欧州議会は8日、右派からの激しい反対にもかかわらず、2035年から新車の排出ガスをゼロにし、事実上電気自動車のみの販売を可能にするという欧州委員会の提案を承認した。
仏金融紙
『ラ・トリビューヌ』の報道によると、2035年以降、EU諸国ではガソリン車、ディーゼル車、さらにはハイブリッド車などの内燃機関車の新車購入が不可能になる。100%電気自動車のみ販売可能とする。欧州委員会が昨年提案したこの措置は、ハイブリッド車をEUの新規則から除外しようとする右派の欧州議会議員からの強い反対にもかかわらず、8日に議会で可決された。
一方、産業界への影響を懸念し、自動車の生産時に排出される炭素を考慮するよう求め、「合成燃料」など化石燃料より炭素集約度の低いバイオ燃料の使用を促進する修正案は可決されなかった。...
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仏金融紙
『ラ・トリビューヌ』の報道によると、2035年以降、EU諸国ではガソリン車、ディーゼル車、さらにはハイブリッド車などの内燃機関車の新車購入が不可能になる。100%電気自動車のみ販売可能とする。欧州委員会が昨年提案したこの措置は、ハイブリッド車をEUの新規則から除外しようとする右派の欧州議会議員からの強い反対にもかかわらず、8日に議会で可決された。
一方、産業界への影響を懸念し、自動車の生産時に排出される炭素を考慮するよう求め、「合成燃料」など化石燃料より炭素集約度の低いバイオ燃料の使用を促進する修正案は可決されなかった。内燃機関の禁止を2030年に前倒ししようとする緑の党の修正案も、説得力を欠いた。
議会での採決は、賛成339票、反対249票、棄権24票、と比較的僅差で承認された。27の加盟国で構成された欧州理事会との交渉がまだ必要なため、今回の承認が直ちに法律として成立するわけではない。
今回の提案は、欧州議会議員による野心的な気候変動対策計画の一部であり、2030年までにCO2排出量を1990年比で55%削減し、2050年にはカーボンニュートラルとすることを目指している。欧州のCO2排出量のうち、自動車が占める割合は約12%で、昨年のEUにおける乗用車の新車販売台数のうち、電気自動車とハイブリッド車が占める割合は18%であった。
緑の党のマイケル・ブロス欧州議員は、ヨーロッパで最も雇用の多い産業を13年かけて電気自動車時代に移行させることは「気候もこの分野の雇用も長期的に守る方法」だと述べている。
環境団体「Transport& Environment」は、内燃機関車の廃止を「石油への依存を解消する歴史的な機会」だとし、電気自動車の生産台数の増加は、価格の引き下げにつながると主張している。
しかし、米『フォックスニュース』によると、ドイツの自動車産業ロビー団体VDAは、ヨーロッパにおける充電インフラの不足を無視した採決だと批判している。また、「革新と技術に反する決定だ」とも述べている。これは、合成燃料を禁止対象から外すよう業界が要求し、欧州議会がこれを拒否したことに言及したものである。
EU諸国も承認した場合、2035年という期限はドイツの自動車メーカーにとって特に厳しいものとなる。ドイツはこれまで、強力で高価な内燃機関搭載車に注力する一方で、電気自動車に関しては海外のライバルに遅れをとってきたからだ。
仏『レゼコー』によると、今回の採決にあたって、製造業者や環境保護NGOの外部からの様々な意見が吟味され、欧州議会議員間で激しい戦いが繰り広げられたという。反対派からは、単一の技術的解決策(電気自動車)に絞ることには大きなリスクがあり、充電ネットワークの容量、脱炭素電力の生産、電池の原材料の入手可能性など、不確実性が高いとする反対意見が出された。賛成派からは、地球温暖化抑制のために必要なステップであるという主張がなされた。
この問題は、同じ国籍の欧州議会議員を含む国会議員グループを分裂させた。7日、投票に先立つ討論で、自由主義・リベラル・欧州連合支持の欧州議会の政治会派「欧州刷新」のフランス人副会長ドミニク・リケ氏は2035年の全面禁止に反対を表明した。同じく「欧州刷新」のメンバーである環境委員会のパスカル・カンファン委員長は支持を表明した。
内燃機関の終焉は、まだ確定してはいない。欧州委員会、欧州議会、理事会の間で7月に合意形成が図られる前に、EU加盟国評議会も6月末にこの件に関する結論を出さなければならない。しかし『レゼコー』は、今やこの流れを覆すことは難しいだろうと伝えている。
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英国のボリス・ジョンソン首相は6日夜、「パーティーゲート」のスキャンダルに伴う与党保守党内の反乱によって引き起こされた信任投票で、賛成わずか211票と6割に満たない僅差の勝利で留任することになった。フランスメディアはジョンソン政権の弱体化を報じている。
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『レゼコー』は、辞任の危険は当面は去ったものの、211人の議員が新任に賛成したのに対し、148人が退陣を求める票を投じたと伝えている。180人以上の議員が不信任の票を投じていれば、ジョンソンは辞任に追い込まれていた。今後、1年間はジョンソン首相に対する信任投票を行うことができない。一見すると、これで2024年の次の総選挙までは安泰だと思われるが、英国政治には、首相が信任投票で勝利しても、後に辞任に追い込まれる前例があると指摘している。テリーザ・メイ前首相は、2019年に信任投票で勝利し、続投出来たものの、その6ヵ月後に辞任に追い込まれている。
なお、2週間後には、イングランド南部のティバートンでは、保守党が敗北する可能性のある選挙が行われる予定であり、『レゼコー』は、「これが新たな落とし穴になる可能性がある」と伝えている。
辞任を求めている与党議員たちは、パーティーゲートをめぐる透明性の欠如と、その結果として生じた信頼の喪失を非難している。しかし、不満の理由はこれだけではない。北アイルランド議定書、ルワンダへの不法移民の移送、テレビ局チャンネル4の民営化など、ジョンソン政権の重要な政策に対しても一部議員たちの間で不満が溜まっている。最新世論調査では、ジョンソン首相の辞任に賛成する人は59%であった。
仏『BFMTV』は、ジョンソン首相はスキャンダルや国民と与党内の怒りにもかかわらず、ここ数ヵ月、特にロシアのウクライナ侵攻に対する西側の対応でリーダーシップを発揮したことで持ちこたえている、と伝えている。また、英国で12年間政権を担ってきた保守党の中に明確な後継者がいないことも、彼を後押ししていると指摘。特に、長く党内で人気の高かったリシ・スナック財務大臣が、生活費高騰の折、妻の脱税疑惑にさらされて以来、首相の存在感が増しているという。しかし、長い間、その風変わりで大胆な性格が人気を集めていたものの、今ではそうした側面が多くのイギリス人を悩ませていると伝えている。
仏紙『ルフィガロ』は、ジョンソン首相は政治家として不滅であるかのように見えるが、イメージの修復に苦労しており、ますます「レームダック」化しつつあるのではないかと指摘している。
なお『ユーロニュース』によると、英国メディアでは、タイムズ紙はジョンソン首相を「傷ついた勝利者」と表現し、フィナンシャルタイムズ紙は、僅差での勝利は「首相に大きなダメージを与え、党内の分裂と反感の程度が明らかにした」と報じた。ガーディアン紙は「首相は新任投票の屈辱の後、権力に固執する」と伝え、デイリーミラーは「パーティーは終わった、ボリス」という見出しで報じた。
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