4月22日付米
『シカゴ・トリビューン』紙の報道記事「中国、(南シナ海の)人工島に原子力発電プラント建設計画」:
「・中国国営メディアの4月22日報道によると、中国は、南シナ海沖での石油開発用や、直近2年間で建設した人工島への電力供給のため、約20基の浮動式原子力発電プラントを建造する計画。
・製造に当るのは、原子力潜水艦も建造している、中国最大の造船所の中国船舶重工集団(CSIC)。
・浮動式原発プラントは世界で数十年間も開発が進められていて、直近ではロシアが北極海などで使用のため建設中。
・原子力の海上使用としては、米海軍が既に原子力潜水艦や原子力空母を実用化済み。
・中国も原子力潜水艦を何年も保有しているとは言え、これを海上の固定式原子力発電機に変換するには技術的にかなり困難。
・米軍事専門家は、浮動式原発プラントによって、石油掘削用電力だけでなく、中国が人工島に建設した対空レーダーの傍受範囲を広げる等に資する。
・更に同専門家は、中国は既に人工島建設で同海域のサンゴ礁を損壊させる等自然破壊を行っており、強烈な台風が何度も襲う同海域に浮動式原発プラントを配備することによって、万一原発事故を発生させるリスクを高める必要はないと酷評。」
同日付米
『スラッシュ・ギア』科学・技術紙の報道記事「中国、人工島への電力供給用に
浮動式原子力発電プラントを開発」:
「・CSIC幹部の劉(リウ)氏は、南シナ海における石油掘削のための電力供給など、民間需要に応えるためと強調。
・最初の浮動式原発プラントは2018年完成予定。
・なお、目下中国は、南シナ海での海洋活動のための電力供給源として、依然石炭や石油火力発電を許容。」
同日付英
『ジ・インディペンデント』紙の報道記事「中国、領有権争いの南シナ海に浮動
式原子力発電プラント配備か」:
「・中国国営メディア
『環球時報(人民日報傘下)』は、中国は海上の浮動式原子力発電プラントを開発・建造中で、完成すれば南シナ海の人工島まで海上搬送し、人工島の諸設備への永続的電力供給が可能と報道。
・一方、ベトナム訪問中の米国務省のアントニー・ブリンケン副長官は4月21日、中国含めた如何なる国の南シナ海における緊張昂揚につながる活動に反対すると強調。
・ただ、中国外交部(省に相当)の華春瑩(ホァ・チュンイン)報道官は4月22日の定例記者会見で、報道記事の内容は承知していない、とのみコメント。」
同日付中国
『環球時報』の報道記事「中国、初の浮動式原子力発電プラント完成間近」:
「・本紙のインタビューに答えて、CSIC幹部の劉氏は4月21日、浮動式原子力発電プラントは約20基建造する計画だが、正確な数は市場の需要次第とコメント。
・実際に建造するのはCSIC傘下の渤海(ポーハイ)造船重工で、中国国家発展・改革委員会の認定を受け、4月19日より地元の遼寧(リャオニン)省政府と開発拠点の建設予定地などの打合せを開始。
・CSICの関係者は、浮動式原子力発電プラントの市場規模としては、海上での石油掘削用だけで1,000億人民元(154億5千万ドル、約1兆7千億円)と試算。」
また、4月23日付豪州
『シドニー・モーニング・ヘラルド』紙の報道記事「領有権争いの
南シナ海に、中国が浮動式原子力発電プラントを配備計画」:
「・中国が浮動式原子力発電プラントを配備することになると、南シナ海における石油掘削等の民間利用だけでなく、既設のレーダー設備の機能強化等軍事上も有効となることから、同海域の緊張を更に高めることになると懸念。
・米国務省報道官は、中国メディアの報道内容について関心を持っており、当該設備の配備によって、安全保障はもとより環境破壊につながりかねないリスクを憂慮するとコメント。
・原子力専門家も、南シナ海はしばしば強烈な台風に襲われるため、万一洋上で原子炉の炉心融解事故が発生した場合、同プラント搬送船のみならず、同海域に深刻な放射能被害をもたらす恐れがあると批評。」
閉じる
昨年ローマ法王が訪米した際、その熱烈な歓待ぶりがマスコミに大きく取り上げられた。カトリックは世界に大きな影響力を持つわけだが、スキャンダルにも苦しんでいる。2002年から2012年にかけて、教会内で聖職者による子どもへの性的虐待がアメリカ、イギリスをはじめ世界各地で問題となり、訴訟にまで発展したものもある。これらは事の性質上、上層部に隠蔽されてきたことが明らかになり、世論から大きな非難を浴びた。この度、教会の上層部が作成した司教の指導書に、子どもへの性的虐待について「司教には警察などへの通報義務はない」とする記述があることが明らかとなり波紋を呼んでいる。各メディアは以下のように報じている。
2月10日付
『ザ・ガーディアン』(英)は今回問題となっている指導書は高位聖職者向けに書かれたもので、「問題が多いとされる」フランス人のアナトリア神父によるものだと報じている。同氏は家族問題に関する高聖職者会議の顧問であり、心理療法士でもあるが、同性愛者に対する見解が世論から非難を浴びている。指導書には、子どもに性的虐待が行われた恐れがある場合、当該地域の法律に従う必要はあるものの、基本的には外部に告発する義務はなく、内部報告義務があるにとどまると記述されている。その理由は「統計によれば虐待は大部分が家庭内や友人関係、近隣関係で起きており、権力を濫用したものは少ない。また虐待の被害の告発は、性質上被害者本人やその家族の意思に委ねられるべき」というものである。
これについて同記事は、ローマ法王が子どもへの性的虐待について「毅然たる態度」をとり、「問題の根絶のために可能なあらゆる手段を取るべき」としていることと相いれないと批判している。
2月11日付
『ニューズウィーク』(米)はさらに、今回問題となっている記述は、2014年に虐待問題に対処すべく設立された「未成年者保護のための教皇庁委員会」の主張とも食い違うとしている。同委員会は今月初め「教会内の地位あるものは、虐待の訴えに対して真摯に対応すべき」との提案をローマ法王に対して行っているという。
これに対して、教会の不正を追及する団体は「毅然たる態度」という言葉は教会からよく聞こえてくるが、教会全体の公式見解を表すものではなく、指導書の内容にも驚いてはいないと冷めた目線のコメントを発表している。
同日付
『シドニー・モーニング・ヘラルド』(豪)では教会内での性的虐待被害者の保護団体のコメントを掲載している。「教会の名誉保護を目的としたものであり、子どもの保護はないがしろにされている。教会は外部からの圧力がなければ変わらないことが明確になった。宗教関係者に警察などへの法的報告義務を課す法整備が絶対に必要だ」。
閉じる