食糧危機:穀物不足がアフリカ移民急増につながる可能性
地中海に面した欧州連合(EU)5カ国は、ウクライナ戦争と干ばつ、そして世界貿易に関連した様々な問題から生まれた世界的食糧危機により、ヨーロッパにおいて移民の急増につながる可能性があると警告している。世界食糧計画(WFP)のデービッド・ビーズリー代表も3月に、ヨーロッパがアフリカ大陸や中東の食糧不足を緩和するための行動を起こさなければ、「地上の地獄」のような移民危機に直面すると警告している。
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『ABCニュース』の報道によれば、アフリカ大陸からの不法移民の玄関口となることが多いギリシャ、イタリア、キプロス、マルタ、スペインの移民担当大臣たちは6月4日ベニスで会談を行い、食糧問題がアフリカからの不法移民を急増させる可能性があるとし、EU全体に対して、この問題に対して行動を起こすよう呼びかけた。
5カ国は、EUにおいて移民受け入れの負担を再分配するためのより良い方法を求めた。キプロスのニコス・ヌリス内相は記者団に対し、移民問題には強固で共通のEU政策が必要であると述べた。...
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『ABCニュース』の報道によれば、アフリカ大陸からの不法移民の玄関口となることが多いギリシャ、イタリア、キプロス、マルタ、スペインの移民担当大臣たちは6月4日ベニスで会談を行い、食糧問題がアフリカからの不法移民を急増させる可能性があるとし、EU全体に対して、この問題に対して行動を起こすよう呼びかけた。
5カ国は、EUにおいて移民受け入れの負担を再分配するためのより良い方法を求めた。キプロスのニコス・ヌリス内相は記者団に対し、移民問題には強固で共通のEU政策が必要であると述べた。イタリアやギリシャなどの南岸に上陸した何十万人もの移民の一部を、加盟国が受け入れるという過去のEU政策は機能しなかった。また、密輸業者の船から救助された数十万人の移民のうち、適度な数を受け入れると約束した国もあったものの、実行には移されなかった。
一方、アフリカのサハラ砂漠のすぐ下に位置するサヘルでは、農家は過去10年以来の最悪の生産シーズンに直面しているため、推定1800万人が深刻な飢餓の危機に陥っているという。
米『ポリティコ』によると、欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、世界中で進行中の食糧不足は、プーチン率いるロシアが原因だと主張していると伝えている。しかしロシアのプーチン大統領は、穀物や肥料の世界的供給を妨げているのは欧米の責任であると繰り返し非難している。
フォン・デア・ライエン委員長は、「ロシア側からの完全な誤報だ。今、食糧危機で苦しんでいるのは、残忍で不当なウクライナに対する戦争のせいだ」と述べた。そして、「はっきりさせておきたいのは、我々は食料と農産物に対する制裁はしていないということである」と付け加えた。
一方、イタリアのドラギ首相は、プーチンのプロパガンダがアフリカで拡散される危険性に警鐘を鳴らした。「アフリカの食糧安全保障の戦いに勝利することは、戦略的な観点からも重要である。というのは、起こりうる飢饉は対ロシア制裁が原因だという説が広まっているからだ」と語った。そして、多くのアフリカ諸国は「西側の味方ではない。国連での彼らの投票を見ただろう、そのほとんどが棄権した。もし食糧安全保障の戦いに負ければ、これらの国が西側同盟の側に来ることは望めない。なぜなら彼らは当然裏切られたと感じるだろうから。誰のせいかというのは、彼らにとって関係のない問題なのだ」と説明した。
仏『フランスアンフォ』と米『ブライトバート』によると、アフリカ大陸のチュニジア、エジプト、スーダン、ベナン、セネガルが、ウクライナとロシアからの穀物の輸出に大きく依存しており、すでに不足と価格上昇に悩まされているという。こうした中、アフリカ連合のマッキー・サル議長は、食糧不足の責任はロシアではなくEUにあるという説がアフリカ大陸で広がっていると述べ、大陸の多くの人々がこの問題を「非常に深刻で憂慮すべきこと」と感じていると語っている。サル議長はまた、西側諸国によってロシアの銀行がSWIFT決済システムから外され、その結果、アフリカ諸国がロシアに輸入食料を支払う能力に支障が出ている問題を指摘している。
サル議長は先週プーチン大統領と会談し、「大統領は、ウクライナの穀物の輸出を促進する用意があることを我々に表明した。ロシアは、その小麦と肥料の輸出を確保する準備ができている 。私はすべてのパートナーに小麦と肥料に対する制裁を解除するよう呼びかける。」とツイートした。
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フランス大統領選、従来のメディアのオンラインプラットフォーム活用が急増
4月10日に大統領選挙の投票日を迎えるフランス。仏経済紙
『レゼコー』は、従来の放送局が、Twitch、YouTube、TikTok、Instagramなど、オンラインプラットフォーム上で政治を扱う動画や番組が増殖していることから、視聴者獲得のためにこれまでにない対応に迫られていると報じている。
フランスでは、テレビの視聴者が減少している一方で、ソーシャルネットワークとオンラインプラットフォームが避けて通れない情報伝達の通路になっている。ロイター・インスティチュートによると、フランス人の主な情報源は依然としてテレビだが(2021年には68%)、ソーシャルネットワークは8年前の20%未満から38%に上昇している。
こうした中、従来のメディアも取り残されることなく、ソーシャルネットワークを活用する動きが活発化している。...
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フランスでは、テレビの視聴者が減少している一方で、ソーシャルネットワークとオンラインプラットフォームが避けて通れない情報伝達の通路になっている。ロイター・インスティチュートによると、フランス人の主な情報源は依然としてテレビだが(2021年には68%)、ソーシャルネットワークは8年前の20%未満から38%に上昇している。
こうした中、従来のメディアも取り残されることなく、ソーシャルネットワークを活用する動きが活発化している。新聞社、ラジオ局、テレビ局は、大統領候補者同様に、FacebookやInstagram、あるいはTikTokに投資しているという。オンラインプラットフォームに番組を設けたり、候補者たちのインタビュー動画などを配信したりしている。
メディアはTwitchへの政治コンテンツを増やしているものの、視聴者はまだ芽生えたばかりだという。Twitchはこれまでビデオゲームが主流だったライブビデオストリーミングプラットフォームであったこともあり、政治をフォローしているのは世界中で15万人にとどまる。これに対し、ゲームのFortniteは約8200万人のフォロワーを持っている。一方、短い動画に特化したアプリのTikTokは、視聴者が若いものの伝統的なメディアにとっては大統領選において重要な媒体となっている。Tiktokを活用したおかげで急激に認知度が上がった大統領候補者もいる。
25歳のジャーナリスト、ヒューゴ・トラベースさんは、YouTubeに大統領候補者のインタビュー動画を配信し、TikTokでは様々な候補者の1分間インタビューを掲載するなど、様々なメディアで情報を発信している。YouTubeチャンネル登録者数は58万1千人に及び、ニュースチャンネルのLCI(45万3千人)やフランスアンフォ(38万3千人)よりも多い。ただし、ウェブメディアは、テレビで放映されたニュースや番組から抜粋したものを発信していることが多く、こうした面からテレビはまだ主要な流れを作る力を維持しているとも言える。
一方、各種メディアがオンラインプラットフォームで情報発信に力を入れる中、2022年の大統領選挙は、かなり高い投票の棄権率が予想されている。仏日刊紙『ルモンド』は、選挙戦がこれほどフランス人にインパクトを与えないことも珍しいと伝えている。投票日5日前の時点で、大統領選への関心度は75%と2017年より7ポイント下がっており、関心度合いが0から10点満点中で9点あるいは10点とする人は50%にとどまった。
感心の低さにはいくつかの理由があげられるという。世論調査では、「心配」「不安」「疲れ」はそれぞれ47%、45%、40%、「希望」は28%、「自信」17%が持っていると回答した。「怒り」は17%、「拒絶」は14%が選択した。こうした結果から国民は明らかに不満を持っていることが分かる。しかし、こうした不満が人々に投票しようという意思を持つまでの動員力として働いていない。パンデミックで、国民の関心を引くような議論が行われてこなかったことが挙げられる反面、フランス人は今、コロナ後の家族との娯楽を優先したい気持ちが強いとも見られている。さらには、ロシアのウクライナ侵攻に多くのフランス人が衝撃を受け、国内選挙への関心が薄まってしまったことが挙げられる。
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