中国国営メディア、東ティモールとの領有権問題で二枚舌を使う豪州は南シナ海領有権問題に口を挟むなと脅し【豪州・中国メディア】(2018/01/02)
既報どおり、習近平(シー・チンピン)国家主席の第2期目が盤石となって以降、中国は着々と東・南シナ海域制圧に向け、新規中型輸送機・新型誘導ミサイル搭載フリゲート艦をそれぞれ配備し、更に、海上偵察部隊を強化している。そしてこの程、域外国の干渉は許さじと頑なな対応をしてきた日米に加えて、新たに豪州に対しても厳しい対応を打ち出そうとしている。すなわち、中国国営メディアの論説面で、南シナ海でフィリピンと合同演習を展開した豪州に対して、インド洋東端のティモール海における東ティモールとの領有権問題で“ダブル・スタンダード(二枚舌)”を取っていると非難した上で、中国との貿易で最大の恩恵を得ている以上、経済制裁もちらつかせて豪州を懲らしめるべきと形振り構わぬ強硬論を展開した。
12月31日付中国
『環球時報』:「張也氏:南シナ海への干渉で豪州の窮状が増々深刻化」
以下は、中国海洋研究所研究員の張也(チャン・イエ)氏の論説である;
豪州はかつて、労働党政権であったケビン・ラッド(2007~2010年)及びジュリア・ギラード(2010~2013年)の両元首相時代、南シナ海領有権問題に関して中立であった。
しかし、近年、特に米国が“航行の自由作戦”を打ち出してからは、豪州も方針を変更して南シナ海に干渉するようになった。...
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12月31日付中国
『環球時報』:「張也氏:南シナ海への干渉で豪州の窮状が増々深刻化」
以下は、中国海洋研究所研究員の張也(チャン・イエ)氏の論説である;
豪州はかつて、労働党政権であったケビン・ラッド(2007~2010年)及びジュリア・ギラード(2010~2013年)の両元首相時代、南シナ海領有権問題に関して中立であった。
しかし、近年、特に米国が“航行の自由作戦”を打ち出してからは、豪州も方針を変更して南シナ海に干渉するようになった。それは、豪州という中規模な国が、両大国の米中の狭間で揺れ動く呈を成し、もし米中関係がこじれた場合、豪州としてどちらを選ぶかという大きな問題にぶち当たることになろう。
特に、現自由党政権のマルコム・ターンブル首相(2015年~)は、豪州の外交における自立に重きを置き、例えば南シナ海領有権問題においても自国の持論を展開して干渉してきている。しかし、この対応は豪州にとって大きな混迷に陥る原因となろう。
すなわち、中国は、反って南シナ海の安定を損なうだけであるとして、域外者である豪州の関与を許さないだろう。場合によって、豪州の最大の貿易相手国(注後記)である中国は、経済制裁も検討せざるを得なくなろう。
一方、豪州は、かつてフィリピンが提訴した常設国際仲裁裁判所(PCA、本部はハーグ)の仲裁裁定について支持を表明した。しかし、ティモール海(インド洋東端のティモール島と豪州の間の海)に賦存する天然資源の帰属問題について、東ティモールがPCAに提訴したところ、それは一切無効であり裁定には従わないと、二枚舌の主張を展開している。
従って、豪州は、近年の中国の目覚ましい躍進に伴う国際情勢の変化をよく認識し、中国が進めている南シナ海の関係国との平和裏な対話に余計な口を挟まないよう強く進言する。
1月1日付豪州
『シドニー・モーニング・ヘラルド』紙:「中国国営メディア、豪州の南シナ海への“干渉”を許さじと警告」
中国国営メディアの
『環球時報』は12月31日、張論説委員の意見を掲載し、豪州が中国の南シナ海問題に余計な干渉を続ければ、中国は、豪州経済が深刻な状況に落ち込む結果となる対策を取ることになろうと脅した。
同紙論説の2週間前、中国の海軍トップが豪州のティム・バレット海軍中将の発言を公式に非難している。すなわち、同中将が、昨年9月に豪州艦が演習の途中で南シナ海の中国領海内に立ち行ったことに対して、航行の自由だと主張したことを受けたものである。
更に、昨年12月初め、中国外交部は、在中国ジャン・アダムス豪州大使を召喚し、ターンブル政権が中国による豪州政治システムへの干渉があると中傷したことについて、公式に非難している。
そもそも、張論説委員が所属する中国海洋研究所は中国人民解放軍の出先機関であり、その張氏が主張する、豪州の南シナ海干渉で豪州が経済的にも地政学的にも深刻な状況に陥るとの見解は、豪州国内の読者に向けて、中国に抗うより信奉する方が良いと訴える意図のものと考えられる。
直近の豪州の外交白書において初めて、中国の力による勢力変更に懸念を抱いていると表現されている。ただ、豪州の公式見解は、どちらの国に肩入れするものではなく、対話による国際紛争の解決が重要であるという主張の下、あらゆる外交ルートや国際会議を通じて、中国の軍事拠点化を止めさせていくということである。
(注)豪州の貿易相手国:2016年データによると、輸出先①中国29.5%、②日本19.3%、③韓国8.0%、輸入先①中国18.4%、②米国11.5%、③日本7.9%。
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米・ロシア・豪州・中国メディア;今年も緊張が続く南シナ海(2017/01/09)
中国は、対中国強硬派のトランプ新大統領就任前に、国内初の空母を使って南シナ海で軍事訓練を実施して、同海域におけるプレゼンスを高めようとしている。一方米国は、中国を逆なでするように台湾の蔡総統の訪米を受け入れ、中国に揺さぶりを掛けている。また、日本も日米同盟の継続・強化に期待して、米国のアジア戦略に貢献できるよう、東南アジア諸国との軍事連携の進捗に努めている。更にフィリピンのドゥテルテ大統領は、親ロ派とみられるトランプ大統領に期待しながらも、中国のみならずロシアに擦り寄っていくことで、対中交渉を有利に運ぼうと画策している。
1月9日付米
『AP通信』:「南シナ海をめぐる最近の情勢」
「●中国は、東南アジアの近隣小国に睨みを利かせるべく、国内初の空母“遼寧(リャオニン)”(2012年就役)を南シナ海に派遣して、初の艦載機の離着陸訓練を実施。
●中国外交部(省に相当)の華春瑩(ホァ・チュンイン)報道官は、“遼寧”の南シナ海航行は、国際法に基づく航行の自由原則に準じているとコメント。
●これに対して、安倍晋三首相の真珠湾訪問に随行した高官は、日米両首脳は会談の中で、中国空母の活動について懸念を表明したとコメント。...
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1月9日付米
『AP通信』:「南シナ海をめぐる最近の情勢」
「●中国は、東南アジアの近隣小国に睨みを利かせるべく、国内初の空母“遼寧(リャオニン)”(2012年就役)を南シナ海に派遣して、初の艦載機の離着陸訓練を実施。
●中国外交部(省に相当)の華春瑩(ホァ・チュンイン)報道官は、“遼寧”の南シナ海航行は、国際法に基づく航行の自由原則に準じているとコメント。
●これに対して、安倍晋三首相の真珠湾訪問に随行した高官は、日米両首脳は会談の中で、中国空母の活動について懸念を表明したとコメント。
●そして先週、米大型原子力空母“カール・ヴィンソン”中心の空母戦闘群を西太平洋に派遣し、アジア太平洋地域に唯一配備されている大型原子力空母“ロナルド・レーガン”(母港は横須賀基地)の防衛体制を強化。
●米国防総省のピーター・クック報道官は、アジア太平洋地域及び南シナ海において、常に米軍のプレゼンスを示しておくことが重要とコメント。
●一方、米国より中国寄りの方針を表明しているフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は先日、フィリピンは中国と共同して南シナ海における資源開発に当りたいと考えるが、もし中国側が一方的にフィリピン領海内において天然資源を勝手に掘り始めたら、昨年7月の常設仲裁裁判所(PCA)の裁定に則り、中国に強く抗議する意向だと表明。」
1月7日付ロシア
『RT(ロシア・トゥデイ)テレビニュース』:「日本、東南アジア諸国の
海上警備で連携強化」
「●日本の海上保安庁は、特に南シナ海における緊張の高まりを受けて、東南アジア諸国の海上警備の強化のため連携していく意向。
●安倍政権は直近で、中国の海洋進出や北朝鮮のミサイル開発の脅威に対抗するため、過去最高の防衛予算を計上。
●そして、地域の法秩序を維持するため、東南アジア諸国と海上警備で連携することが肝要とし、既にタイやミャンマーと連携協議を4月に行うことを決定。
●また日本政府は1月6日、フランスとも共同訓練について協議することで合意したと発表。」
同日付豪州
『シドニー・モーニング・ヘラルド』紙:「南シナ海:フィリピンのロドリゴ・
ドゥテルテ氏、米に冷たくしてロシアに擦り寄り」
「●物議を醸してきたフィリピンのドゥテルテ大統領は、米国と袂を別ち、ロシアとの同盟関係構築の意思を表明。
●ドゥテルテ氏は、マニラに寄港したロシアの対潜艦艇に乗船した際、ロシア艦艇の訪問はいつでも歓迎するとし、今後ロシアと同盟関係を築きたいとも発言。
●この直前にロシアの駐フィリピン大使のイーゴリ・コバエフ大使が、ロシアからフィリピンに近代兵器を供与する意向であると表明。
●なおドゥテルテ氏は、ロシアとの共同軍事訓練の考えにも触れ、今年4月に訪ロを計画しているとも発表。
●ただドゥテルテ氏は、ドナルド・トランプ氏の大統領選当選に対して祝辞を発信。」
同日付米
『Yahooニュース』(
『AFP通信』配信):「台湾総統、中国が注目する中米国に向け出発」
「●台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は1月7日、9日間の米大陸歴訪に出発。
●蔡氏の目的は、台湾と国交のある中米諸国(ホンジュラス、ニカラグア、グァテマラ、エルサルバドル)訪問であるが、途中米国に立ち寄り、トランプ次期大統領と面談するのではないかと推測。
●しかし中国政府は、12月にトランプ氏が蔡氏と電話会議をした際に強硬にクレームしただけでなく、今回も蔡氏を米国に入国させないよう要求。」
一方、1月9日付中国
『新華社通信』:「策略は米中関係にとって有害」
「●蔡総統を米国に入国させるだけでなく、米政府高官と面談させることは、1970年代以降築き上げられた米中関係の前提である“一つの中国”原則に背くもの。
●にも拘らず、テッド・クルーズ上院議員とテキサス州のグレッグ・アボット知事が1月8日、蔡総統と面談。
●中国が礎とする原則を無視して、米国が台湾との関係再開という策略をめぐらすならば、米中両大国の関係のみならず、アジア太平洋地域含めた世界の秩序維持に有害となると断言。」
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