米ボーイング、4年振りに自社製旅客機を中国向けに納品【欧米メディア】(2023/12/23)
米ボーイング(1934年設立)は、第4世代の新鋭小型機737Max(ナローボディ、170~220席、2016年初飛行)の二度にわたる死亡墜落事故(注後記)を受けて、安全運航が証明されるまで中国含めて多くの国から同型機の納品を差し止められた。更に、米中関係緊張もあって、中国側からは同社の他旅客機の受け入れも拒否された。そうした中、中国当局が同社737Maxの安全基準をクリアしたことから、まず同社製中型機が4年振りに中国向けに納品された。
12月22日付
『ロイター通信』、
『ブルームバーグ』オンラインニュース等は、米ボーイングが中国当局の安全基準に関わるお墨付きを得て、4年振りに同社製旅客機を中国向けに納品したと報じている。
中国民用航空局(CAAC、1949年設立、民間航空行政を管轄)は2019年、米ボーイング製737Maxの二度にわたる死亡墜落事故を受けて、同旅客機の中国受け入れを差し止めた。
更に、折からの米中関係緊張もあって、同社製他機も同様の扱いを受け、中国向け納品が全て停止された。...
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12月22日付
『ロイター通信』、
『ブルームバーグ』オンラインニュース等は、米ボーイングが中国当局の安全基準に関わるお墨付きを得て、4年振りに同社製旅客機を中国向けに納品したと報じている。
中国民用航空局(CAAC、1949年設立、民間航空行政を管轄)は2019年、米ボーイング製737Maxの二度にわたる死亡墜落事故を受けて、同旅客機の中国受け入れを差し止めた。
更に、折からの米中関係緊張もあって、同社製他機も同様の扱いを受け、中国向け納品が全て停止された。
しかし、米業界紙『ジ・エア・カレント』の12月20日付報道によると、CAACが今月初め、737Maxの安全基準が達成されたことを確認し、同型機の納品を認可したという。
『ロイター通信』は12月8日、CAAC副局長が米ボーイング幹部に対して、中国航空業界向けの同社製旅客機の商談再開を歓迎すると伝えたと報じている。
この結果を受けて、米ボーイングは12月21日、手始めに中型機787Dreamliner(ワイドボディ、250~300席、2009年初飛行)1機を中国中堅民間航空会社の吉祥航空(ジーシャンハンコン、2005年設立、上海本拠)向けに納品した。
中国向けの4年振りの納品となる同機は、ワシントン州エベレットの同社工場から12月20日午前10時頃に離陸し、12月22日午後4時過ぎに上海空港に着陸した。
米金融機関ジェフリーズ(1962年設立)の航空業界アナリストによれば、同社は目下787Dreamliner 60機の在庫を抱えていて、そのうち12機が中国向けの契約だとする。
従って同社としては、787Dreamlinerに続いて737Maxの納品再開を大いに期待している。
何故なら、中国が2042年までの世界の旅客機需要の20%を占めるとされているからである。
なお、ジョー・バイデン大統領(81歳、2021年就任)は先月中旬、習近平国家主席(70歳、2012年就任)とほぼ1年振りに対面での会談を行い、両国間歩み寄りの気運を高めた。
これを契機に、米中両軍トップが12月21日、同じく1年振りに直接対話を実施している。
かかる背景もあって、米ボーイングとしては、中国向けビジネス展開に追い風となるものと期待している。
(注)737Maxの死亡墜落事故:2018年10月、インドネシアのライオンエア610便が離陸直後に墜落し、乗員乗客全189人が死亡。続いて2019年3月、エチオピア航空302便が同じく離陸後しばらくして墜落し、157人全員が死亡。
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気候変動対策:ドイツ、フランス2035年までに電力網排出ゼロ目標(2023/12/19)
欧州連合(EU)では、気候変動対策として、電力部門でのCO2(二酸化炭素)排出ゼロ目標に向けた計画が急ピッチで進められており、ドイツ、フランスを含む7カ国が2035年までのゼロ排出を宣言している。
12月19日付
『Yahooニュース』(ブルームバーグ):「EU諸国、ドイツとフランスも2035年までに電力排出ゼロ目標へ」:
EU加盟国のドイツとフランスも、2035年までに電力網からのCO2排出ゼロを目標とする。今世紀半ばまでのネットゼロ(温室効果ガス排出ゼロ)へ向けた重要な節目となる。
オランダ、オーストリア、ベルギー、ルクセンブルグは既に合意している目標で、他のEU加盟国よりも5年早い目標となる。...
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12月19日付
『Yahooニュース』(ブルームバーグ):「EU諸国、ドイツとフランスも2035年までに電力排出ゼロ目標へ」:
EU加盟国のドイツとフランスも、2035年までに電力網からのCO2排出ゼロを目標とする。今世紀半ばまでのネットゼロ(温室効果ガス排出ゼロ)へ向けた重要な節目となる。
オランダ、オーストリア、ベルギー、ルクセンブルグは既に合意している目標で、他のEU加盟国よりも5年早い目標となる。電力系統からのCO2排出削減は、エネルギーシステム全体での排出削減に向けた最初の一歩となる。
EU加盟国ではないが、スイスもEUの気候対策とされる7カ国エネルギーフォーラムの一貫として、2035年計画に署名している。同フォーラムは、参加国の電気市場の統合をめざし2005年に設立された。
オランダのロブ・ジェッテン気候エネルギー政策相はインタビューで、「EUの電力需要の約50%がこの地域内にある。北西欧州の電力市場は統合が進んでおり、適切な電力計画無くしては目標が達成できないだろう」と述べている。EUの電力システムは、炭素クレジット市場により2040年までにほぼ排出ゼロに近づくと予測されている。
同日付『ロイター通信』:「EU7カ国が2035年までのCO2ゼロ電力系統を目指す」:
ドイツ、オランダ、フランスを含む7カ国が18日、2035年までに、各国の電力システムからCO2を排出する発電所を排除すると表明した。
電力生産の二大勢力であるドイツとフランスが大部分を担い、この7カ国でEUの電力生産の約半量を占める。
共同声明では、現存のEU気候変動対策では電力部門でCO2ゼロとなるには、2040年までかかってしまうと指摘。目標を早めるのは、国境を超えて低炭素電力を扱うことができるよう、送電網やエネルギー貯蔵施設の建設を行うためのインフラ計画で協力するためであるとしている。
各国の電力システムは相互に繋がっており、欧州環境庁のデータによると、2022年のEU全体の再生可能資源由来の電力は41%であった。オーストリアは電力の30%が再生可能資源由来、フランスは70%をCO2排出ゼロ原子力発電所から賄っている一方、ポーランドでは石炭への依存が高く、EUの中で最もC02を多く排出する方法となっている。
シンクタンク「エンバー」の予測モデルでは、2035年までには風力や太陽光発電が80%に達するとみられることや、石炭やガス供給が大幅には廃止される見通しから、欧州全体で電力部門のほぼCO2ゼロ実現は可能だという。
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