員長から書簡”・米国大統領発言・北朝鮮が否定(4月20日)
米国のトランプ大統領は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長から最近書簡を受け取ったと発言したが、北朝鮮外務省は昨夜、これを否定する談話を発表した。
米国のトランプ大統領は18日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長から最近書簡を受け取ったと明らかにした。
書簡を受け取った時期や内容については言及しなかったもののトランプ大統領は先月、新型コロナウイルスの感染防止に協力する意向を示す親書を金委員長に送っていてその返信があったことを示唆するものと受け止められていた。...
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米国のトランプ大統領は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長から最近書簡を受け取ったと発言したが、北朝鮮外務省は昨夜、これを否定する談話を発表した。
米国のトランプ大統領は18日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長から最近書簡を受け取ったと明らかにした。
書簡を受け取った時期や内容については言及しなかったもののトランプ大統領は先月、新型コロナウイルスの感染防止に協力する意向を示す親書を金委員長に送っていてその返信があったことを示唆するものと受け止められていた。ところが、北朝鮮外務省は昨夜談話を発表し、「最近我々は米国の大統領に書簡を送ったことはない。事実無根だ」としてトランプ大統領の発言を否定した。
金委員長とトランプ大統領はこれまでたびたびに書簡をやりとりしているが、北朝鮮側が書簡を送ったことを否定したのは初めてである。
北朝鮮は先月以降、短距離弾道ミサイルとみられる飛翔体を相次いで発射しており、米朝の非核化を巡る交渉は再開のめどが立たない中、両首脳のやりとりの有無が焦点の一つとなっている。
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米大統領はなぜ金正恩委員長からの親書に言及したのか(4月20日)
18日米国のトランプ大統領が金正恩委員長から「好ましい書簡」を受け取ったと発表したことに対し、北朝鮮側では困惑が広がっている。
朝鮮外務省報道局の対外報道室長は19日、「米大統領がこれまでやり取りした親書について回顧したものかは正確にはわからないが、最近わが指導部は米大統領にいかなる書簡も送ったことがない」として、なぜトランプ大統領が事実無根の内容を発表したのかとその真意をさぐっている。...
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18日米国のトランプ大統領が金正恩委員長から「好ましい書簡」を受け取ったと発表したことに対し、北朝鮮側では困惑が広がっている。
朝鮮外務省報道局の対外報道室長は19日、「米大統領がこれまでやり取りした親書について回顧したものかは正確にはわからないが、最近わが指導部は米大統領にいかなる書簡も送ったことがない」として、なぜトランプ大統領が事実無根の内容を発表したのかとその真意をさぐっている。両首脳の関係は「余談として持ち出す話題ではなく、さらに利己的な目的に利用されてはならない」としている。
コロナウィルスへの対応への非難をかわすためだったのかもしれないが、トランプ大統領がなぜ親書を受け取ったと言ったのかの真意はわからない。しかし当然北朝鮮はトランプ大統領への不信感を募らせ、「余談としてもちだされ」軽く扱われたことに抗議の姿勢を見せている。首脳同士の「親しい関係」でかろうじてつながっていた米朝両国関係であるが、コロナウィルス問題もあり、進展しないどころか、大きく後退する事態にもなりかねない。
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北朝鮮・戦闘機からミサイルも発射(4月14日)
韓国軍は、北朝鮮が今朝、日本海に向かって短距離巡航ミサイルとみられる数発の飛翔体を発射したと発表した。
巡航ミサイルは低空飛行するのが特徴で弾道ミサイルと異なり、国連決議違反にはあたらない。
韓国軍関係者によると「北朝鮮はきょう巡航ミサイルとは別に戦闘機から空対地ミサイルを発射した」ということで、韓国軍は詳しい分析を進めている。
最高人民会議開催される ~金正恩委員長は参加せず~(4月13日)
12日北朝鮮の最高人民会議が開催された。出席者のなかに金正恩委員長の名前はなく、欠席したものと思われる。金正恩委員長が最高指導者になって以降、最高人民会議に参加しなかったのは2014年、15年、18年に次いで4回目。昨年は1日目は欠席したが、2日目のみ出席した。本年はすでに最高人民会議の閉会が告げられている。
最高人民会議では、歳入の予算・決算案や2019年の活動状況および20年の課題など6議案が議論され、採択された。...
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12日北朝鮮の最高人民会議が開催された。出席者のなかに金正恩委員長の名前はなく、欠席したものと思われる。金正恩委員長が最高指導者になって以降、最高人民会議に参加しなかったのは2014年、15年、18年に次いで4回目。昨年は1日目は欠席したが、2日目のみ出席した。本年はすでに最高人民会議の閉会が告げられている。
最高人民会議では、歳入の予算・決算案や2019年の活動状況および20年の課題など6議案が議論され、採択された。
2019年の歳入は、予算の1.5%増、歳出は0.2%減であった。北朝鮮は指数しか公表していないが、ラジオプレスが発表している昨年までの歳入額、歳出額をもとに計算すると、19年の決算額は歳入で91.54億ウォン、歳出で90.06億ウォンとなり、予算の段階では519万ウォンの赤字であったものが、1.48億ウォンの黒字になっている。ただし昨年に続き、予算執行の面で問題があったことも指摘されている。経済幹部が「経済活動に対する国家の統一的指導と戦略的管理を実現することができず、経済活動全般が活力あるものに前進」できなかったというのである。
一方予算では、歳入が4.2%増、歳出が6.0%増となっており、2019年の決算数字をもとに計算すると775万ウォンの赤字となる。支出では国防費を予算総額の15.9%にするとされており、昨年の予算(決算も)の15.8%より0.1ポイント高くなっている。もっとも2018年も予算では15.9%であったが、決算では15.8%になっていた。国防費の予算に占める割合は、金正恩委員長が政権について以降(2012年の最高人民会議以降)は、2013年に16.0%になったほかは、15.8%から15.9%で推移している。
また今年から国家投資固定資産減価償却金を予算に反映するとしており、減価償却の概念が導入されたことが注目され、また今後企業活動でも減価償却が導入されるかも注目される。
一方活動報告では、工業総生産額は8%増、電力部門は3%増などと報告されているが、化学工業部門は「生産を大きく成長させた」、機械工業部門は「重要指標の年間生産計画を超過遂行した」という表現にとどまっている。この2分野は北朝鮮が力をいれている分野にも関わらず、計画を遂行できなかったものと思われる。
また農業も「不利な気象条件でも穀物生産で最高収穫年度の水準を突破した」という曖昧な表現にとどまっており、計画を遂行できなかった可能性が高い。
さらに観光事業を発展させるために、2019年に金正恩委員長が度々現地指導に訪れていた三池淵市建設や陽徳温泉文化休養地などについては、建設部門のなかで述べられており、前者は「第二段階工事を完工」、後者は「奇跡的な成果を収めた」という表現がなされ、具体的な成果には触れられていなかった。
また経済制裁下では、貿易も停滞しているものと思われるが、「輸出入活動で厳しい規律と秩序をたて」「方法を革新」することが求められており、国の利益を守るために、経済制裁下の隙間をぬって貿易を行うことが求められている。
さらにわざわざ医療保健部門に言及し、医学的監視と隔離によって、コロナウィルスの感染症を防ぎ、たった一人の感染者も発生していないことが強調されている。
今年の活動方針としては、昨年末から再三強調されている「難関を正面突破」することが改めて強調されている。
また党は経済政策貫徹に向けた統一的な作戦を保障するが、経済司令部は内閣が担うとされた。
会議ではこの他に、リサイクリング法や遠隔教育法、除隊軍官生活保障法の採択が行われ、人事問題が話し合われた。
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