フランス、新型肺炎の大量検査体制導入で検査所に人が殺到
新型肺炎が再流行しているフランス。フランス政府はPCR検査を無料かつ処方箋なしで受けられることを認め、大量検査体制で乗り越えようとしている。しかしその結果、無症状の人などを含む、多くの人が検査を受けようと検査所に殺到するようになり、逆に検査を受けたくてもなかなか受けられない状態が起きてしまっている。
『ラクロワ』によると、先週フランスは、新型肺炎の 1週間のPCR検査数が90万件 を超え、政府も週100万件までに検査数を上げることを目標にしているという。
しかし『フランス アンフォ』によると、無料な上、処方箋がなくても受けられるようになったため、検査所には人が殺到するようになり、検査機関が対応しきれない状態が起こってしまっているという。
29日土曜日には、パリ市内の検査所前で、何百人もの検査を受ける人たちが行列を作って並んでいた。...
全部読む
『ラクロワ』によると、先週フランスは、新型肺炎の 1週間のPCR検査数が90万件 を超え、政府も週100万件までに検査数を上げることを目標にしているという。
しかし『フランス アンフォ』によると、無料な上、処方箋がなくても受けられるようになったため、検査所には人が殺到するようになり、検査機関が対応しきれない状態が起こってしまっているという。
29日土曜日には、パリ市内の検査所前で、何百人もの検査を受ける人たちが行列を作って並んでいた。旅行に行くために陰性であることを確認したいとやって来た人、感染した親戚の濃厚接触者として自分が感染しているかどうかを確認したい人。または単なる好奇心で検査を受けに来た人たちなど、様々な理由で人々が検査を受けに来ていた。
そのため朝から検査所の前で並んでも、待ち時間が最大で5時間かかる日も出ているという。オンラインで申し込みをしようとしても、平均10日待ちとなっている。電話で直接予約を入れる場合でも、何日も待たされることになり、中には3週間待ちの検査所もあるという。
不満の声は、検査所の前で何時間もの間、検査を待つ人達のみならず、疫病専門家や検査機関からもあがっている。専門家らは、症状のある人や感染リスクの高い地域から渡航してきた人を中心に、的を絞った検査体制とることがより重要であり、外出を自粛しているような一般市民に受けてもらってもあまり意味がないと批判している。
『ルモンド』は、秋以降には季節性のウイルスが再登場し、発熱、倦怠感、咳、頭痛などの症状が出た大人や子供の検査も必要になってくる中、感染者の3分の1まで占めている可能性のある無症状の人をも特定していく必要があり、そのためには、よりシンプルで迅速な新しい検査方法を開発していくことが必要不可欠だと報じている。
現在フランス政府は、鼻やのどに綿棒を突っ込んで実施するPCR検査に加えて、唾液によるPCR検査の導入も検討している。しかし、その信頼性が70%にとどまるため、許可を出すことができていない。
閉じる
フランス、夏季セール売り上げ低迷で衣料品店の販売不振続く
ファッションの都パリ。しかし新型肺炎の流行がまだ収束していないフランスでは、衣料品の売り上げは夏季商戦期間にも関わらず伸び悩んでいる。市場は2020年に19%縮小する可能性があり、新型肺炎流行前の売り上げへの復活は2023年までは期待できないと見られている。
『ラクロワ』によると、7月15日から8月11日までの夏の4週間のセールは、多くの衣料品店にとって苦い結果となった。パリ・イル・ド・フランス商工会議所(CCI)の調査によると、調査対象となった小売業者の60%以上がセール中でも売り上げは上昇せず、小売店の87%は、昨年夏の売り上げを下回ったと回答した。
大手衣料品店のほとんどが加盟するフランスの専門店連盟プロコス(PROCOS)も、夏季セールの売上高への影響は「非常に小さかった」と報告している。...
全部読む
『ラクロワ』によると、7月15日から8月11日までの夏の4週間のセールは、多くの衣料品店にとって苦い結果となった。パリ・イル・ド・フランス商工会議所(CCI)の調査によると、調査対象となった小売業者の60%以上がセール中でも売り上げは上昇せず、小売店の87%は、昨年夏の売り上げを下回ったと回答した。
大手衣料品店のほとんどが加盟するフランスの専門店連盟プロコス(PROCOS)も、夏季セールの売上高への影響は「非常に小さかった」と報告している。
『ルモンド』によると、全国ショッピングモール協会は、7月のショッピングモールの入場者数は16%減少したことを報告している。600店舗を展開するアルマン・ティエリーグループは、入場者数はショッピングセンターで60%、都市中心部では40%減少したという。その結果、店舗の売上は2019年夏商戦期間と比較して30%減 となったと試算している。
パリ・イル・ド・フランス商工会議所(CCI)が300人の小売業者を対象に行った調査によると、79%の小売業者が今夏のセールには「非常に失望した」と回答している。
『BFMTV』は、今夏のセールは、キャッシュフローの改善、消費回復、在庫の処分という3つの目的があったと報じている。しかし、新型肺炎の流行によって消費者の環境への影響に対する意識が高まり、消費そのものの抑制やファストファッションに対する批判が高まり、更には感染者が新たに増えてきている今夏、フランス人のセールへの飛びつき方は弱かった。
また通常であれば夏に増える外国人観光客が今年は極端に少ないため、売り上げを増やすことがさらに難しい状況となっている。
『フランスアンフォ』は、新型肺炎の影響だけでなく、ファストファッションそのもののビジネスモデルが時代にあわなくなっている可能性があると報じている。
フランスで既製服・履物市場が昨年比で約20%減となった今年の販売不振は、一時的な後退よりも、今後も継続する傾向なのではないか。数ヵ月前から、フランスの都市部で多くの店舗がシャッターを閉めており、13,000人の雇用が脅かされているとさえ言われているという。
90年代には年4回だった新商品の展開が、現在は12回にまで増やしているお店もあるほど、短いサイクルで新商品が展開されるようになっている。しかしこうした購買欲を満足させようとする動きは通用しなくなってきているという。消費者は、持続可能な、より責任のある消費行動を心掛けるようになっており、例えば2019年にはフランス人の40%が服を少なくとも1着、古着屋さんで購入した、という調査結果が報告されている。
閉じる
その他の最新記事