既報どおり、国際刑事警察機構(ICPO、通称インターポール)の孟宏偉前総裁(モン・ホンウェイ、64歳)が、9月に中国に一時帰国以来行方知れずとなっていた問題で、中国公安部(省に相当)は同氏を収賄などの容疑で捜査していることを明らかにした。同氏の妻は、同氏が以前より何者かに脅迫されていたとしてフランス当局に通報していたが、実際には中国当局が絡んでいたことになる。しかし、中国側は、現在も同氏の妻が脅迫されているとの報道に対して、一切関係ないと一蹴した。
10月10日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「中国政府、インターポール前総裁の妻が依然脅迫されているとの訴えに一切無関係と一蹴」
中国外交部の陸慷(リウ・カン)報道官は10月10日、中国当局に拘束されているインターポール前総裁の孟氏の妻が、依然何者かに脅迫されているとの報道に関して、中国当局は一切不承知と断言した。
ただ、同報道官は、もし孟氏の妻が中国人であるなら、中国領事館官吏がコンタクトすることは“自然なこと”と付言した。...
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10月10日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「中国政府、インターポール前総裁の妻が依然脅迫されているとの訴えに一切無関係と一蹴」
中国外交部の陸慷(リウ・カン)報道官は10月10日、中国当局に拘束されているインターポール前総裁の孟氏の妻が、依然何者かに脅迫されているとの報道に関して、中国当局は一切不承知と断言した。
ただ、同報道官は、もし孟氏の妻が中国人であるなら、中国領事館官吏がコンタクトすることは“自然なこと”と付言した。
孟氏の妻のグレースさんによれば、9月25日に孟氏からナイフの絵文字メールが送られてきて、同氏のみならず、自分たち家族も危険に曝されていると思い知ったと言い、それから1週間後、中国語を話す男から脅迫めいた電話を受けたという。
グレースさんは、孟氏が行方知れずとなる前から、何者かに脅迫されていたとして、フランス当局に通報していた。
しかし、グレースさんによると、その男は居場所を知っているとし、追って、“工作部隊”を差し向けると話したという。
そこでフランス当局は、グレースさんと二人の男児に危害が加えられることを恐れ、同当局の保護下においている。
なお、中国当局は10月8日、孟氏を汚職等の嫌疑で取り調べていることを明らかにした。また、インターポールもその数時間前、孟氏の総裁辞任の連絡があったと発表したが、同氏がどういう状態であったのか明らかにされていない。
同日付英『ジ・インディペンデント』紙:「失踪していたインターポール前総裁の妻、“工作部隊”を差し向けると脅されていると告発」
フランス当局の保護下にある孟氏の妻のグレースさんが10月9日、『AP通信』のインタビューに答えて、孟氏失踪後しばらくしてから、中国語を話す男からの電話で、間もなく“工作部隊”を2班差し向ける、と脅されたと明かした。
グレースさんと二人の男児は、フランス当局の庇護の下、リオンに滞在しているが、その男は、どこにいるか判っているとも話したという。
なお、グレースさんは、中国の習慣と違って夫の名字の孟を使っているが、自身の名字を明かすことを拒んだ。理由は、グレースさんら家族のみならず、中国に暮らす彼女の親戚等に累が及ぶことを避けるためだとする。
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既報どおり、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相(38歳、労働党々首)は今年6月、在任中の首相として世界で初めて6週間の産休を取得した。元々、同国では二十年程前に2代続いて女性首相が誕生していたが、アーダーン首相は同国政治史150年間において最年少の37歳3ヵ月で首相に就任しており、初めから“女性の活躍”を体現してきていた。そしてこの程同首相は、国連73年の歴史上初めて、生後3ヵ月の赤ちゃんを連れて国連総会に出席している。
9月25日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「ニュージーランドの“ファースト・ベイビー”国連史上初めて総会デビュー」
9月24日にニューヨークの国連本部で開催された第73回国連総会において、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相(2017年10月就任の第40代首相)の女児である生後3ヵ月の“ファースト・ベイビー(ファースト・レイディに引っ掛けたもの)”が、国連史上最年少の出席者としてデビューした。
国連総会の“ネルソン・マンデラ平和サミット(注1後記)”に同首相とともに出席したもので、同首相が登壇している間、同首相のパートナーで同女児の父親であるクラーク・ゲイフォード氏に抱かれて、母親の演説に聞き入っていた。
同女児の名前は、ニーブ・テアロハ・アーダーン・ゲイフォード(ニーブは輝く、テアロハは愛の意)で、ゲイフォード氏はツイッター上に、ニーブ・テアロハちゃん用の国連発行許可証(写真入り)を掲載した。
アーダーン首相は、同国史上最年少の首相で、また、首相在任中に世界で初めて6週間の産休を取得している。
同首相は『ニュージーランド・ヘラルド』紙のインタビューに答えて、女児への授乳が必要なため、ニューヨーク訪問はもとより、国連総会にも帯同せねばならなかったと説明している。
国連のステファン・デュジャリック報道官は『ロイター通信』の取材に対して、世界中で女性首脳は僅か5%でしかないので、女性リーダーがもっと増えるよう、同首相の行動を称賛したいと語った。
また、米国の前国連大使のサマンサ・パワー氏も、デュジャリック報道官のコメントをツイッターで支持を表明した。
なお、アーダーン首相就任の最初の1年間で、最低賃金の引き上げ、低所得層への支援、外国人によるニュージーランド国内住居購入禁止、2050年までに“カーボン・ニュートラル(注2後記)”達成による気候変動対策実施等、重要政策を実行している。
そして、この1年間のニュージーランドの経済成長率は2.7%と、依然好調を維持している。
同日付英『ジ・インディペンデント』紙:「ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相、世界で初めて赤ちゃんを国連総会に帯同」
アーダーン首相のパートナーでニーブ・テアロハちゃんの父親でもあるゲイフォード氏は、ツイッターのフォロワーから女児の国連入館パスが見たいというのでツイッターに掲載したとつぶやいた。
更に同氏は、会議場に入ってきた日本代表団の人たちを驚かせたかったとし、そして、(自身の女児の国連総会出席は)21世紀の偉大な出来事に違いない、とツイートした。
一方、9月26日付ニュージーランド『スタッフ・ウェブサイトニュース』:「アーダーン首相、トランプ大統領のスピーチに対する失笑には加わらなかったと発言」
国連総会における一般演説で、ドナルド・トランプ大統領が、“米国第一主義”を含めた自身の推し進める政策は、米国のどの大統領よりも素晴らしい成果をもたらしていると、自画自賛するスピーチを行った。
これに対して、各国代表団の中には失笑を漏らす人たちがいたが、アーダーン首相は、失笑に加わることはしなかったと語った。
同首相は、同大統領の演説内容は就任以来繰り返してきたこと、また、ニュージーランドが拠り所としてきた、多国間主義を基本とする国連の方針と明らかに異なる同大統領の政策について、相容れないものだとコメントした。
(注1)ネルソン・マンデラ平和サミット:南アフリカの故ネルソン・マンデラ大統領の平和貢献を尊重し、昨年12月開催の国連総会で命名された、国連全加盟国が出席しての世界平和協議の総会。
(注2)カーボン・ニュートラル:ライフサイクルの中で、二酸化炭素の排出と吸収がプラスマイナスゼロのこと。例えば、化石燃料の代わりにバイオマスエネルギーを利用することで、二酸化炭素の発生と固定を平衡し、地球上の二酸化炭素を一定量に保つことができるとする考え方。また、二酸化炭素排出量を削減するための植林や自然エネルギーの導入などは、人間活動による二酸化炭素の排出量を相殺できることもカーボン・ニュートラルと呼ぶことがある。
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