安倍晋三首相肝いりで進めた“アベノマスク”の配布大幅遅延(筆者宅には6月になって漸く配達)、また、特別定額給付金の申請トラブル(郵送案内等まだ一切届かず)等々、残念ながら支持率急落の理由のひとつになってしまっている。そしてこの程、同じく同政権が前のめりで進めようとしていた国産の新型コロナウィルス(COVID-19)感染治療薬候補の“アビガン”についても、臨床試験が思ったほど捗らず、当初目標としていた5月中認可から更に2ヵ月遅れの7月になる見込みとなり、米メディアも皮肉を効かせて報じている。
6月7日付米
『ロイター通信』:「富士フイルム、COVID-19治療薬の臨床試験が7月までかかると発表」
富士フイルムは6月7日、COVID-19治療薬候補として臨床試験を進めている“アビガン”について、治験が終了できるのは7月になると発表した。
同社広報は、『日経新聞』のインタビューに答えて、治験対象となりうる軽症・中等症患者が少なく、十分な研究が進められなかったと説明した。...
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6月7日付米
『ロイター通信』:「富士フイルム、COVID-19治療薬の臨床試験が7月までかかると発表」
富士フイルムは6月7日、COVID-19治療薬候補として臨床試験を進めている“アビガン”について、治験が終了できるのは7月になると発表した。
同社広報は、『日経新聞』のインタビューに答えて、治験対象となりうる軽症・中等症患者が少なく、十分な研究が進められなかったと説明した。
当初、安倍晋三政権は5月末までに認可する予定であったが、治験が進まず、6月末まで期限を延ばしていた。
しかし、関係者によると、これまで認可に必要な治験対象の患者は約70%しか集められておらず、仮に今月中に目標人数に投薬できたとしても、28日間の観察期間が必要であるため、治験が揃うのは早くて7月で、更に遅延する可能性があるという。
世界各国でCOVID-19治療薬及びワクチン開発が進められていて、その中で、日本も5月初めに特例承認している、米ギリアド・サイエンシズ社製“レムデシビル”が一歩先行している。
また、安全性や有効性がまだ確立されていないが、ドナルド・トランプ大統領が推している抗マラリア薬の“ヒドロキシクロロキン”も注目されている。
そこで、安倍首相としては、国産治療薬の採用に専念すべく3月末、同社の“アビガン”に白羽の矢を立てた。
しかし、皮肉にも、COVID-19感染流行削減に努めてきた結果、新薬の治験に必要な患者が十分確保できない状態となっている。
一方、6月6日付クウェート『クウェート・タイムズ』紙:「クウェート、今週COVID-19治療薬“アビガン”受け入れ」
クウェート保健省は6月5日、COVID-19治療薬として日本から提供される“アビガン”を今週受け入れる予定だと発表した。
両政府関係者が在東京クウェート大使館を通じて協議した結果、4月19日に同薬提供の話がまとまり、また、世界保健機関(WHO)からも推奨されて今回の受け入れに至っている。
なお、同省は、WHOが世界で安全性及び有効性について率先して治験をまとめようとしている、米国製“レムデシビル”も今月中に受け入れる予定であるとしている。
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