1月26日付米
『ニューズウィーク』誌:「大統領府報道官、ドゥテルテ大統領が富裕層を殺せと言ったのは真意でなく、言動をそのまま受け取らないようにと釈明」
フィリピン大統領府のサルバドル・パネロ報道官は1月26日、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領が1月23日にレイテ島(フィリピン中部)で演説した際、2大水道会社のオーナーを指して、泥棒猫の富裕層は殺せ、と発言したのは真意ではないので、言動をそのまま受け取らないようにと釈明した。
フィリピンメディア『GMAニュース』報道によると、同大統領は、マニラ首都圏の上下水道を管理・運営するメイニラド・ウォーター・サービス(1997年設立、西側を管轄)及びマニラ・ウォーター(1997年設立、東側を管轄)の経営者は不届き千万な富裕層なので、自身が指示を出したらすぐ抹殺してしまえ、と発言していた。
また、『ABS-CBNニュース』報道によると、同大統領は、移動通信会社のグローブ&スマートの経営者も盗人だとして、同様の扱いとするよう表明していた。
しかし、パネロ報道官は『フィリピン・スター』の番組の中で、同大統領の表現は独特できつ過ぎる嫌いはあるが、その真意は、名前を挙げた富裕層や企業の、納税者や消費者から金を奪うようなやり方を決して許してはならない、ということを強調する意味合いであるとして、一般市民の理解を求めた。
一方、同報道官は、フィリピン政府が2人の米上院議員の入国を拒否することとしただけでなく、米国からの旅行者のフィリピン入国に制限を加える可能性にも言及した。
すなわち、同報道官は、昨年12月にリチャード・ダービン及びパトリック・リーヒー両上院議員が、2017年に逮捕・拘留されたライラ・デ・リマ上院議員の事件に関わったフィリピン高官の米入国を拒否する決議を採択させたことから、フィリピンの内政に余計な干渉をすることは許されないため、当然の報復措置だと言及した。
そして同報道官は、リマ上院議員の事件は、明らかに不正摘発の所以だと強調した。
同日付フィリピン『マニラ・ブルティン』紙:「大統領府、ドゥテルテ大統領の金持ちを殺せとの発言は、重圧を与えるためのもので言動どおりではないと釈明」
パネロ大統領府報道官は1月26日の記者会見で、ドゥテルテ大統領の不道徳な金持ちは殺せ、との発言は、例によって多くの人に注目してもらおうとの意図であって、決して言動どおり受け取らないように、と釈明した。
同報道官は、一部の富裕層経営者が、法律に違反する行為をしているので、当然報いを受けなければならないと同大統領は訴えたかったものだ、と付言した。
同報道官はまた、大統領に名指しされた上下水道会社や移動通信大手の経営者はもとより、その他法律に違反しているとの心当たりがある富裕層に対する厳しい警告の一環だ、とも言及した。
なお、同報道官は、富裕層はボディガードを付けた方が良いかとの質問に対して、法律に基づいて事業等を行っていれば、かかる心配は全く不要、と回答している。
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第30回東南アジア競技大会(SEA Games、注後記)が11月30日より、ボカウ(マニラ北部のブラカン州)で開催される。フィリピンでは、2005年の第23回大会以来の開催となるが、マニラ国際空港から競技場移動までの渋滞、フィリピン国内の競技施設改修用公金支出問題に加えて、台風28号が12月3日ごろに同国北部を直撃する見込みで、大変な受難に遭っている。
11月30日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』(
『AP通信』配信):「混乱含みのSEA Gamesに台風が直撃」
第30回SEA Gamesが11月30日、フィリピンのボカウ市で開催される。
主宰者を代表してロドリゴ・ドゥテルテ大統領が、数千人に及ぶ選手団・コーチを開会式で歓迎する予定である。
東南アジア諸国から要人も数多く来訪するが、ブルネイからはハサナル・ボルキア国王が参列する。...
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11月30日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』(
『AP通信』配信):「混乱含みのSEA Gamesに台風が直撃」
第30回SEA Gamesが11月30日、フィリピンのボカウ市で開催される。
主宰者を代表してロドリゴ・ドゥテルテ大統領が、数千人に及ぶ選手団・コーチを開会式で歓迎する予定である。
東南アジア諸国から要人も数多く来訪するが、ブルネイからはハサナル・ボルキア国王が参列する。
同大統領としては、フィリピンの威信を表す良い機会であるが、マニラ国際空港から競技場までの渋滞問題で混乱が始まっている。
そして、更に悪いことに、台風カンムリ(編注;28号、日本が命名、由来は星座のカンムリ座)が同国北部に近づいていることである。
気象局によると、同台風は速度が遅く、来週早々に同国際競技大会が開催されるルソン島北部のクラーク、スービック(元米軍基地所在地)を直撃する見込みという。
大会運営委員会のラモン・スザーラ専務理事は11月30日、一部競技の延期や中止等、対応策は準備していると記者会見で語った。
同専務理事はまた、一部競技を屋内で開催することも検討しているとしながらも、収容人員から観客数の制限や、停電の懸念はあると付言した。
また、競技場の改修工事の遅れも問題になっている。
実は、パンフィロ・ラクソン上院議員(元国家警察長官)が、民間団体である大会運営委員会に多額の公金を渡すことに異議を唱えており、その影響もあって、公金支出許可取得に何ヵ月もかかって、当該改修工事が大幅に遅れてしまい、一部競技開催に支障が出てしまっている。
フィリピンでは、過去において民間団体に支払われた公金の一部が、国会議員等の賄賂になったスキャンダルが幾度となく発生しており、今回もそれが疑われたものである。
これに対して、スザーラ専務理事は、国による監査が行われており、かかる事態はあり得ないと反論している。
同日付フィリピン『マニラ・ブルティン』紙:「ドゥテルテ大統領、SEA Games運営大失態について厳密な調査を約束するも、“今は同競技大会を無事に執り行うこと”に集中すべきと表明」
ドゥテルテ大統領は11月29日、米『CNNニュース』のインタビューに答えて、SEA Games運営に関わる様々な失態について非難の声が上がっているが、“今は同競技大会を無事に執り行うこと”に注力すべきだと語った。
SEA Gamesについては、渋滞による選手団等の移動遅延問題、粗末な宿泊設備、一部競技場の改修遅延等様々な失態が表れている。
更に、大会運営委員会会長のアラン・ピーター・カイェタノ下院議長が、同競技大会の準備不足の責任を問われているばかりか、汚職疑惑もかけられている。
なお、同大統領は、カイェタノ会長が汚職に関わっているなど信じられないとしながらも、SEA Games運営に関わる失態の数々について、厳しく精査すると強調している。
(注)SEA Games:東南アジアスポーツ連盟が主催する総合競技大会。東南アジア地域の友好、理解、平和と、オリンピック・ムーブメントの振興を目的としている。1959年、第1回大会がタイにて開催され、以降1963年を除き隔年で開催。今回は第30回大会。参加国はタイ、ミャンマー、マレーシア、シンガポール、ラオス、ベトナム、フィリピン、インドネシア、ブルネイ、カンボジア、東ティモールの11ヵ国。なお、2021年の第31回がハノイ(ベトナム)、2023年第32回がプノンペン(カンボジア)、2025年第33回がチョンブリー(タイ)で開催されることが既に決定済み。
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