中国共産党政権;権力統制に悪影響を及ぼしかねないと判断された大手企業トップに懲役13年の有罪判決【欧米メディア】(2022/08/21)
中国共産党政権はこれまで、肥大化することによって権力統制に影響を及ぼしかねないと判断された不動産大手やネット通信大手のトップを逮捕・勾留したり、軟禁状態に置いたりして圧力をかけてきている。そして、この程また、投資企業大手トップの中国系カナダ人が習近平国家主席(シー・チンピン、69歳)の敵対者として重罪判決を受けることになった。
8月19日付
『ロイター通信』は、「中国の裁判所、中国系カナダ人富豪の肖氏に懲役13年の有罪判決」と題して、5年半余り前に香港滞在中に失踪し、今年突然法廷の被告人席に座らされた投資企業大手トップの中国系カナダ人が、詐欺及び汚職罪で懲役13年の有罪判決を受けたと報じた。
上海市第1中級人民法院(地裁に相当)は8月19日、中国系カナダ人の肖建華(シャオ・チアンホア、50歳)に懲役13年の有罪判決を、また、同被告が代表を務める大手投資企業トゥモロウ・ホールディングス(TH、1999年設立)に対して550億300万人民元(81億ドル、約1兆1,100億円)の罰金を科す判決を下した。...
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8月19日付
『ロイター通信』は、「中国の裁判所、中国系カナダ人富豪の肖氏に懲役13年の有罪判決」と題して、5年半余り前に香港滞在中に失踪し、今年突然法廷の被告人席に座らされた投資企業大手トップの中国系カナダ人が、詐欺及び汚職罪で懲役13年の有罪判決を受けたと報じた。
上海市第1中級人民法院(地裁に相当)は8月19日、中国系カナダ人の肖建華(シャオ・チアンホア、50歳)に懲役13年の有罪判決を、また、同被告が代表を務める大手投資企業トゥモロウ・ホールディングス(TH、1999年設立)に対して550億300万人民元(81億ドル、約1兆1,100億円)の罰金を科す判決を下した。
また、肖氏個人にも650万人民元(約1億3千万円)の罰金が科せられた。
同法院は、肖氏が自らの会社を通じ、投資商品を販売し、違法に資金を集めたなどとして、公的預金の不正受け取りや違法資金運用など複数の罪を認定したとし、“金融管理秩序を壊し、国家の金融安定を棄損させた”と判決理由を述べている。
更に同法院は、肖氏及びTHが2001年から2021年の間、政府高官らに株式・不動産・現金等合計6億8千万人民元(約136億円)余りの賄賂を贈って、金融監視を回避させ、また違法な利権を得ようとしていたと断じた。
中国生まれの肖氏は、中国共産党の支配層と深く結びついていると言われていたが、中央政府が打ち出した巨大企業取締り政策の下、同氏の取り調べが行われようとしていたところ、2017年以降突然表舞台から姿を消していた。
実際は、密かに当局に拘束され、取り調べを受けていたことが分かった。
同日付『ブライトバート』オンラインニュースは、「当局によって拉致されていた中国系カナダ人富豪、上海裁判所から懲役13年の有罪判決」として、肖氏の失踪の経緯や、他の富豪より重い刑を受けた理由について詳報している。
中国生まれのカナダ人富豪の肖建華氏は2017年、香港のホテルに滞在中に中国共産党工作員によって暴力的に拉致された。
それ以降、傲慢な中国当局は彼との連絡が取れないようにし、在中国カナダ領事館へのコンタクトも認めなかった。
5年余り経った今年7月、突然上海市地裁に出廷させられ、肖氏に対する審理が始められることが分かった。
そして8月19日、同地裁は肖氏に対して懲役13年の有罪判決を下した。
同氏は神童と呼ばれ、14歳で北京大学(1898年創立の国立大)に飛び級入学して法律学を専攻し、在学中に中国共産党員にもなってエリートの仲間入りをした。
1989年に発生した天安門事件の学生や労働者らの運動に批判的だったこともあって、同氏は長い間中国共産党と良好な関係を築いていた。
やがて彼の立ち上げたTHは、中国の富豪や権力者らの金融資産を運用する等によって巨大投資会社に成長していき、個人資産が最大で60億ドル(約8,200億円)にも膨れ上がった。
しかし、肖氏と中国共産党及び習国家主席との関係が2017年に暗転した。
習政権としては、THが余りにも肥大化し、やり方が少々無謀であったことから、万が一THの経営が躓いた場合の中国経済への影響が計り知れないと考えるようになり、取り締りを強化するようになった。
更に皮肉なことに、肖氏が、習国家主席含めた中国共産党支配層の金融取引等に余りにも深く関わり過ぎたことから、同国家主席が肖氏を黙らせることにしたと考えられる。
習国家主席が2013年に主導し始めた反腐敗運動によって、主だった地方政府高官や企業トップらが次々に逮捕・勾留されたことから、肖氏自身も危険を察知し、中国本土から一国二制度下の香港に活動拠点を移すことで、摘発を逃れようとした。
しかし、2017年1月に香港のホテルに滞在中に中国工作員に踏み込まれ、強制連行されてしまい、以降、表舞台に登場することはなくなってしまった。
今回、5年半ぶりに肖氏が公に姿を見せ、かつ上海市地裁で重罪判決を受けることになった背景には、今秋の共産党大会で異例の3期目を目指す習国家主席が、1強を盤石なものにするために反抗分子はことごとく懲らしめる、という姿勢を改めて内外に示す意図があったものと推測される。
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中国メディア;米連邦捜査局によるトランプ前大統領私邸の家宅捜索を契機に昨年の議事堂乱入事件同様の暴動発生の恐れと報道【米・中国メディア】(2022/08/12)
米連邦捜査局(FBI、1908年設立)によるドナルド・トランプ前大統領(76歳)のフロリダ州別邸の家宅捜索について、同前大統領はもとより共和党も、今秋の中間選挙を控えての民主党一派による政治的な策謀だと非難している。かかる報道を受けて、中国メディアは、昨年1月6日に発生した米議事堂乱入事件と同様、狂信的なトランプ支持者らによる暴動が再び発生する恐れがあると報じている。
8月10日付米
『ブライトバート』オンラインニュース(2005年設立の保守系メディア)は、「中国メディア、FBIによるトランプ私邸の家宅捜索を契機に昨年1月6日発生の議事堂乱入事件と同様の暴動発生の恐れ、と報道」と題して、世論分断が続く米国において、再び1/6 議事堂乱入事件と同様の暴動発生の恐れがあると、中国国営メディアが報じていると伝えた。
中国国営メディア『環球時報』は8月9日、FBIによるドナルド・トランプ前大統領私邸の家宅捜索を契機にして、昨年1月6日の議事堂乱入事件と同様の暴動が発生する恐れがある、と嬉々として報じている。...
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8月10日付米
『ブライトバート』オンラインニュース(2005年設立の保守系メディア)は、「中国メディア、FBIによるトランプ私邸の家宅捜索を契機に昨年1月6日発生の議事堂乱入事件と同様の暴動発生の恐れ、と報道」と題して、世論分断が続く米国において、再び1/6 議事堂乱入事件と同様の暴動発生の恐れがあると、中国国営メディアが報じていると伝えた。
中国国営メディア『環球時報』は8月9日、FBIによるドナルド・トランプ前大統領私邸の家宅捜索を契機にして、昨年1月6日の議事堂乱入事件と同様の暴動が発生する恐れがある、と嬉々として報じている。
すなわち、同メディアは、家宅捜索が民主党による政治的策謀によるものだとの非難の声があることに触れて、このような民主主義を米国が中国に押し付けようとしている次第だと、面白おかしく論じている。
同メディアの報道内容は以下である:
●中国専門家やネットユーザーは、米国の民主主義が機能不全に陥っていて、2021年には議事堂乱入事件が発生するという大混乱が生じていることから、今秋の中間選挙を前にして、トランプ前大統領私邸の家宅捜索という前代未聞の事態を契機に、更なる無秩序な大事件が発生するのではないかと注目している。
●バイデン政権は、自国の経済問題が解決できないばかりか、ナンシー・ペロシ下院議長(82歳、2019年就任)による挑発的な台湾訪問によって引き起こされた外交問題でも困窮している。
●国際社会は、米国の問題ある政策が絶望的で錯乱の極みとみていることから、多くの専門家は、トランプ前大統領に対する捜査が行われているにも拘らず、民主党は今秋の中間選挙で大敗すると予測している。
●中国の米国研究専門家は、米国の“与党”は“いつも司法権や法執行機関を武器にして野党勢力を取り締まろうとしている”と分析している。
中国では、絶対的権力者の習近平国家主席(シー・チンピン、69歳)にとって不都合とされた共産党幹部は次々に“汚職罪”に問われ、表舞台から姿を消してしまうという現実がある。
にも拘らず、悲しいかな『環球時報』は中国専門家の分析を引用して、次に共和党が多数党となったら、民主党側を政治的に訴追するという報復手段に出ようから、“終わりなき政党間の争いに明け暮れる”ことによって、米国は“機能不全の国”に留まってしまうだろう、と批評している。
8月9日付中国『環球時報』(1993年設立、中国共産党機関紙『人民日報』傘下の英字紙)は、「FBIによるトランプのフロリダ州別邸の家宅捜索を契機に、米国の政党間闘争が更に悪化して“米国の政治制度は機能不全に”」として、米国の民主主義を揶揄する報道をしている。
米FBIは8月8日、トランプ前大統領が“ホワイトハウスから国家機密文書を勝手に持ち出した”容疑で、同氏のフロリダ州別邸を家宅捜索した。
このニュースを受けて、中国の専門家やネットユーザーは、今秋の中間選挙を前にしての前代未聞の事態を慮り、2021年に議事堂乱入事件が発生する程米国の民主主義は機能不全に陥っていることから、再び無秩序な大混乱が発生するのではないかと危惧している。
中国社会科学院(1977年設立の最高学術機構)の米国研究専門家の呂翔氏(ルー・シャン)は『環球時報』のインタビューに答えて、“民主党勢力は、トランプの議事堂乱入事件への関与の有無、及びトランプ・オーガナイゼーションの税不正問題の2つの事態について調査を進めていたはずだが、これに進展がなかったのか、国家機密文書の不正持ち出しという新たな容疑でトランプを取り調べようとしていることに少々驚いた”と語った。
しかし、同氏は、共和党勢力が2016年の大統領選時に民主党のヒラリー・クリントン候補の電子メール問題を追及したように、今回の民主党勢力のトランプ追及行為は、多分に今秋の中間選挙を睨んでの政治的策謀だと考えられる、とした。
ただ、同氏によると、これが一種の選挙戦術と考えられるのは、追及した政党が選挙で勝利を収めるや否や、当該問題の調査はいつのまにか脇に押しやられ、次回の選挙まで蒸し返されないのが常であるからだ、と分析している。
また、匿名希望の国際関係専門の中国専門家は、米国では両政党間の闘争が激しく、今回のように与党が“司法権及び法的執行機関”を武器に使って、反対政党を取り締まろうとするのが常である、として、この結果、政党間闘争が益々激化することが懸念される、とコメントした。
更に同専門家は、“政党間の闘争が更に激しくなり、ある日突然両党の議員同士が議事堂内で本当に殴り合いを始めることになっても自分は大して驚かないだろう”とも付言している。
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