ワクチン優等生のチリ、新型コロナウイルス感染者の急増で再度ロックダウン(2021/03/29)
昨年12月からワクチン接種を開始した南米チリでは、すでに国民の約半数が少なくとも1回のワクチン接種を受けているものの、新型コロナウイルスの第2波に見舞われており、2回目の大規模ロックダウンを実施する。
シンガポールの
『チャンネル・ニュース・アジア』によると、南米チリでは25日までに、国民の600万人以上が1回目の接種を受けており、310万人が2回目も接種した。そのほとんどが70歳以上の高齢者である。しかし、同日、チリ政府は1900万人の人口のうち80%以上の人々が対象となる2回目のロックダウンを発表した。
ワクチン接種が進んでいるにもかかわらず、より感染力が強いとされるウイルスの変異株が大陸全土に広がっており、感染者が急増している模様だ。...
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『チャンネル・ニュース・アジア』によると、南米チリでは25日までに、国民の600万人以上が1回目の接種を受けており、310万人が2回目も接種した。そのほとんどが70歳以上の高齢者である。しかし、同日、チリ政府は1900万人の人口のうち80%以上の人々が対象となる2回目のロックダウンを発表した。
ワクチン接種が進んでいるにもかかわらず、より感染力が強いとされるウイルスの変異株が大陸全土に広がっており、感染者が急増している模様だ。25日には、1日の新規感染者が7,000人を超えた。昨年のロックダウンを含め、これまでに2番目に高い数字となった。
チリの集中治療学会会長のダーウィン・アクナ氏は、高いワクチン接種率と感染率の間には、断絶があるように見えると語っている。チリでは、昨年の12月24日に医療従事者へのワクチン接種を開始し、2月からは90歳以上の高齢者から始めて、一般の国民に対象を広げていった。
しかし、ワクチン接種が早いペースで進んだことや夏休みに入ったことで国民の気が緩み、さらには変異株の到来により、新たな感染の波が押し寄せてきたと見られている。
アクナ会長は、「最もリスクの高い人たちは、まだ2回目の接種を受けたばかりなので、ワクチンの効果はまだ出ていない」ものの、4月中旬には、最もリスクの高い人たちの重症患者数が減少していくことを期待していると説明している。
医療関係者によると、昨年のパンデミックの第1波以降、集中治療室に入る患者の傾向に変化が出始めているという。保健省は、病院での治療を必要とする患者の年齢が劇的に下がり、感染防止対策に消極的な傾向がある若い人が増えていると説明している。また、新型コロナウイルスのブラジル型やイギリス型の感染者も確認されており、重症患者が増えている。
政府の目標は、6月30日までに1,500万人に予防接種を行い、「集団免疫」を達成することだという。当局は既に約610万人に中国製ワクチン「コロナバック」またはファイザー社製のワクチンを一回投与している。
教師、消防士、慢性病患者、ジャーナリスト、公共部門の職員、薬局の職員、通信会社の職員などはすでに1回目の投与を受けている。医療従事者や高齢者のほとんどは2回目を受けている。
『ザ・ガーディアン』によると、2回目のロックダウンは、首都サンチアゴの全住民を含む、1900万人の国民の80%以上が対象となっており、27日の週末には、食料品や薬局の備品を買うためにさえ家を出られない厳しい外出規制が設けられた。平日は、必需品を買うために家を出る短期許可証が一人2枚与えられ、午前7時から8時半までは屋外で運動することが認められている。
集中治療室のベッドは全国で169床しか残っておらず、稼働率は95%を超えている。
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イギリス軍、新たな脅威に対し軍隊の近代化と規模の縮小を進める(2021/03/24)
イギリス政府は、新たな脅威や未来の戦争に備えるために軍隊の近代化を推し進めていくことを発表した。数十年にわたって英国の防衛の要となってきた戦車、艦船、航空機は、サイバー技術や宇宙技術の導入に合わせて段階的に廃止されていくことになる。
英
『テレグラフ』によると、ウォレス国防相は22日、議会で「脅威の変化に伴い、我々も変化しなければならない。どのような武器を退役させるのか、なぜそうするのか、どのように代替するのかを明確にしておかなければならない。」と述べた。
仏『レゼコー』は、国防相が21日、「デイリー・テレグラフ」紙の取材に、脅威は過去30年間で「認識できないほど」変化していると警告したと報じている。そして、「もはや、欧米軍の優位性を当然のことと考えることはできない。...
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英
『テレグラフ』によると、ウォレス国防相は22日、議会で「脅威の変化に伴い、我々も変化しなければならない。どのような武器を退役させるのか、なぜそうするのか、どのように代替するのかを明確にしておかなければならない。」と述べた。
仏『レゼコー』は、国防相が21日、「デイリー・テレグラフ」紙の取材に、脅威は過去30年間で「認識できないほど」変化していると警告したと報じている。そして、「もはや、欧米軍の優位性を当然のことと考えることはできない。敵は私たちよりも遥かに多くの選択肢を持っている」。「私たちは、宣戦布告とまでいかない、ギリギリの攻撃に直面するようになっている。」と語っている。
こうした状況に対応するために、国防白書は、今後イギリス軍がサイバー紛争、宇宙、ロボット工学に軸足を移す方針を明確にしている。戦車は退役し、伝統的な掃海艇は最新の自律型掃海艇に取って代わり、旧式の航空機は最新の航空機に置き換えられる。
『テレグラフ』は、イギリス政府は未来の戦争を戦うために厳しい決断を下し、さらには、2030年までに宇宙で重要な役割を果たすという野望の達成に向けて努力していると伝えている。
なお、「未来の軍隊」には230億ポンド(約3兆4千億円)の投資が見込まれている。これには、戦車、装甲車、ロケット弾、防空、戦術的な監視用ドローンなどのアップグレードや、新しい電子戦やサイバー空間の能力向上が含まれる。それに伴い、人員と装備の両方が削減される。陸軍の規模は2025年までに、現在の常備軍の兵士が76,000人から72,500人に削減される。これは、「よりスリムで、より殺傷力があり、より軽快な」陸軍を作るという国防省の公約の一環だという。
英『ザ・ガーディアン』によると、国防相は、数や規模を重視してきたことで、不要な艦船や連隊を生み出してしまったと説明しており、今後は兵士の人数よりも、より殺傷力の高いハイテク技術や無人機を使った戦争へ移行していく方針を明らかにした。
今後、英国海兵隊などの部隊は、携帯電話のアプリを使って戦場で敵味方の位置を確認しながら、軍事ドローンを使って攻撃していくことになる。軍当局者らは、この新技術の活用によって兵士一人一人の力を数倍に高めることができると考えている。
昨年、米カリフォルニアで行われた市街戦の演習では、状況認識技術の助けを借りて、100人近くのイギリス海兵隊員が1,500人の米国人兵士を撃破したという。
今後イギリス軍は、米国陸軍のグリーンベレーをモデルとした特殊作戦部隊も創設する方針だ。同盟国軍を支援するために「迅速な展開」と「秘密裏の活動」を行っていくことで、発生した紛争に迅速に対処し、その拡大を防ぐことができるようになるのが目的だ。
ニック・カーター国防参謀長は、「大きさや形にこだわるよりも、私は我が軍と軍隊の致死性、適合性、回復力、即応性にこだわる 」と述べている。
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