全仏オープン棄権の大坂なおみに支持の声(2021/06/02)
テニスの大坂なおみ選手は、全仏オープンで記者会見に応じずに罰金を課されて2回戦を棄権したが、スポンサーやアスリートからは支持する声が上がっており、アスリートのメンタルヘルスに世界を注目させ警鐘を鳴らすことに成功したと報じられている。
6月1日付米国
『CNN』 は「ナイキが全仏オープン棄権の大坂なおみを支持」との見出しで以下のように報道している。
ナイキなどスポンサー各社は、全仏オープンへの棄権を決めたテニス界のスター大坂なおみの支持に回っている。2019年に大坂とスポンサー契約をしたナイキは月曜声明で、うつ状態であることを公表した彼女を称賛し理解を示した。
全仏オープン(ローランギャロス)は声明で、大坂選手が初戦後の会見を拒否したことで、メディア対応義務を怠った義務違反により罰金を義務付けたとした。...
全部読む
6月1日付米国
『CNN』 は「ナイキが全仏オープン棄権の大坂なおみを支持」との見出しで以下のように報道している。
ナイキなどスポンサー各社は、全仏オープンへの棄権を決めたテニス界のスター大坂なおみの支持に回っている。2019年に大坂とスポンサー契約をしたナイキは月曜声明で、うつ状態であることを公表した彼女を称賛し理解を示した。
全仏オープン(ローランギャロス)は声明で、大坂選手が初戦後の会見を拒否したことで、メディア対応義務を怠った義務違反により罰金を義務付けたとした。「彼女の健康状態と、規則がすべての選手に平等だとの認識について確認を試みたが失敗した」とした。大坂選手は先週水曜、ツイッターで、メンタルヘルスを理由にあげ、大会の会見に今後一切参加しないと述べ、2018年のグランドスラム優勝後、長くうつ状態に苦しんでいたと告白していた。
他のスポンサー各社も大坂氏を支持するコメントを発表。「マスターカード」は、彼女の決心は、個々人の健康状態を優先することの重要性を改めて認識させるものだ。プレー中もそれ以外においても、大事な問題を提起したその勇気を称える。」と理解を示した。スイスの高級時計メーカー「タグ・ホイヤー」は、「今なおみは辛い状況にあるが素晴らしいチャンピオンであり、プロとしても人としても、更に強くなって戻ってくることを確信している」とコメント。「日清食品」も団結のメッセージ「一刻も早い回復を祈念するとともに、引き続きの活躍を願います」を発表。大坂がアンバサダーを務める米レストランチェーン「Sweetgreen」も支持と応援のコメントを寄せている。
6月2日米国『ワシントンポスト』 は「大坂なおみの撤退。メンタルヘルス軽視のスポーツ界への警鐘との見方も」との見出しで以下のように報道している。
テニススター大坂なおみは、テニスの伝統を次々と否定、義務である会見をせず、罰金を科されて試合からは撤退したが、アスリートのメンタルヘルスに世界を注目させ、選手の健康は軽視できないのだと警鐘を鳴らすことに成功、絶大な力を持つスポーツ業界に挑戦状をつきつけ注目の的となった。
元女子スポーツ連盟会長Julie Foudy氏は1日、大坂の行動はスポーツ運営組織による選手のメンタルヘルス支援を強制化していく方向へ議論を促し、パラダイムシフトにつながる機会となるだろうとコメント。
大坂の行動はアスリートたちにとっても警鐘となるものだ。全米大学選手協会幹部のRamogi Huma氏は「各方面の選手に健康への注意を認識させる行動で主催者団体にとっても警鐘となる。誰も足を怪我した選手に跳躍をさせようとはしないように、メンタルヘルスを害した選手に意志に反して会見をさせようとはしないはずだ」としている。
関係者によると女子テニス協会は、20年以上前からメンタルヘルスとウェルネス対応チームを設置していた。グランドスラムを含む全大会で、アスリートとヘルスケア専門家の連携も行っていたが、大坂選手が支援を求めていたかは定かではないという。
コロンビア大学精神医学部長Jeffrey A. Lieberman氏は、「うつという言葉が、軽い意味合いで使われる場合があるが、臨床的なうつ状態は全く違った性質もので、感情的でなく身体的な苦痛なのだ」という。トップアスリートは非常に訓練され意思も強いが、メンタル疾患に掛からないとは言えない。進行性の脳疾患で自殺したNFL元選手や、パニック障害でピーク時に引退した元テニス選手Mardy Fish選手の例もあり、病気を無視し治療しないと重大な結果となると指摘する。
日本人の母とハイチの父を持ち3歳で米国に移住した大坂氏は、自身のことをシャイだと表現していた。会見では初対面の人とどう会話を始めたらよいか分からないと告白していた。だが一方、長い受け答えでは初々しさや素直さが際立っていた。彼女と親しい人々の間で、 深刻で不安定な状態だったのかは不明である。
セリーナ・ウィリアムズ選手は彼女に同情を示し、「人はそれぞれ違う性格で同じでない。私は鈍いほうだが、繊細な心の人を持つ人もいて、人それぞれ受け取り方も違っている。」と述べている。元テニスプロ、現デビスカップ監督で不安症に苦しんだフィッシュ氏は「メンタルヘルスは批判や冗談で済まさず真剣に扱うべき。支援システムがなかったら今の私はない」とSNSでコメント。米国の元バスケット選手らからもツイッター上で支援のコメントが寄せられている。
閉じる
バイデン米政権、洋上風力発電拡大へ(2021/03/30)
バイデン米政権は、気候変動対策の一環として、今後10年間で洋上風力発電設備を大幅に拡大する計画を発表した。前政権で滞っていた認可手続きを加速し、公的融資を拡大する。
3月30日付米国
『ワシントンポスト』 は「バイデン政権が洋上風力発電拡大へ」との見出しで以下のように報道している。
29日バイデン政権は、気候変動対策として、東海岸の洋上風力発電を拡大する計画を発表。現状米国では、ロードアイランド州沖で、30メガワットの風力発電プロジェクトがあるのみ。2030年までに30ギガワットの発電設備の建設を目指し、ロングアイランドとニュージャーシー間に2.3億ドルを投資し港湾を増設、エネルギー省から洋上風力発電関連業に30億ドルを融資。...
全部読む
3月30日付米国
『ワシントンポスト』 は「バイデン政権が洋上風力発電拡大へ」との見出しで以下のように報道している。
29日バイデン政権は、気候変動対策として、東海岸の洋上風力発電を拡大する計画を発表。現状米国では、ロードアイランド州沖で、30メガワットの風力発電プロジェクトがあるのみ。2030年までに30ギガワットの発電設備の建設を目指し、ロングアイランドとニュージャーシー間に2.3億ドルを投資し港湾を増設、エネルギー省から洋上風力発電関連業に30億ドルを融資。これにより、1千万世帯の電力を賄う電力量となる7800万トンの二酸化炭素排出を削減できるという。
実現のため政権はプロジェクトの認可を早め、調査開発や港湾への融資を行うという。これにより洋上発電や港湾都市部の雇用創出も見込んでいる。他の再生可能エネルギー分野に比べ、洋上風力は、定期的な稼働とメンテナンスが必要とされるため、安定的な雇用を必要とするためその可能性に期待がかかる。
米国は再生可能エネルギー分野で欧州に大きく後れを取っている。欧州では、24ギガワットの電力供給能力があり、英国だけで2030年までに40ギガワットの発電を見込んでいる。一方で、風力発電は景観を損ね、観光に影響を与えるとの懸念がある。また、漁業への影響も懸念されている。
トランプ前大統領は、風力タービンに鳥が巻き込まれ、地価も下落するとして風力発電に否定的だったが、一方でノースカロライナ州とマサチューセッツ州の風力発電リースや、大西洋の風力発電開発の調査も行っていた。バイデン政権ではその動きを加速させる。
同日付米国『NBC』 は「バイデン政権が洋上風力発電へ大加速計画」との見出しで以下のように報道している。
バイデン政権が気候変動対策として、米国でこれまで進展しなった再生可能エネルギー発電加速に乗り出す。政府の風力発電拡大の一環として、2030年までに、米国の数百万世帯分の電力を賄う30ギガワットの風力発電を目指す。この目標達成にむけ、内務省がロングアイランドとニュージャーの洋上に、新規風力発電地域を開設する。
近年、地上の風力発電は盛んになった一方、 洋上風力発電は、前政権からの規制や手続き上の要因もあり進展してこなかった。現在米国で商業的に稼働しているのは1か所で僅かに5基のみである。これに比して、地上風力発電は2020年の国内電力の8%を賄っており、今後増えると見込まれている。
洋上風力発電が進まないもう一つの理由は、エネルギー省によると、洋上風力リソースの58%以上が「深海」にある点だという。海底に巨大設備を取り付けるのが現実的でない場所で、コスト上初期開発に問題があるという。
電力分野で2035年までに、そして米国経済全体で2050年までに温室効果ガスゼロ目標を掲げるバイデン政権にとって、風力、太陽光、地熱などの低炭素発電源は欠かせない。だが、気候変動対策としてこの目標を達成するには、現在石炭燃料などに頼っている車やトラック、家庭や職場の燃料など他のセクターの「電子化」も必要とされる。この発表を受け、環境団体や気候変動反対派議員から批判が上がっている。
閉じる
その他の最新記事