米中央情報局(CIA、1947年設立)トップがこの程、ロシアのウクライナ軍事侵攻で反って西側諸国の結束という望ましからぬ結果がもたらされているという現実から、中国指導部が台湾への軍事侵攻について懐疑的になりつつある、とコメントした。
2月27日付
『AP通信』は、「CIA長官、中国が台湾軍事侵攻に懐疑的なっている可能性があるとコメント」と題して、ウィリアム・バーンズ長官(66歳、2021年就任)のコメントを詳報している。
CIAのウィリアム・バーンズ長官はこの程、習近平国家主席(シー・チンピン、69歳、2012年就任)がこれまで、台湾統一のために“2027年までに軍事侵攻”できる態勢整備を中国軍に指示してきていたが、ロシアによるウクライナ軍事侵攻における苦戦に鑑み、果たして台湾軍事侵攻を決断して良いものか懐疑的になっている可能性があると表明した。
同長官が、2月26日の『CBS』報道番組「フェイス・ザ・ネーション(1954年放送開始)」に出演してコメントしたものだが、仮に軍事衝突が避けられるとしても、米国としては習国家主席が台湾併合を切望していることについて“常に深刻に”捉えておく必要があると説いた。
同長官は、“習国家主席が、2027年までに台湾軍事侵攻できるよう態勢を整えるべく中国軍に指示していることは公表されていることだが、それは同国家主席が決断しているということを意味するものではない”とも付言した。
その上で同長官は、“CIAとしての判断であるが、習国家主席は台湾軍事侵攻を果たせるかどうか疑心暗鬼になっていると考えられる”と強調した。
中国では、1949年に中国共産党が国民党との内戦に勝利し、中国本土を統一した。
爾来、国民党は台湾に逃れ、独自の中華民国を立ち上げていた。
しかし、1979年、米国は当時のジミー・カーター大統領(当時55歳、1977~1981年在任)が台湾と決別し、中国と国交を樹立することを決定した。
ただ、同時に「台湾関係法(注後記)」を制定し、民間はもとより、非公式での米政府関係者の交流等を継続することとしている。
現在では、中国による覇権主義の台頭を牽制する目的もあって、米歴代政権が中国牽制のアジア政策を展開してきており、その一環で台湾への政府要人訪問や武器提供が活発化してきている。
ジョー・バイデン大統領(80歳、2021年就任)は昨年、もし中国が台湾軍事侵攻をしてきたら、米国は台湾を擁護すると表明していたが、ホワイトハウスとしては、台湾問題は平和裏に解決されることを望む、という従来方針に変更がない旨追加コメントしている。
なお、バーンズ長官はインタビューの中で、ウラジーミル・プーチン大統領(70歳、2000年就任)のウクライナ軍事侵攻に対抗して、米国及び欧州が一丸となってウクライナ支援に動いている事態を目の当たりにして、中国自身が台湾軍事侵攻に踏み切った場合の反発を懸念せざるを得なくなっていると考えられる、と強調した。
同日付『ウォールストリート・ジャーナル』紙は、「CIA長官、中国が台湾侵攻能力に疑念を募らせている可能性があると表明」と報じている。
バーンズ長官は2月26日、ロシアがここ1年にわたりウクライナ領土の掌握や維持に苦戦していることを受けて、中国の習国家主席は、中国軍が2020年代に台湾侵攻で成果を上げられるかについて疑念を募らせているだろう、と述べた。
同長官は、“CIAの判断として、習国家主席や軍指導部が、現時点で侵略を達成できるかについて、少なくとも疑念を抱えていると思う”とした上で、プーチン大統領がウクライナで経験していることを目にして、かかる疑問が更に高まっているだろう、と言及した。
ただ、同長官は、米政府が中国による台湾侵攻の脅威を深刻に受け止めている、とも付言した。
なお、米情報当局や国防当局関係者が、習国家主席は2027年までには侵略の準備を整えようとしているとみているが、同長官自身は、これは確定したものではないと強調している。
(注)台湾関係法:台湾の安全保障のための規定を含む米国内法。カーター政権による台湾との米華相互防衛条約の終了に伴って1979年に制定されたもので、台湾を防衛するための軍事行動の選択肢を合衆国大統領に認める。但し、米軍の介入は義務ではなくオプションであるため、同法はアメリカによる台湾の防衛を保障するものではない。
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1月3日付
『ブルームバーグ』オンラインニュース(1981年設立)は、「IMF専務理事、2023年は厳しい年と警告」と題して、2023年の世界経済見通しが厳しいと警鐘を鳴らしたと報じている。
IMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事(69歳、ブルガリア人経済学者、2019年就任)は1月1日、2023年の世界経済は“厳しい年となり、昨年を上回る厳しさ”になると警鐘を鳴らした。
同専務理事が、米メディア『CBS』(1927年開局)の日曜放送の報道番組「フェイス・ザ・ネーション」(1954年放送開始)に出演してコメントしたもので、“世界の三大経済圏-米国・中国・欧州連合(EU)-が揃って同時に景気後退に陥ると予想するからだ”と言及している。...
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1月3日付
『ブルームバーグ』オンラインニュース(1981年設立)は、「IMF専務理事、2023年は厳しい年と警告」と題して、2023年の世界経済見通しが厳しいと警鐘を鳴らしたと報じている。
IMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事(69歳、ブルガリア人経済学者、2019年就任)は1月1日、2023年の世界経済は“厳しい年となり、昨年を上回る厳しさ”になると警鐘を鳴らした。
同専務理事が、米メディア『CBS』(1927年開局)の日曜放送の報道番組「フェイス・ザ・ネーション」(1954年放送開始)に出演してコメントしたもので、“世界の三大経済圏-米国・中国・欧州連合(EU)-が揃って同時に景気後退に陥ると予想するからだ”と言及している。
IMFは昨年10月、世界経済の3分の1余りが2023年にマイナス成長となり、全世界の国内総生産(GDP)伸び率が、25%の確率で、IMFが世界的な景気後退と定義する2%未満になると警告していた。
1月2日付『CNNニュース』は、「IMF、2023年には世界の3分の1が景気後退に陥ると警告」と詳報している。
IMF専務理事は1月1日、2023年には米国・中国・EUの景気後退に伴い、世界経済にとって厳しい年になる、と語った。
同専務理事は、“三大経済圏の景気後退の影響を受けて、昨年よりも厳しい経済状況に陥る”と警告している。
そして、“米国の景気後退は回避できるかも知れないが、欧州はウクライナ戦争でかなり深刻な打撃を被っているので、EU加盟国の半分は景気後退に見舞われるだろう”とした。
更に、同専務理事は、“中国経済が2022年の頑なな「ゼロコロナ政策」で大きく沈み、この影響が世界にも及ぶこととなるため、2023年の世界経済成長率は+2.7%と2022年の+3.2%より鈍化すると見込まれる”と表明した。
習近平国家主席(シー・チンピン、69歳、2012年就任)は先週末、2022年の経済成長率は少なくとも4.4%になったとみられると、多くのエコノミストが予想していたより高い数値を上げた。
それでも、2021年の8.4%よりは大きく下げた結果となる。
しかし、同専務理事は、“中国の2022年の経済成長率は直近40年で初めて、世界経済成長率並みかそれを下回るとみられる”とし、“コロナ禍前は、世界の経済成長率の34~40%は中国の経済成長率に依るところとなっていたが、今後はそこまで大きなシェアを占めることにはならないだろう”と評価している。
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