安倍政権採択の中期防衛力整備計画;欧米メディアは“平和主義国”による空母保有及びステルス戦闘機最多購入に注目【米・フランス・ロシアメディア】(2018/12/19)
12月11日付Globali
「海外からみた日本・・No.7(最新鋭潜水艦)」で触れたとおり、政府は今月初め、次期中期防衛力整備計画(中期防、2019~2023年)の概要を明らかにし、多次元統合防衛力強化のために合計27兆円の防衛予算を組むとしている。そしてこの程、安倍内閣がその中期防を閣議決定したが、欧米メディアは特に、憲法で平和主義を謳う日本が、攻撃力を高める空母を保有すること、更には、米国製ステルス戦闘機の最多購入国となることに注目している。
12月18日付米
『クォーツ』オンラインニュース:「“平和主義”の国が世界最大の米国製F-35戦闘機購入国に」
憲法で“平和主義”を謳う日本が、専守防衛の名目で、もうじき空母を就役させ、かつ、世界最大の米国製F-35ステルス戦闘機の購入国となる。
安倍晋三内閣が12月18日に閣議決定した「中期防」は、中国や北朝鮮の脅威に対抗するためとしているが、実際は、ドナルド・トランプ大統領から強いられている日米貿易不均衡是正のため、米国製品を大量に購入する必要に迫られたものとみられる。...
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12月18日付米
『クォーツ』オンラインニュース:「“平和主義”の国が世界最大の米国製F-35戦闘機購入国に」
憲法で“平和主義”を謳う日本が、専守防衛の名目で、もうじき空母を就役させ、かつ、世界最大の米国製F-35ステルス戦闘機の購入国となる。
安倍晋三内閣が12月18日に閣議決定した「中期防」は、中国や北朝鮮の脅威に対抗するためとしているが、実際は、ドナルド・トランプ大統領から強いられている日米貿易不均衡是正のため、米国製品を大量に購入する必要に迫られたものとみられる。
現に安倍首相は今年の9月、トランプ大統領に対して、防衛力強化のためF-35戦闘機の購入機数を増やすと伝えている。
同戦闘機は1機当り9,000万ドル(約101億7千万円)で、現在取得が決まっている42機に加えて、追加で購入するとする105機の費用は100億ドル(約1兆1,300億円)にも上る。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙報道によれば、米同盟国の英国が購入予定のF-35戦闘機は138機であるため、日本は世界最大の同機購入国となる。
中期防に基づく5ヵ年の総防衛予算額は27兆円(2,400億ドル)とされているが、これにはロッキード・マーチン製の地上配備型迎撃システム“イージス・アショア”2基、更に、ヘリコプター搭載護衛艦“いずも”の空母化(F-35戦闘機の離着運用を可能とするための改修)が含まれている。
ただ、専守防衛を旨とする安倍首相は、批判をかわすため、空母とは呼ばずに“多機能の護衛艦”との表記を採用している。
同日付フランス『AFP通信』:「日本、第二次大戦後初めての空母保有予定」
安倍政権は12月18日、5ヵ年中期防を発表したが、その中で中国の軍事力拡大に対抗するため、第二次大戦後初めてとなる空母を保有する計画が含まれている。
更に、米国製ステルス戦闘機を100機余り追加購入する予定である。
菅義偉官房長官は定例会見で、急激に変化を遂げている日本周辺の安全保障問題に対して、質的にも量的にも対応していくため、同中期防に含まれる具体的対策が必要だと強調した。
これに対して中国外交部(省に相当)の華春瑩(ホァ・チュンイン)報道官は定例会見で、中国の軍事力に対抗するためとした防衛力増強は、“日中関係改善・発展に全く益とならない”と痛烈に批判した。
同日付ロシア『ロシア・ヘラルド』紙:「日本が中国・ロシアに対抗するためステルス戦闘機及び迎撃レーダーを購入」
日米両国の防衛報告によると、この程日本は、軍事力を高める中国及びかつての勢いを取り戻したロシアに対抗する米軍支援の一環で、最新鋭ステルス戦闘機及び地上配備型迎撃ミサイルシステム・レーダーを導入するという。
これによって日本は、西太平洋地域において、純然たる軍事力を保持する意向であることが明らかである。
一方、日本の背景にいる米軍勢力を警戒して、ロシアは12月17日、北方領土に駐留するロシア極東軍のために新たな兵舎を建設したと発表している。
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プーチン大統領;唯一信頼できる首脳は習国家主席だと発言した後、次に首脳会談を求める重要な相手はトランプ大統領とし、またしても安倍首相の名前は上がらず【米・ロシアメディア】(2018/06/11)
6月6日付Globali「プーチン大統領;世界で唯一心を許せて信頼できる首脳は習国家主席だとのコメントに安倍首相も落胆?」で報じたとおり、ウラジーミル・プーチン大統領は、2013年の自身の誕生日に習近平(シー・チンピン)国家主席とウォッカで祝杯を挙げたことを披露し、如何に同国家主席に心を許しているかに言及した。そして、次に首脳会談が必要とし、その機会を待っている相手はドナルド・トランプ大統領だと発言し、またしても安倍晋三首相の名前は上がらなかった。
6月10日付米
『ニューヨーク・タイムズ』紙:「プーチン大統領、トランプ大統領との首脳会談を心待ち」
中国訪問中のウラジーミル・プーチン大統領は6月10日、“米国側の準備が整い次第速やかに”ドナルド・トランプ大統領との首脳会談を心待ちにしていると語った。
但し、同大統領は、トランプ大統領が言及している、主要7ヵ国首脳会議(G-7)へのロシアの復帰については重要視していないとした。...
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6月10日付米
『ニューヨーク・タイムズ』紙:「プーチン大統領、トランプ大統領との首脳会談を心待ち」
中国訪問中のウラジーミル・プーチン大統領は6月10日、“米国側の準備が整い次第速やかに”ドナルド・トランプ大統領との首脳会談を心待ちにしていると語った。
但し、同大統領は、トランプ大統領が言及している、主要7ヵ国首脳会議(G-7)へのロシアの復帰については重要視していないとした。何故なら、ロシアは既に、G-7よりもっと重要な上海協力機構(SCO、中国主導で2001年に始まった、米国主導の政治体制に対抗する8ヵ国協力組織・国家連合)に所属しているからだと付言した。
同大統領は今回、中国東岸の青島(チンタオ)で開催されるSCOの年次総会に出席するため訪中していた。
そして同大統領は、SCOは人口・領土・経済規模(指標の採り方次第)ともG-7を上回っているとも強調した。
すなわち、同大統領曰く、確かに米国主導のG-7は依然世界の国内総生産(GDP)合計の半分を占めているかも知れないが、G-7加盟国の欧州・日本の経済成長は鈍化しているのに対して、SCOには大規模経済成長を続けている中国・インドが加わっていることから、為替調整・購買力を加味した試算では、実質的にSCOがG-7を上回っているとする。
同大統領はまた、トランプ大統領が最終的に、G-7サミット首脳宣言を承認しないと表明したことに理解を示した。何故なら、同大統領自身が主導するユーラシア経済連合(2015年発足のベラルーシ・カザフスタン・アルメニア・キルギス間5ヵ国の経済協力協定)においても、全会一致とならなければ合意書が署名されないことがあるとして、他国首脳がトランプ大統領は非外交的だと大騒ぎすることに疑問を呈した。
そして最後に同大統領は、直近のトランプ大統領との電話会談において、米ロ両国の軍拡競争に双方が懸念を持っていることを話したとし、同大統領としても、米国側の準備が整い次第、軍拡競争抑制について米ロ首脳会談を持つことになろうと語った。
6月11日付ロシア『ロシア・ヘラルド』紙:「プーチン大統領、米ロ軍拡競争抑制につき協議のためトランプ大統領との会談を希望と発言」
プーチン大統領は6月10日、中国で開催されたSCO年次総会での記者会見で、懸案となっている米ロ間軍拡競争問題について、米国側の準備が整い次第、トランプ大統領と直接会談を持つ意向である旨表明した。
米ホワイトハウスの公式データによると、これまで両大統領は8度にわたり電話会談を実施し、直近では3月20日(プーチン大統領再選翌々日)に行われている。
ロシア大統領府のドミートリー・ペスコフ報道官は、両大統領の直近の電話会談で、トランプ大統領が米ロ軍拡競争抑制について協議したいとし、ワシントンに招待したいとも述べたことを明かしている。更に、米ロ首脳会談の開催場所として、ウィーン(オーストリア)を候補として考えることも協議したとも付言した。
ただ、その後トランプ大統領が、米朝会談開催の可能性が高まったことや欧州他との貿易摩擦問題を抱えてしまったため、米ロ首脳会談の話は後回しにされてしまったものとみられる。
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