ロシアのウクライナ侵攻受け、北大西洋条約機構(NATO)への加盟を希望するフィンランドとスウェーデンに、トルコが「テロ組織」の存在を理由に難色を示しているが、NATOや米国は合意を得られるとの自信を示している。
5月15日付独
『DW』:「トルコがフィンランドとスウェーデンのNATO加盟に条件提示」:
トルコは、ロシアのウクライナ侵攻を機にNATO加盟を希望するスウェーデンとフィンランドについて、テロリスト支援をやめ、輸出禁止措置を解除すれば加盟を支持するとしている。NATOへの新規加盟には現加盟国による全会一致の賛成が必要となる。
トルコのチャプシオール外相は15日、ベルリンで開かれたNATOの外相会議後の取材で、2カ国が自国内テロリストへの支援をやめ、治安を維持し、トルコへの貿易制裁を撤回するよう要求したとした。...
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5月15日付独
『DW』:「トルコがフィンランドとスウェーデンのNATO加盟に条件提示」:
トルコは、ロシアのウクライナ侵攻を機にNATO加盟を希望するスウェーデンとフィンランドについて、テロリスト支援をやめ、輸出禁止措置を解除すれば加盟を支持するとしている。NATOへの新規加盟には現加盟国による全会一致の賛成が必要となる。
トルコのチャプシオール外相は15日、ベルリンで開かれたNATOの外相会議後の取材で、2カ国が自国内テロリストへの支援をやめ、治安を維持し、トルコへの貿易制裁を撤回するよう要求したとした。同外相によると、トルコは加盟を反対やけん制しているのではなく、同国がテロ組織とみなし、スウェーデンが支援しているクルド労働者党(PKK)を懸念していると主張する。
トルコは2日前、フィンランドとスウェーデンの加盟について、エルドアン大統領に「前向きな考えはない」とし難色を示していた。その理由について同大統領は、両国が「テロ組織」を支援していると批判した。
これまでもトルコはそのような批判をしてきた。特にスウェーデンについて、2016年軍事クーデターを企てたとされた在米フェトフッラー・ギュレン師をはじめ、クルド組織を支援していると批判。多くの移民はクルド系で、長期にわたるクルド系組織とトルコ治安部隊との衝突後、政治亡命を認められた者もいる。
フィンランドは15日、NATO加盟申請への姿勢を表明。ニーニスト大統領は、トルコの方向転換に少々困惑しているとし、「今我々に必要なのは、明瞭な回答であり、エルドアン大統領が指摘する問題に関し議論する用意がある」としている。スウェーデンもフィンランドに続くとされ、同日、スウェーデンの与党の社会民主労働党もNATO加盟を支持している。
トルコが反対すると、NATO加盟国での全会一致を得るのが困難となるが、NATOのストルテンベルグ事務総長は、15日、トルコ側の懸念を払しょくし、加盟問題を合意に導く自信をのぞかせた。
同日付カタール『アルジャジーラ』:「フィンランドとスウェーデンのNATO加盟に反対しているのではない、トルコが条件提示」:
NATOと米国は、トルコがフィンランドとスウェーデンの西欧軍事同盟への加盟を阻止しないとの自信をのぞかせている。
トルコは15日、NATO外相会談に合わせ、フィンランドとスウェーデンにクルド軍事組織への支援をやめ、トルコへの武器輸出制限を撤回するよう要求した。同国のチャプシオール外相は、両国外相との会談は良好に終わり、トルコの懸念に応える姿勢が示されたとする。また、テロリストの存在の証拠も提示したと主張した。
クルド軍事組織であるクルド労働者党(PKK)は、米国やEUからテロ組織に指定されている。トルコは加盟を希望する全ての欧州諸国へ加盟への門戸を広げるとするNATOの方針に反対するつもりはないとしている。
NATOのストルテンベルグ事務総長はトルコの合意への自信をのぞかせており、米国のブリンケン国務長官も、「合意に至ると信じている。NATOは対話の場だ」としている。
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ウクライナやロシアからの小麦や肥料に大きく依存している中東・北アフリカとバルカン諸国は、価格高騰と食糧危機に直面している。こうした諸国に対するロシアの影響力に対抗するために、欧州連合(EU)が積極的な「食料外交」を展開しようとしている。
カタールのメディア
『アルジャジーラ』によると、EU外交筋は、食料不足がウクライナやロシアに依存している国々に「憤り」をもたらしているものの、ロシア当局は西側の対ロシア制裁の結果であるという説明を展開していると指摘している。これはEUの影響力に対する潜在的な脅威であるため、EUは「食料外交と情報戦」によって対抗する計画だという。
中東・北アフリカ諸国、特にエジプトとレバノンは、ロシアがウクライナに侵攻して以来、供給が減少し、価格高騰に直面している。...
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カタールのメディア
『アルジャジーラ』によると、EU外交筋は、食料不足がウクライナやロシアに依存している国々に「憤り」をもたらしているものの、ロシア当局は西側の対ロシア制裁の結果であるという説明を展開していると指摘している。これはEUの影響力に対する潜在的な脅威であるため、EUは「食料外交と情報戦」によって対抗する計画だという。
中東・北アフリカ諸国、特にエジプトとレバノンは、ロシアがウクライナに侵攻して以来、供給が減少し、価格高騰に直面している。EUは「この地域を失うリスクは冒せない」と危機感を募らせている。
EUは、不足の影響を緩和するための国際的な取り組みを強化したいと考えており、国連世界食糧計画とともに、近く新たな取り組みを発表する予定である。EU最大の農業生産国であるフランスは、「FARM」と呼ばれる構想を推進しており、これには貧しい国々への世界的な食糧分配制度が含まれることになる。フランスのルドリアン外相は、ローマで行われたEU当局者と国連食糧機関との協議の後、6月のEU議長国任期終了までにこの計画に関する国際合意を目指していることを明らかにした。
EUのジョゼップ・ボレル外交政策上級代表は11日、ロシアが港を攻撃し、小麦の貯蔵所を爆撃することで、ウクライナの農産物出荷を困難にしていることを明らかにした。小麦の輸出を制限しているロシアは、ウクライナの複数の燃料貯蔵施設を空爆している。ウクライナは、小麦の貯蔵施設は満杯であるものの燃料不足のため輸出ができないでいるという。こうした状況を受けて、EUはポーランド経由で食料の輸出を促進しており、状況緩和のためにウクライナの農家への燃料の配送を支援している。
仏『ルモンド』によると、3月24日にマクロン大統領が発表したFARM構想は、3つの柱で構成されている。在庫の透明性を高め、価格を記録的な水準に押し上げている投機的現象を抑制する商業的軸、ウクライナからの穀物輸出の停止に影響を受けている諸国への連帯的軸、そして、地中海周辺とアフリカの輸入国である国々の農業部門の発展を支援する、より長期的な支援的軸である。
仏『レゼコー』によると、世界ではすでに1億6100万人が深刻な食糧不足に直面しており、国連は、ロシアとウクライナの紛争の結果、さらに800万人から1300万人が近いうちに栄養不足に陥る可能性があると推定している。こうした状況に対処するために、フランスのルドリアン外相は、6月末までにG7諸国と「組織、機構、調整メカニズム」を構築することを希望しているが、この構想の実施と成功は、インドや中国など、かなりの穀物在庫を抱えるG20諸国の参加にもかかっている。
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