中東レバノン、反政府デモ隊と治安部隊が衝突し400名以上が負傷(2020/01/20)
18日土曜日の夕方、レバノンの首都ベイルート中心部で、反政府デモに参加する若者達と治安部隊が衝突し、400人近くが負傷した。政府に対する抗議運動が始まって以来最も暴力的な日となった。
仏
『フランス2』によると、赤十字と民間防衛局の情報では、ベイルートでの抗議活動中心地でもある議会周辺で、デモ隊と治安部隊が衝突し、約377人がその場で治療されるか病院に運ばれたという。
ハリリ元首相の辞任から2か月以上が経過し、最近の社会経済状況の急速な悪化と、当局が抗議者の期待に応える内閣を組閣できずにいることが、大衆の怒りを増強している。
仏『ラクロワ』によると、デモ隊数十人が議会前のバリケードを守る警官隊に向けて石や爆竹、道路からはぎ取ったポールや敷石を投げ始めたことから始まった。...
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仏
『フランス2』によると、赤十字と民間防衛局の情報では、ベイルートでの抗議活動中心地でもある議会周辺で、デモ隊と治安部隊が衝突し、約377人がその場で治療されるか病院に運ばれたという。
ハリリ元首相の辞任から2か月以上が経過し、最近の社会経済状況の急速な悪化と、当局が抗議者の期待に応える内閣を組閣できずにいることが、大衆の怒りを増強している。
仏『ラクロワ』によると、デモ隊数十人が議会前のバリケードを守る警官隊に向けて石や爆竹、道路からはぎ取ったポールや敷石を投げ始めたことから始まった。治安部隊は、放水銃、催涙弾やゴム弾で応戦し、鎮圧を図ったが、治安部隊を含めて約400人近くが負傷し、38人が逮捕された。 これは10月17日に抗議が始まって以来、最も深刻な衝突となった。
ベイルートのセントジョセフ大学の政治科学研究所のディレクターであるカリム・ビタル氏は「これは予想できたことである。あらゆる社会的階級の人々が集まり抗議活動を行ってきた3か月間、政治家たちは何も反応しなかった」とコメントしている。
レバノンの研究者でアナリストのジョルジュ・ハダッド氏は「政治エリートらは(市民と)切り離されている」、「彼らは何も理解していない」と嘆いている。 「たとえ50万人のレバノン人がデモをしているとしても、300万人以上が家に座ったままでいる。そのため、彼らは本当に脅迫されているとは感じていない。」と述べた。
仏『ルモンド』は、赤十字によると19日日曜日も議会のある市内中心部でデモ隊と治安部隊が衝突し、少なくとも145人が負傷し、前日とあわせると、520人が負傷し、合計45名が入院しているという。
10月から続くデモでは、何十年も同じ顔触れの政府から、より実務型で、現在の政府とは関係のない新しい人材による政府の立ち上げ、そして公共サービスの改善や失業問題、深刻な腐敗の終焉を訴えている。
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仏メディア:ローマ法王中絶に赦免を認める(2016/11/25)
中絶はその是非をめぐり度々政治論争を引き起こした。保守的なカトリック国や南米では、多くが中絶は殺人と見なす。一方レイプによる望まぬ妊娠のケースもある。しかし11月21日にローマ法王は書簡の中で中絶の罪を赦免する見解を示した。カトリックの価値観に根底から影響を与える「カトリックの文化的革命」として仏メディアは報じる。
『ルモンド紙』は、カトリック教義では中絶は許されるまで破門を招くほどの重大な罪である事に触れ、カトリックおよびキリスト教社会全体にとっていかに大きな価値観の転換であるかを示唆する。「ルモンド紙」によると、もともと聖年期間(*1)中のみ、中絶の罪に特赦を与える権限を全カトリック司祭に法王は付与していたが、この権限付与を無期限に延長する事を、聖年が終了した21日に決定した。書簡の中で「無垢な命を終わらせるため、中絶は重大な罪である」が、「神の慈悲が届いて消す事が出来ない罪は存在しない」と、赦免を認める理由を法王は示した。...
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『ルモンド紙』は、カトリック教義では中絶は許されるまで破門を招くほどの重大な罪である事に触れ、カトリックおよびキリスト教社会全体にとっていかに大きな価値観の転換であるかを示唆する。「ルモンド紙」によると、もともと聖年期間(*1)中のみ、中絶の罪に特赦を与える権限を全カトリック司祭に法王は付与していたが、この権限付与を無期限に延長する事を、聖年が終了した21日に決定した。書簡の中で「無垢な命を終わらせるため、中絶は重大な罪である」が、「神の慈悲が届いて消す事が出来ない罪は存在しない」と、赦免を認める理由を法王は示した。また法王は、この書簡の中で「最も貧しき者達へ関心をよせるべく想像力をもつ事」を求めた。
『フィガロ紙』は、今回の法王の書簡を「カトリック教会の精神が困難な状況に対する思いやりとなって示されるように、革命を求める」と総括する。これまでは中絶に対する赦免は、経験豊富な司祭にのみ委託された権限で、司祭より高位の司教の責任において各教区で実施されていた。法王は書簡の中で「和解と悔恨の心を持つものに対して、導き支えて励ます」事を全司祭に求めており、聖職者への指針を示すものとなっている。この指針によって「懺悔の重要性」と「和解」を法王は重視し、キリスト教徒の生活の中心的価値観となる事を望み、その中心に中絶問題を置いたと「フィガロ紙」は評する。
仏カトリック系
『ラクロワ紙』はさらに、法王の今回の決定の背後を説明する。信者の懺悔では司祭を通して罪を神に言い表すため、告解と赦しの過程に介在する司祭や司教にかかる圧力は相当なものだったようだ。「このため司祭と司教は扱いきれない状況に身を置かねばならず、緊張状態の中で圧力を避けるために、告白された罪を保留にするしかなかった」ようだ。そのため赦しの秘跡までいかず保留になったままの罪が増えた。多数を占めた内容の一つが中絶だった可能性が高かったと考えられる。高位の司教と経験豊富な司祭に限られた「赦免の権限」を全司祭に無期限に拡大する事で、「懺悔、慈悲、赦し」という「カトリック精神の本質」を保とうとしたようだ。「意思決定に統一感が減るリスクがある」が、「カスタムメイドで個別化する傾向と必要性」を法王は認めたと「ラクロワ紙」はみる。
法王とバチカンの決定は現実に則した極めて現実的なものと言える。中絶のみならず離婚と再婚に制約があるカトリック社会の家族の在り方にも、大きな影響を及ぼすだろう。
(*1)1300年以降25毎に、カトリック教会で特赦を与える年と定められた年。直近の聖年はミレニアムの2000年。で今回の聖年は2015年12月8日から始まった。
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