世界の新型コロナウィルス集団感染状況は、昨日報告時より僅か1日で感染者が1万1千人以上、死者が400人以上増えている。しかし、回復者はまだ2千人程度増えただけであり、依然感染拡大が止まらない。そこで米メディアが、改めて各国が採用している水際政策である入出国制限について詳述している。なお、米ジョンズ・ホプキンス大学内研究機関の3月15日現在収集データによると、感染国142ヵ国、感染者156,396人、死者5,833人、回復者73,968人(回復率47.30%)となっている。
3月15日付
『CNNニュース』:「新型コロナウィルス感染抑制のために入出国を制限している国々」
世界保健機関(WHO)が3月11日、ついに新型コロナウィルス感染はパンデミック(世界流行)と認めるに至り、各国の水際政策である入出国制限がいよいよ厳しくなっている。
<北米>
• 米国:感染者2,951人、死者57人、回復者12人(回復率0.41%)。
・ドナルド・トランプ大統領は3月11日、シェンゲン協定(注後記)適用の欧州連合(EU)の26ヵ国からの入国を禁止すると発表。
・更に、マイク・ペンス副大統領が3月14日、3月16日晩以降の英国及びアイルランドからの入国も停止すると追加発表。
・なお、入国直前14日前まで中国、イランに滞在していた人は、既に入国禁止措置。
・また、米国市民も、帰国直前14日前まで中国に滞在していた人は、検疫体制の整った11空港(アトランタ、シカゴ、ダラス、デトロイト、ホノルル、ロスアンゼルス、ニューヨークx2、サンフランシスコ、シアトル、ワシントンDC)到着のみを許容。
<アジア>
• 中国:感染者80,995人、死者3,203人、回復者67,004人(回復率82.73%)。
・3月11日、北京空港到着の国際線搭乗の旅行者は全て、14日間の隔離施設滞在義務。
・ビジネスでの来訪者も、政府指定の北京市内隔離用ホテルにウィルス検査判明まで滞在要請。
・また、イラン・イタリア・日本・韓国から北京、広州、上海へ向かう来訪者は、14日間の隔離措置。
• 韓国:感染者8,086人、死者72人、回復者510人(回復率6.31%)。
・入国直前14日前まで湖北省(フーペイ)に滞在していた来訪者、及び湖北省市民の入国禁止。
・湖北省武漢市(ウーハン)在韓国領事館で発行されたビザ、及び今年3月9日以前に日本人宛に発行されたビザは全て無効。
• 日本:感染者773人、死者22人、回復者118人(回復率15.27%)。クルーズ船“ダイアモンド・プリンセス号”乗船者を含めると、各々1,469人、29人、443人(30.16%)。
・中国、韓国、イタリアからの来訪者の入国制限。但し、日本人及びその家族は例外。
• タイ:感染者825人、死者1人、回復者35人(回復率42.68%)。
・香港、韓国、イタリアからの来訪者へのビザ不要制を一時停止。
・中国含めた18ヵ国(日本は除外)からの来訪者の到着時ビザ発給も停止。
・従って、来訪者は全て事前にビザ取得、及びウィルス感染陰性証明が必要。
• マレーシア:感染者238人、死者0人、回復者35人(回復率14.71%)。
・中国、韓国、日本、イラン、イタリア、デンマークからの来訪者の入国禁止。また、同国民も上記国々から帰国した場合、自宅にて14日間自主隔離措置適用。
• インド:感染者102人、死者2人、回復者4人( 3.92%)。
・全ての観光ビザ発行停止、また、インド国民含めて、到着直前14日前まで中国、フランス、ドイツ、イラン、イタリア、韓国、スペインに滞在していた全ての来訪者は14日間の隔離措置。
• インドネシア:感染者96人、死者5人、回復者8人(回復率8.33%)。
・インドネシア国民及び同国居住者を除き、到着直前14日前まで中国、イタリア、韓国、イランに滞在していた全ての来訪者(航空会社乗員含めて)は入国もトランジットも不許可。
• ベトナム:感染者53人、死者0人、回復者16人(回復率30.19%)。
・政府は3月14日、入国直前14日前までシェンゲン協定適用の26ヵ国、及び英国に滞在していた来訪者の入国もトランジットも不許可とし、また、全来訪者に対して、これまで適用していた到着時にビザ発行する制度も停止すると発表。
・以上は、3月15日深夜から30日間適用。
• スリランカ:感染者10人、死者0人、回復者1人(回復率1%)。
・政府は3月12日、到着時にビザ発給する制度を停止、また、イタリア、イラン、韓国からの来訪者は14日間の隔離措置適用と発表。
• カンボジア:感染者7人、死者0人、回復者1人(回復率14.29%)。
・首相府が、3月17日以降30日間、イタリア、ドイツ、スペイン、フランス、米国からの来訪者の入国禁止。
<欧州>
• イタリア:感染者21,157人、死者1,441人、回復者1,966人(回復率9.29%)。
・14の地方空港に到着する全ての旅行者に、入国禁止措置。
• スペイン:感染者6,391人、死者196人、回復者517人(回復率8.09%)。
・国内非常事態宣言が既に発令されていて、入出国含めて厳しい制限措置が取られる予定。
・これを受けて、3月14日に到着予定であった、少なくとも5機の英国LCC便が途中で英国にとんぼ返り。
• ノルウェー:感染者1,090人、死者3人、回復者1人(回復率0.09%)。
・保健省は、3月12日から26日までの間、北欧諸国以外の国からの来訪者は、14日間の自主隔離措置適用と発表。
• デンマーク:感染者836人、死者1人、回復者1人(回復率0.12%)。
・メッテ・フレデリクセン首相は、3月14日から4月13日の間、全ての国境を封鎖する発表。但し、同国民の帰国及び物資搬入は適用除外。
• オーストリア:感染者655人、死者1人、回復者6人(回復率0.92%)。
・イタリア、湖北省、イラン、韓国からの訪問者の入国禁止。但し、ウィルス感染陰性の証明書保有者及びトランジットのみの場合を除く。
• ギリシャ:感染者228人、死者3人、回復者8人(回復率3.51%)。
・キリアコス・ミツォタキス首相は3月1日、少なくとも1ヵ月間難民の受け入れを停止すると発表。
• チェコ:感染者189人、死者0人、回復者0人。
・国営メディア『ラジオ・プラハ・インターナショナル』は、同国政府が3月12日、30日間の緊急事態適用を宣言し、3月14日以降、アジア、欧州、中東13ヵ国(日本含まず)からの来訪者の入国禁止、また、同国民がそれらの国への訪問も禁止することとしたと報道。
• ロシア:感染者59人、死者0人、回復者8人(回復率13.56%)。
・中国、フランス、ドイツ、韓国、スペインからの来訪者でモスクワ滞在予定者は、電話で当局に申告の上、14日間の自主隔離措置を取るよう要求。
• ハンガリー:感染者30人、死者0人、回復者1人(回復率3.33%)。
・航空会社乗員を除いて、イラン国民の入国禁止。
<オセアニア>
• 豪州:感染者250人、死者3人、回復者23人(回復率9.29%)。
・到着直前14日前まで中国に滞在、もしくはトランジットした来訪者の入国禁止。但し、航空会社乗員、豪州市民、及び豪州在住のニュージーランド市民は除外。
・今月、イラン、韓国、イタリアに滞在していた来訪者は、それらの国を立ってから14日間は入国禁止。但し、豪州市民、永住権所有の居住者は除かれるが、到着時から14日間の自主隔離が必要。
• ニュージーランド:感染者6人、死者0人、回復者0人。
・ジャシンダ・アーダーン首相は3月14日、3月15日深夜から16日間、同国市民も含めて全ての来訪者に、14日間の自主隔離措置を求めると発表。
<中東>
• サウジアラビア:感染者103人、死者0人、回復者1人(回復率0.97%)。
・同国民を除き、到着直前の14日前まで中国、イラン、韓国、イタリア等30ヵ国(日本含まず)に滞在していた来訪者の入国禁止。
・メッカ、メディナに巡礼するイスラム教徒も、許可証取得済みのバーレーン、クウェート、オマーン、カタール、アラブ首長国連邦国民以外は一時的に入国禁止。
• トルコ:感染者5人、死者0人、回復者0人。
・欧州9ヵ国(ドイツ、スペイン、フランス、オーストリア、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、ベルギー、オランダ)国民の入国禁止。
・到着直前14日前まで欧州、中東、アジア14ヵ国(日本含まず)に滞在、もしくはトランジットした来訪者の入国禁止。但し、トルコ国民は除く。
• ヨルダン:感染者1人、死者0人、回復者1人(回復率100%)。
・オマル・アル=ラッザーズ首相は3月14日、3月17日以降当分の間、入出国を一時停止。
・陸上、海上、及び空路を閉鎖。但し、外交ミッションや国際機関メンバー等は例外とするが、保健省が指示する14日間の自主隔離措置に従うことが条件。
<南米>
• ペルー:感染者38人、死者0人、回復者0人。
・3月16日から30日間、欧州及びアジア諸国の往来便を一時停止。
• コロンビア:感染者22人、死者0人、回復者0人。
・イバン・ドゥケ大統領は、中国、フランス、イタリア、スペインからの来訪者は、到着時以降14日間の自主隔離措置を要求すると表明。
・また、3月14日以降、ベネズエラとの国境を封鎖するとも発表。
(注)シェンゲン協定:欧州の国家間において、国境検査なしで国境を越えることを許可する協定。1985年、ルクセンブルクのシェンゲン近郊で最初の5ヵ国が署名したことに始まり、現在は26ヵ国が加盟。
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