インターポールの総裁選、公正な取り締まりに対する懸念
今週、世界の警察機関であるインターポール(国際刑事警察機構)の第89回総会がトルコのイスタンブールで開かれ、新しい総裁が選出される。しかし、総裁選挙は、警察権力の行使をめぐる権威主義政権と自由民主主義国との間の緊張関係を浮き彫りにするものであり、人権団体からの厳しい批判にもかかわらず、アラブ首長国連邦の高官が選出されそうな勢いとなっている。
米
『abcニュース』は、中国やアラブ首長国連邦などの権威主義政権の幹部が、フランスに本部を置く警察組織のリーダーの座を狙って、トルコで開催される総会に参加している、と伝えている。
インターポールは、政治的な目的のために利用されることはないとしているが、人権団体は、こうした国の候補者が当選すれば、麻薬密輸業者、人身売買業者、戦争犯罪容疑者、過激派容疑者を追跡する代わりに、インターポールの世界的なネットワークが悪用され、亡命した反体制派や国内の政敵まで逮捕されることになると主張している。...
全部読む
米
『abcニュース』は、中国やアラブ首長国連邦などの権威主義政権の幹部が、フランスに本部を置く警察組織のリーダーの座を狙って、トルコで開催される総会に参加している、と伝えている。
インターポールは、政治的な目的のために利用されることはないとしているが、人権団体は、こうした国の候補者が当選すれば、麻薬密輸業者、人身売買業者、戦争犯罪容疑者、過激派容疑者を追跡する代わりに、インターポールの世界的なネットワークが悪用され、亡命した反体制派や国内の政敵まで逮捕されることになると主張している。
特に2人の候補者に批判が集まっている。アラブ首長国連邦のアーメド・ナセル・アル・ライシ監察長官と、インターポールの執行委員会の空席に立候補する予定の中国公安部のフー・ビンチェン氏である。
インターポールの総裁と執行委員会は、政策と方向性を決定し、日常業務を担当する事務局長を監督し、インターポールの顔となる。事務局長はドイツ人のユルゲン・ストック氏が務めている。しかし、アル・ライシ氏は、拷問の嫌疑をかけられており、インターポールの本部があるフランスや選挙が行われているトルコを含む5カ国で刑事告訴されている。
また、フー・ビンチェン氏は中国政府の後ろ楯を得ており、中国政府は、亡命した反体制派を追い詰めるために世界的な警察機関を利用したり、自国民を失踪させたりした疑いが持たれている。
仏『リベラシオン』紙が調査したところ、「レッドノーティス」と呼ばれる、対象者の逮捕や引き渡しにつながる情報提供の要請の大半は、全体主義国家や政治的透明性に欠ける国から出されており、ロシア、中国、アゼルバイジャン、エジプト、イラン、インド、ベラルーシ、ベネズエラ、タジキスタンなどで、2019年だけでも2500件以上のレッドノーティスが出された。米国上院の報告書によると、同年、国際刑事警察機構(ICPO)が受け取ったレッドノーティスの38%はプーチン政権が発行したものだった。
『リベラシオン』は、欧州司法裁判所に拘束され、民主主義国家の代表者たちをますます不安にさせているインターポールは、あまりにも弱く、資金も乏しく、徹底した改革を行うための政治的意志を欠いている組織である、と報じている。また、「フランスは、リヨンに本部を置くこの組織の公式なホスト国であるが、内務大臣は、この組織の法令が悪用され、拷問を行ってきたとされている人が総裁に選出される可能性があることに動じていないようである。この偽りの静けさには、インターポールをさらなる衰退から救うためのフランスの激しい外交活動が裏で行われているのではないかと期待する人もいるかもしれないが、今週アル・ライシ氏が選出されれば、逆に無責任な無関心を証明することになる。」と伝えている。
米『ワシントンポスト』紙によると、ロジャー・ウィッカー米上院議員は先週の上院での演説で、インターポールは「反体制派や政治的反対者を処罰しようとする専制君主や詐欺師が、他国の法執行機関を法の支配から遠ざけようとするための道具になってしまった」と述べ、会議の開催場所を批判した。上院議員は、トルコがレッドノーティスを最も乱用している国の一つであると述べた。例として、トルコの国営メディアが2019年に、政府に対して、強い、批判的な発言をしている全米プロバスケットボール協会のスター選手で、トルコ出身のエネス・カンターに対して、トルコ政府がレッドノーティスを要請したと報じ、世界のメディアの注目を集めたことを挙げた。
チェコ共和国の総裁候補者、シュアルカ・ハブランコヴァ大佐は、自分の立候補は「法の支配と希望の象徴として、人々がインターポールを見ることを希望している加盟国のためのもの」だと述べている。
閉じる
フランスと米国でオリンピックやスポーツ大会の視聴者数が年々低下
フランスと米国では、東京オリンピックの開会式を見た人が、同時間帯に開催された過去のオリンピックに比べて減少した。オリンピックにとどまらず、スポーツイベント全般の視聴者数が減少傾向にあるという。
仏
『ラ・プロヴァンス』紙は、仏テレビ局「フランス2」での東京オリンピックの開会式の生中継は、高視聴率を得ることが出来たと伝えている。393万人の視聴者と37.7%の視聴率を獲得した。視聴者数は終日増加し、「フランス 2」の全体的な視聴率はライバル局「TF1」を上回った。20.3%の「TF1」に対して「フランス2」は21.9%を記録した。
しかし、仏『レゼコー』紙は、テレビで今も最も人気のある番組の一つであるスポーツ大会の視聴者数は、数年前の水準に戻る気配がないと伝えている。...
全部読む
仏
『ラ・プロヴァンス』紙は、仏テレビ局「フランス2」での東京オリンピックの開会式の生中継は、高視聴率を得ることが出来たと伝えている。393万人の視聴者と37.7%の視聴率を獲得した。視聴者数は終日増加し、「フランス 2」の全体的な視聴率はライバル局「TF1」を上回った。20.3%の「TF1」に対して「フランス2」は21.9%を記録した。
しかし、仏『レゼコー』紙は、テレビで今も最も人気のある番組の一つであるスポーツ大会の視聴者数は、数年前の水準に戻る気配がないと伝えている。特にアメリカでは、オリンピックの視聴率も減少しているという。
フランスでは、東京オリンピックで高視聴率が取れているものの、夏季オリンピックの視聴者数はこれまでと比較すると減少している。東京オリンピックの最初の3日間で、仏テレビ局で放送された開会式を除く平均視聴者数は76万9千人、視聴率は全種目、全時間帯の平均で13.3%だった。2016年のリオ大会の時は、今回と時差が異なっていたものの、同じく3日間平均で、視聴者数93万2千人、視聴率10.1%だった。
さらにさかのぼると、フランスとの時差がわずか1時間のロンドンオリンピックでは、3日間で約300万人の視聴者を集め、約24%の視聴率を獲得した。また、2008年に開催された時差6時間の北京オリンピックでも、当初100万人以上のフランス人が視聴し、視聴率は18%を記録した。この傾向は開会式にも反映されている。東京大会の開会式の視聴者数は約390万人、視聴率は37.7%であったが、10年あまり前の同時期の北京大会での視聴者数約500万人、視聴率48.2%には及ばなかった。
広告大手IPG メディアブランズ社のリサーチ・ディレクターであるエレーヌ・ブション氏は、「この前のユーロ大会でも見られたように、一般的にスポーツの視聴者数は以前に比べてやや減少している。しかし、25日午後に「フランス 2」で350万人の視聴者を獲得した素晴らしい数字を見ると、今後の競技に期待が持てる。リオや北京では、大会初日にこれほどの視聴者数は見られなかった。また、代表選手の活躍も影響してくると思う」と述べている。
一方、米国では、視聴者数の減少傾向が確実に進んでいる。米「NBC」によると、東京オリンピックの開会式の米視聴者数はわずか1700万人。この30年間で最も低い。アメリカ東海岸と日本の間にある13時間の時差の影響が考えられるものの、1988年のソウル大会の開会式は、2270万人が視聴していた。
IPG メディアブランズ傘下の調査部門マグナグローバルのグローバル・フォーキャスト・ディレクターであるヴィンセント・リタン氏は、「スポーツは、他のテレビ番組よりも長い間、視聴者の減少に耐えてきた。しかし、この3~4年、アメリカでは毎年スポーツイベントの視聴者数が減少しており、開会式のような長いイベントはなおさらだ。アメリカの視聴者は、ハイライト版を見ることに慣れてきてしまっている」と語っている。アメリカンフットボール選手権の決勝戦である今年のスーパーボウルも、2006年以来の低い数となる9200万人しか視聴しなかった。
しかし仏『リベラシオン』紙によると、開催地東京では、予想に反して高い視聴率が取れたという。新型コロナウイルス感染症の影響で日本の世論はオリンピックに対して否定的であったにもかかわらず、首都圏の56%以上の世帯が開会式をテレビで視聴したことが判明した。これは、オリンピックの開会式の視聴者数としては、1964年の東京オリンピックに次いで2番目に多い。
閉じる
その他の最新記事