中国;習国家主席主導の「ゼロコロナ政策」堅持も、ついに国営メディアからも批判の声【欧米メディア】
中国では、異例の3期目続投を決めた習近平国家主席(シー・チンピン、69歳、2012年就任)が主導した「ゼロコロナ政策」が依然堅持されている。しかし、経済活動のみならず、個人の生活まで脅かされる状況が長く続いていることから、住民はもとより官製メディアまでもが闇雲の規制を批判する声を上げ始めている。
11月10日付
『ロイター通信』は、「中国政府が“ゼロコロナ政策”継続を再確認するも広州住民は辟易」と題して、規制効果の検証もなく、闇雲に規制を続ける当局に対して、住民のみならず国営メディアからも批判の声が上がっていると報じた。
中国の新政権は11月10日、習近平国家主席が主導する「ゼロコロナ政策」継続を再確認した。
国営メディア報道によると、3期目続投となった習国家主席率いる中国共産党中央政治局常務委員会(PSC、注後記)の最初の会議において、同政策の緩和は行わないことが決定されたという。...
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11月10日付
『ロイター通信』は、「中国政府が“ゼロコロナ政策”継続を再確認するも広州住民は辟易」と題して、規制効果の検証もなく、闇雲に規制を続ける当局に対して、住民のみならず国営メディアからも批判の声が上がっていると報じた。
中国の新政権は11月10日、習近平国家主席が主導する「ゼロコロナ政策」継続を再確認した。
国営メディア報道によると、3期目続投となった習国家主席率いる中国共産党中央政治局常務委員会(PSC、注後記)の最初の会議において、同政策の緩和は行わないことが決定されたという。
『新華社通信』は習国家主席が、“(同政策堅持と並行して)新規感染拡大を可及的速やかに抑え込み、通常の経済活動及び市民生活を取り戻すために、より効果的かつ決定的な対応を取る必要がある”と訴えたと報じている。
中国全土で、今年4月以来新規感染者が最多となっていることに伴い、当局によって厳しい感染拡大防止策が取られ、住民の生活や商業活動等が停止されていることから、世界の物流含めて国際金融市場が打撃を受けている。
例えば北京では、11月9日の新規感染者が95人と前日の80人から増えたことから、順延となっていた北京自動車ショーが中止に追い込まれている。
しかし、中国における感染状況は世界平均より依然低く、11月9日の中国全土の新規感染者数は8,824人であったにも拘らず、当局主導の厳格な行動制限が継続されることから、住民の不満が広がりつつあり、また、中国の経済成長にも逆風となっている。
製造拠点となっている広東省広州(クワンチョウ)では、3日続けて新規感染者が2千人増となったことから、市政府が集団検疫の実施を決めた上で住民の行動制限を求めたが、今春に2ヵ月もの都市封鎖措置を講じた上海ほどの厳しいものにはなっていない。
野村総合研究所(1965年設立)は11月10日、“今現在、広州市当局が、今春の上海のような全都市封鎖措置を講じるか定かではないが、もし同様の措置が取られた場合、中国住民にとって再びの悪夢となろう”とのコメントを発表している。
先週、中国政府がコロナ対策を緩和するとの期待の下、中国企業の株価が急上昇したが、その期待に反して、習国家主席による、人民の生命を守ることが先決とする“ゼロコロナ政策”継続が決定されてしまっている。
そこで、不便な市民生活を強いられている住民からの不満の声が強くなり始めていて、特に厳戒態勢が敷かれている北京では、複数の市民が防疫政策への不満から北京市当局を提訴するに至っている。
更に、『新華社通信』が、“全土の市政府当局は、科学的根拠を基にした防疫政策を講じるべきであり、かつ、新規感染症流行問題による経済や社会生活への影響を最小限に抑える努力をする必要がある”と批判する記事を掲載している。
(注)PSC:中国共産党の最高意思決定機関。憲法に於いて「中国共産党が国家を領導する」と規定されている中国の政治構造において、事実上国家の最高指導部でもある。中国共産党の最高指導機関は全国代表大会(党大会)であるが、通常5年に一度しか開会されず、党大会で選出された党中央委員会が党大会閉会中の最高指導機関としての職権を行使し、対外的に党を代表する。しかし、中央委員会も通常毎年1回程度しか開かれないので、中央委員会全体会議で選出された党中央政治局とその上位機関であるPSCが、中央委員会閉会中にその職権を代行する。すなわち、政治局とPSCが平常時における党の最高指導権を掌握・行使し、日常的に重要政策を審議・決定する。
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トランプの元首席補佐官スティーブ・バノン、下院特別委召喚に応じず侮辱罪で有罪求刑【欧米・中国メディア】
トランプ前大統領(76歳、2017~2021年在任)の元首席補佐官だったスティーブ・バノン(68歳、メディア幹部)が、下院特別委員会の召喚に理由もなく応じなかったとして、侮辱罪で有罪判決が求刑された。結果次第では、同じく同特別委から召喚されているトランプの対応にも影響を及ぼしかねない。
10月18日付欧米
『ロイター通信』は、「トランプの元首席補佐官バノン、議会侮辱罪で6ヵ月の有罪求刑」と題して、トランプの元首席戦略官だったスティーブ・バノン(2017年に7ヵ月就任)は、2021年1月6日発生の議事堂乱入事件を調査している下院特別委員会(1/6 HSC、2021年6月設立)の求めた召喚に応じなかったことで起訴されているが、司法省は6ヵ月の禁固刑を求刑したと報じている。
司法省は10月17日、連邦地裁に対して、ドナルド・トランプ前大統領の補佐官だったスティーブ・バノンが1/6 HSCによる召喚に応じず、“悪意を以て反抗及び侮辱”したとして、禁固6ヵ月の有罪判決を求めた。...
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10月18日付欧米
『ロイター通信』は、「トランプの元首席補佐官バノン、議会侮辱罪で6ヵ月の有罪求刑」と題して、トランプの元首席戦略官だったスティーブ・バノン(2017年に7ヵ月就任)は、2021年1月6日発生の議事堂乱入事件を調査している下院特別委員会(1/6 HSC、2021年6月設立)の求めた召喚に応じなかったことで起訴されているが、司法省は6ヵ月の禁固刑を求刑したと報じている。
司法省は10月17日、連邦地裁に対して、ドナルド・トランプ前大統領の補佐官だったスティーブ・バノンが1/6 HSCによる召喚に応じず、“悪意を以て反抗及び侮辱”したとして、禁固6ヵ月の有罪判決を求めた。
バノンは有力な極右政治顧問で、同特別委からの召喚を2度も拒否したことで、今年7月に起訴されていた。
この議会侮辱罪は、禁固30日から1年、及び100~10万ドル(約1万4,900~1,490万円)の罰金刑が科せられるとされている。
バノン被告に対して、コロンビア特別区連邦地裁のカール・ニコルス裁判官(52歳、2019年就任)が10月21日朝に判決を言い渡すことになっている。
司法省の検察官は10月17日の求刑申し立ての際、米連邦量刑ガイドラインに則り、バノン被告に対して禁固刑が必要である旨同裁判官に訴えた。
更に同検察官は、“保護観察所の事前調査を待つまでもなく、被告が現段階で即納可能な最大限の罰金”として20万ドル(約2,980万円)を科すよう求めた。
同検察官は申立書の中で、“裁判所での記者会見や、被告が運営する「作戦指令室」なるネット配信で、1/6 HSC召喚を拒否する自身の正当性を訴える等、政府の手続きや法を全く蔑ろにする行動を取った”とも言及している。
その上で、“被告は憲法下で(大統領顧問等の)幹部特権が認められている等と陳述しているが、同特別委が史上稀にみる議事堂乱入事件を調査しようとする行為を台無しにしようとしていることは明らかだ”とも断罪している。
一方、バノン被告の代理人弁護士は10月17日に裁判所に提出した陳述書の中で、保護観察処分が妥当であり、仮に禁固刑が下された場合、自宅での謹慎処分とすることを求める“と述べている。
なお、バノン被告はニューヨーク大陪審によって、トランプが米・メキシコ国境に壁を建設するキャンペーンを実施した際、数十万人から集めた資金の一部を流用したとして、2020年8月に詐欺罪及び資金洗浄罪で起訴されていた。
有罪が認められれば、最長15年の禁固刑に処される可能性があったが、トランプが大統領職退任当日に恩赦を決めたことから、以降本容疑では訴追されていない。
同日付中国『新華社通信』は、「米検察官、トランプ元補佐官に禁固6ヵ月を求刑」と報じている。
米検察官は10月17日、トランプ前大統領の首席戦略官だったスティーブ・バノン被告に対して、米議会を侮辱した罪で6ヵ月の禁固刑を求刑した。
同時に、1/6 HSCの召喚に応じなかったとして20万ドルの罰金支払いを求めた。
バノン被告は陳述書の中で、“代理人弁護士の、召喚に応じるべきではないとの助言に従っただけ”だとして有罪認定に対して異議を唱えている。
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