中国人カップルがマーシャル諸島で自治領樹立を目論み逮捕(2022/09/09)
中国人の男女が、私欲から、マーシャル諸島の環礁に、台湾のような自治領を樹立しようとしたとして米国で起訴されたという。マーシャル諸島は米国が太平洋の軍事拠点として安全保障協定を結んでいるが、中国が影響力拡大を図っている。
9月8日付英
『Yahooニュース』(BBC):「マーシャル諸島:中国人カップルのミニ国家計画」:
米検察によると、中国人カップルが、議員や高官への賄賂を通じ、マーシャル諸島にミニ国家を作ろうと画策したという。彼らは議員らを賄賂でほのめかし、同国内の環礁に「半自治領(SAR)」を樹立しようとした。
マーシャル諸島は、ハワイとオーストラリアの間にあり、1979年米国から独立。今も米国の太平洋上の戦略拠点となっており、米国が安全保障協定を結んでいるが、中国が影響力拡大を図っている。...
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9月8日付英
『Yahooニュース』(BBC):「マーシャル諸島:中国人カップルのミニ国家計画」:
米検察によると、中国人カップルが、議員や高官への賄賂を通じ、マーシャル諸島にミニ国家を作ろうと画策したという。彼らは議員らを賄賂でほのめかし、同国内の環礁に「半自治領(SAR)」を樹立しようとした。
マーシャル諸島は、ハワイとオーストラリアの間にあり、1979年米国から独立。今も米国の太平洋上の戦略拠点となっており、米国が安全保障協定を結んでいるが、中国が影響力拡大を図っている。
米検察によると、中国人被告のヤンとチョウは、2018年と2020年に、SAR成立を盛り込んだ法案に関わり、議員数名が賄賂を受け取った後、議案に賛成票を入れたとされる。2人は2020年タイで拘束され、先週米国に送還された。
彼らはマーシャル諸島の当局者への支払いや連絡に使うため、ニューヨークを拠点とするNGOで活動していたとされる。米国の水爆実験で放棄されたロンゲラップ環礁に自治領を樹立するため、2016年から協力者とコンタクトをとり始め、海外からの投資に繋げようと、減税や移民制限緩和を狙い「同国の法律を変えること」を目的としていたという。
SAR推進会合の際は、協力者の議員や高官らのニューヨークや香港への渡航費や滞在費を負担し、少なくとも6回会食を行っていたという。ヤンはマーシャル諸島の特別顧問に任命され、2人は帰化市民権も得ていたとされる。
2018年、賄賂を受け取った議員らは、SARを支持する議案を議会に提出。だが、当時のハイネ元大統領からの強い反対にあい、議案は通過しなかった。当時ハイネ氏は中国の利益ため「環礁を国内に組み込もうとする」反対派を批判していた。
その後、ハイネ氏は2019年の総選挙で敗退。 2020年の新議会では、SARのコンセプトが決議で承認された。しかし、その後同年、ヤンとチョウはタイで拘束され、米国で海外汚職、マネーロンダリング、収賄罪の容疑で起訴された。マーシャル諸島では、野党の要求にもかかわらず、この事件の存在をまだ認めていない。
9月7日付中国『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』:「米国が防衛拠点とするマーシャル諸島で香港のような国家樹立を目論んだ中国人カップルを逮捕」:
米司法省は、旧米国領マーシャル諸島における自治領計画を含む「長期的策略」の罪で、中国人カップルが逮捕起訴されたとしている。
先週の司法省のプレスリリースによると、ケーリー・ヤン(50歳)とジーナ・チョウ(34歳)が、マネーロンダリングと海外汚職行為防止法違反の罪に問われているという。
彼らは米国領に居ながらにして、マーシャル諸島の高官に賄賂を渡そうと試みたとされ、ニューヨークの非政府団体(NGO)の関係者のふりをして、話を持ちかけたが焦点となっている。起訴内容によると、このNGOは2016年~18年頃に、国連経済社会局の特別顧問だったとされる。
ヤンとチョウ他の組織は、ロンゲラップ環礁という所に、香港のような自治政府を作ろうと策略、その自治領に経済や社会プロジェクトを誘致する狙いがあったとみられる。マーシャル諸島は、台湾の友好国で、台湾と正式な外交関係を結んでいる14カ国の一つでもある。
米FBIマイケル・ドリスコル副長官はプレスリリースで、ヤンとチョウが「マーシャル諸島の人々を犠牲の上に、個人的利益のため、複数の不法行為を行った」とし、米司法省は声明で、彼らは「マネーロンダリング罪により最大20年、海外汚職行為防止法違反により最大5年の刑となる見込み」だとしている。
マーシャル諸島は1986年米国から独立、戦後米国が水爆実験を行ったビキニ環礁で知られ、米国が軍事面で今もなお「完全なる統治義務」を維持している。
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中国:ウクライナ戦争勃発後初めて中央政府幹部をロシアに派遣【欧米・香港メディア】(2022/09/05)
中国は、表向きは西側諸国の対ロシア制裁を非難してきたが、ロシアとの高官レベルの往来は控えてきた。しかし、ウクライナ戦争でロシアが劣勢となった場合に起こり得る中国への影響を慮ってか、この程、習国家主席・李首相に次ぐ第3位の政府幹部をロシアに派遣して、強固な中ロ関係を内外に示すこととしている。
9月4日付欧米
『ロイター通信』は、「中国政府幹部高官、ロシアで開催される東方経済フォーラムに出席」と題して、中国政府が、ウクライナ戦争勃発後初めて幹部高官をロシアに派遣すると報じている。
中国の全国人民代表大会(共産党大会)常務委員会の栗戦書委員長(リー・チャンシュー、71歳、2018年就任)が、9月5日からロシアを訪問して、同地で開催される第7回東方経済フォーラム(EEF、注1後記)に出席することになった。...
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9月4日付欧米
『ロイター通信』は、「中国政府幹部高官、ロシアで開催される東方経済フォーラムに出席」と題して、中国政府が、ウクライナ戦争勃発後初めて幹部高官をロシアに派遣すると報じている。
中国の全国人民代表大会(共産党大会)常務委員会の栗戦書委員長(リー・チャンシュー、71歳、2018年就任)が、9月5日からロシアを訪問して、同地で開催される第7回東方経済フォーラム(EEF、注1後記)に出席することになった。
中国国営メディア『新華社通信』が報じたもので、栗委員長は習近平国家主席(シー・チンピン、69歳、2012年就任)・李克強首相(リー・クーチアン、67歳、2013年就任)に次ぐNo.3の地位にあり、ウクライナ戦争勃発以降に訪ロする最高幹部となる。
同委員長は、9月5日からウラジオストクで開催されるEEFに出席した後、9月7日から17日にかけて、モンゴル、ネパール、韓国を歴訪する予定であるという。
ただ、同委員長は、来月中旬に開催される中国共産党大会を最後に退任するとされている。
なお、習国家主席は今年2月、北京冬季大会開会式出席のために訪中したプーチン大統領と首脳会談した際、中ロ両国間は“無限の”パートナーシップ関係にあると表明している。
同日付香港『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』紙は、「中国No.3の栗戦書委員長が訪ロ」として、ウクライナ戦争勃発後初となる最高幹部の訪ロについて、習国家主席・プーチン大統領間首脳会談の露払いとなるとみられると報じている。
中国中央政治局(注2後記)第3位の地位にある栗委員長が、9月5日の週からロシア他を歴訪する。
中央政治局委員は習国家主席を含めて、2020年初めの新型コロナウィルス感染流行問題(パンデミック)発生以来、外遊を控えてきているため、栗委員長の訪ロでいよいよそれが解禁されることになるとみられる。
また、ウクライナ戦争勃発後以降、中国高官の訪ロは初めてとなるが、9月15日にウズベキスタンで開催される上海協力機構(SCO、注3後記)に中ロ両首脳が出席するとみられるため、今年2月以来の両首脳会談開催の露払いのための訪ロとも考えられる。
なお、中国外交トップである楊潔篪中央外事活動委員会弁公室主任(第16位の地位、ヤン・チエチー、72歳、2013年就任)は、パンデミック後も唯一外遊し、アントニー・ブリンケン国務長官(59歳、2021年就任)との会談のために訪米したりしていた。
(注1)EEF:ロシア極東部へ外国からの投資を促すのが主目的の国際会議で、2015年から毎年9月にウラジオストクの極東連邦大学を会場として開催。ウラジーミル・プーチン大統領(69歳)、安倍晋三首相(1954~2022年、2006~2007年及び2012~2020年在任)も毎年出席していた。
(注2)中国中央政治局:中国共産党を指導し、政策を討議・決定する機関。同委員会は25名で組成。通常5年に一回開かれる全国人民大会(共産党大会)で指名・承認される。なお、同局の上部機関に中央政治局常務委員会(トップ7人で構成)が実質的な最高機関である。
(注3)SCO:中国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタン・インド・パキスタンの8ヵ国による多国間協力組織、もしくは国家連合。2001年に、前身となる上海ファイブ(最初の5ヵ国)として設立されたために「上海」の名を冠するが、本部(事務局)は北京。
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