スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は11日、2014~18年の世界の武器取引に関する報告書を公表した。世界最大の武器輸出国である米国の世界全体に占める割合は、09~13年と比較して6ポイント増の36%となった。
SIPRIの発表を受け、米
『ニューズウィーク』の他、ロシアの
『モスクワ・タイムズ』、中国の
『新華社』などの各国メディアが、自国の状況などを交えて報じた。米国は2位のロシアに大きく差をつけ、世界最大の武器輸出国としての地位を盤石にしている。
2014~18年の間、米国が輸出した武器の量は09~13年と比べて29%増加し、ロシアの1.75倍となった。09~13年は1.12倍だったので、その差が拡大している。SIPRIは、「米国は世界首位の武器供給国としての地位をさらに強固なものとした。」と指摘した。米国の輸出先は少なくとも98カ国に上り、輸出される武器には、戦闘機や短距離巡航・弾道ミサイル、誘導爆弾などの高性能兵器も含まれている。
2位のロシアの武器輸出量は14~18年、09~13年と比較して17%減少した。インドやベネズエラが同国からの輸入を減らしたことが主な要因とされている。同国の世界全体に占める輸出量のシェアは同6ポイント減の21%だった。ロシアは昨年、英国を抜き、世界第2位の武器生産国となった。
米露に続く3位はフランスで輸出シェアは6.8%、ドイツが4位で6.4%、中国が5位で5.2%だった。世界全体の武器の輸出量は14~18年、09~13年より7.8%増加したが、上位5カ国で全体の75%を占めている。
報告書によれば、米国の武器輸出の52%はサウジアラビアなどの中東向けだった。SIPRIは「米英仏の武器は、緊張が高まる湾岸地域での需要が高い。」と説明している。そして、「露仏独は過去5年間に、エジプトへの武器輸出量を劇的に増やした。」という。
中東諸国全体の武器輸入量は14~18年、09~13年から87%増加し、世界の輸入量全体の35%を占めている。米国のトランプ政権や、オバマ前政権の積極的な売り込みもあって、サウジアラビアが世界最大の輸入国となり、14~18年の輸入量は09~13年より192%も増加、世界の輸入量全体に占めるシェアは、09~13年の4.3%から14~18年には12%まで上昇した。
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1月2日付米
『インドラ・ストラ』オンラインニュース:「日ロ両国、平和条約締結に向け前進」
安倍晋三首相は1月1日、『ラジオ日本』の番組の中で、目下日ロ関係は転換期に来ているので、この機会に両国の戦後懸案事項について進捗させたいとの決意を表明した。
安倍首相とウラジーミル・プーチン大統領は11月初め、シンガポールで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)の国際会議に出席した折り、長期間進展のなかった日ロ平和条約締結問題について前向きな交渉を行うことで合意していた。...
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1月2日付米
『インドラ・ストラ』オンラインニュース:「日ロ両国、平和条約締結に向け前進」
安倍晋三首相は1月1日、『ラジオ日本』の番組の中で、目下日ロ関係は転換期に来ているので、この機会に両国の戦後懸案事項について進捗させたいとの決意を表明した。
安倍首相とウラジーミル・プーチン大統領は11月初め、シンガポールで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)の国際会議に出席した折り、長期間進展のなかった日ロ平和条約締結問題について前向きな交渉を行うことで合意していた。
ただ、プーチン大統領のコメントの中に、北方領土返還問題については、かねて話題に上っていた色丹・歯舞の2島についても何ら言及はなかった。
安倍首相はインタビューの中で、プーチン大統領は日ロ平和条約締結について強い決意を持っていると言及している。
しかし、同大統領の大きな懸念は、一部でも返還された北方領土に米軍が基地を構えることであり、米軍将兵の上陸含めて一切認められないことを日本側にはっきり通告してきている。
具体的には、昨年10月に訪日したロシア連邦安全保障会議のニコライ・パトルシェフ書記兼大統領顧問が日本政府に、また、セルゲイ・ショイグ国防相が、同じく10月に訪ロした自衛隊の河野克俊統合幕僚長に伝えている。
北方領土は、ロシア領のクリル(千島)列島の南に位置しているが、第二次大戦終了間際に旧ソ連軍が侵攻して、当時の日本人住民約1万7千人を追い出して占拠している。
1956年時、日本・旧ソ連間で両国間平和条約締結の暁には、色丹・歯舞2島返還することで合意された。
しかし、1960年になって、日米安全保障条約が締結されたことから、旧ソ連は、北方領土の一部でも返還して、オホーツク海から太平洋に抜ける道が閉ざされてしまうことを大いに懸念したため、以降領土問題交渉に進展のないまま現在に至っている。
なお、直近の報道では、安倍首相が1月21日に訪ロの上、プーチン大統領と日ロ平和条約及び北方領土問題について交渉する予定と言われている。
ただ、同首相が2島だけでなく、あくまで国後・択捉の2島も含めた返還に拘ることになれば、また、米軍基地はもとより米軍将兵を上陸させないとのロシア側提示条件について米国側了解が取得できなければ、何ら成果が得られない場合も有り得る。
1月3日付ロシア『モスクワ・タイムズ』紙:「ロシア国会議員、日本の首相言及の北方領土返還に向けての提案に不快感」
ロシア国会議員らは、安倍首相が北方領土返還請求に当って、現在居住しているロシア人を退去させることはないとの言及について猛反発した。
安倍首相は1月1日、『テレビ朝日』の報道番組に出演して、ロシア側と北方領土返還交渉に際しての考えを示した。
しかし、ロシア連邦院(上院に相当)のフランツ・クリンツェビッチ議員は、北方領土の返還など、ロシアの安全保障上、また、領土堅持の観点からあってはならない話だと断言した。
また、国家院(下院に相当)のアントン・モロゾフ副議長は『RIAノーボスチ』のインタビューに答えて、クリル諸島(北方領土のロシア名称)の返還についての国民投票なお一切考えられないと言明した。
なお、ロシア側は昨年12月、北方領土の大きな2島(国後・択捉)にロシア軍駐留兵舎を建設したとし、更に、武装配備して国防に備えると発表している。
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