台湾、太平洋島嶼国ツバルの総選挙結果如何でナウルに続いて中国に鞍替えされる危機【欧米メディア】(2024/01/26)
台湾では、中国と対峙する与党・民進党候補が総統選に勝利したばかりだが、その僅か2日後、国交を結ぶ数少ない国から太平洋島嶼国のナウル(1968年英・豪・NZの信託統治から独立)が中国との国交樹立に翻意した。そしてこの程、1月26日に総選挙を迎える同海域のツバル(1978年英より独立)も、結果次第で親中政策に転じる恐れが出ている。なお、ツバルを含めて、台湾と国交を結ぶ国は僅か12ヵ国となっている。
1月25日付米
『AP通信』、欧米
『ロイター通信』は、太平洋島嶼国のツバルが総選挙の結果次第で台湾から中国に鞍替えする可能性があると報じている。
太平洋島嶼国のひとつであるツバルは、独立以来、台湾との外交関係を維持してきている。
同国には正統は存在せず、4年に一度の議会総選挙(一院制、定員16)では全ての候補者が無所属で立候補するが、その中で誰を首相に推すかによって派閥が形成されている。...
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1月25日付米
『AP通信』、欧米
『ロイター通信』は、太平洋島嶼国のツバルが総選挙の結果次第で台湾から中国に鞍替えする可能性があると報じている。
太平洋島嶼国のひとつであるツバルは、独立以来、台湾との外交関係を維持してきている。
同国には正統は存在せず、4年に一度の議会総選挙(一院制、定員16)では全ての候補者が無所属で立候補するが、その中で誰を首相に推すかによって派閥が形成されている。
直近の2019年総選挙を経て就任したカウセア・ナタノ首相は、親台湾政策を貫いている。
同首相は、2022年に台湾を公式訪問しただけでなく、昨年11月に開かれた太平洋諸島フォーラム(PIF、注1後記)においても台湾支持を強く表明した。
更に、同首相は、中国が外交関係構築を提案してきたが、台湾と断交することを条件としていたために、この申し出を拒否したとも発言している。
ところが、総選挙を前にして、次のように、同首相に反旗を翻す強力なライバルが出現しており、総選挙の結果、現首相が退陣に追い込まれることになると、同じく太平洋島嶼国のナウルが10日前、台湾から中国に鞍替えしたばかりでもあるため、ツバルの親台湾政策も大きく転換される恐れがある。
● セベ・パエニウ現財務相(58歳、2019年就任)
・今回総選挙の結果次第で、首相就任を強く望み、議員立候補者の支援取り付け中。
・台湾と中国との関係について、どちらがツバルにとって有益か(開発・発展の優先順位、そのための支援態勢)再検討が必要。
・具体的には、気候変動問題によって直接的に甚大な被害を受ける同国として、台湾含めた国際社会からもっと多くの資金的援助を求めるべく、その支援体制の見極めを行いたいと表明。
● エネレ・ソポアガ元首相(67歳、2013~2019年在任)
・ナタノ現首相に対峙する勢力代表で、同じく次期首相就任を画策。
・かつて駐台湾大使であったこともあり、今後とも台湾との外交維持を主張。
・但し、現政権が昨年11月に豪州と締結した安全保障を含む移住協定(注2後記)には全く反対。
なお、ナタノ現首相は、水没を防ぐため埋め立て工事を行い4~5メートル嵩上げするとし、豪州のアンソニー・アルバニージー首相(60歳、2022年就任)もその支援をすると表明している。
(注1)PIF:南太平洋の独立国および自治政府を対象にした地域経済協力機構。旧宗主国主導の南太平洋委員会(SPC、1947年設立された地域協力機構。現在の名称は太平洋共同体)に対して、島嶼国の主体性を堅持し、結束を図ることを目的として1971年8月に南太平洋フォーラム (SPF) として創設され、2000年10月にPIFと改称。
(注2)移住協定:気候温暖化現象による海面上昇で国土面積が失われるツバルに対して、豪州への移住を可能にする協定。その他、豪州が天災・感染症対策や武力支援を行うとされているが、ツバルが中国含めた多国と安全保障や国防協定を締結しようとする場合、豪州の許可が必要とも言及。なお、ツバル議会が批准しない限り発効せず。
(参考)2017年以降台湾から中国に鞍替えした国:パナマ(2017年)、ドミニカ共和国・エルサルバドル(2018年)、ソロモン諸島・キリバス(2019年)、ニカラグア(2021年)、ホンジュラス(2023年)、ナウル(2024年)。
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FIFAワールドカップ2026年北米大会;NJ州とテキサス州のNFL専用スタジアムが決勝戦開催呼び込みで鍔迫り合い【米メディア】(2024/01/07)
国際サッカー連盟(FIFA、1904年設立)主催のワールドカップ2026年(W杯2026)は、米・メキシコ・カナダ3ヵ国の共催で行われる。一昨年、米11市・メキシコ3市・カナダ2市の競技場での開催が決定されたが、予選含めた試合日程・場所については未定である。そこでニュージャージー州とテキサス州在の米2大競技場が、決勝戦の開催権を獲得すべく鎬を削っている。
1月5日付
『AP通信』、1月6日付
『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュース等は、W杯2026の決勝戦の開催権を獲得すべく、NJ州のメットライフ・スタジアムとテキサス州のAT&Tスタジアムが鍔迫り合いをしていると報じた。
W杯2026は、米・メキシコ・カナダの3ヵ国共催となるだけでなく、参加チーム数が従来の32から48チームに1.5倍増する。
そのため、試合数が一挙に104試合になること及び3ヵ国の分散開催に当たって、2022年にFIFAが承認した計16の開催都市-米11(NJ州・NY、テキサス州ヒューストン及びアーリントン、カリフォルニア州LA及びサンフランシスコ、シアートル、ジョージア州アトランタ、カンザス州カンザスシティ、ボストン、フィラデルフィア、マイアミ)、メキシコ3(メキシコシティ、モンテレイ、グアダラハラ)、カナダ2都市(トロント、エドモントン)の各競技場が使われることになる。...
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1月5日付
『AP通信』、1月6日付
『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュース等は、W杯2026の決勝戦の開催権を獲得すべく、NJ州のメットライフ・スタジアムとテキサス州のAT&Tスタジアムが鍔迫り合いをしていると報じた。
W杯2026は、米・メキシコ・カナダの3ヵ国共催となるだけでなく、参加チーム数が従来の32から48チームに1.5倍増する。
そのため、試合数が一挙に104試合になること及び3ヵ国の分散開催に当たって、2022年にFIFAが承認した計16の開催都市-米11(NJ州・NY、テキサス州ヒューストン及びアーリントン、カリフォルニア州LA及びサンフランシスコ、シアートル、ジョージア州アトランタ、カンザス州カンザスシティ、ボストン、フィラデルフィア、マイアミ)、メキシコ3(メキシコシティ、モンテレイ、グアダラハラ)、カナダ2都市(トロント、エドモントン)の各競技場が使われることになる。
米開催競技場は全て、同国で最も人気の高いアメリカンフットボール(NFL、1869年設立、計30チームが所属)の専用競技場が使用される。
ただ、NFL用のフィールドは53.3ヤードx120ヤード(49メートルx110メートル)だが、FIFAが基準としているフィールドの広さは70ヤードx115ヤード(64メートルx105メートル)であるため、改修工事が必要となる。
更に、8万人以上収容可能な競技場1つ、6万人以上が2つ、4万人以上が11以上あることが必要条件となっているため、座席数を減らしてフィールドを広げるだけの改修では不十分である。
かかる背景の下、NJ州・NYの候補競技場であるメットライフ・スタジアム(2010年開場、NFL所属のNYジェッツ及びNYジャイアンツの本拠地)と、テキサス州アーリントンのAT&Tスタジアム(2009年開場、NFL所属のダラス・カウボーイズの本拠地)が、2026年7月19日開催予定のW杯決勝戦の候補地に名乗りを上げて鎬を削っている。
まず、メットライフ・スタジアムのあるNJ州のフィル・マーフィー知事(66歳、2018年就任)は昨秋、『AP通信』の電話インタビューに答えて、“NJ州及びNY市民を代表して、W杯決勝戦を含めて、開催場所として相応しい競技場に整備していく”と宣言している。
同知事は、“当スタジアムはフィールド角の座席を取外すことで、FIFAが求める条件に適したフィールドの広さを確保できるが、他のほとんどのスタジアムは外周全体を後退させる等してフィールドを広げる必要がある”として、NFLシーズン終了後に取り掛かるべき改修工事の程度によって自州のスタジアムが抜きん出ていると強調している。
同スタジアムの広報担当ヘレン・ストラス氏は、“当スタジアムでは昨年10月、本拠としているNYジェッツとNYジャイアンツとの試合に8万3,367人の観客を動員しているが、先のサッカー用フィールドの広さを確保するため、角の1,740席を取り外すため、収容人数は7万4,895人になると推定される”とコメントした。
同氏は、“当該工事は大規模ではなく、かつW杯終了後は、同角に取外し可能な座席を設置することになる”として運用の利点も強調している。
同スタジアムは米最大都市のNYに近接していることより、FIFA幹部はもとより海外からの観戦者等にとって最もアクセスが優れている、との利点を有する。
一方、2009年のNFLレギュラーシーズンの最多観客動員数10万5,121人の記録を保有するテキサス州のAT&Tスタジアムも当然のことのように、W杯決勝戦の開催地獲得を目指している。
しかし、同スタジアムを本拠とするダラス・カウボーイズ広報担当のジョー・トゥラハン氏は、W杯関連の整備計画等に関わるメディアの質問に応えようとせず、FIFAやダラス・スポーツ委員会(W杯試合運営等取り纏め機関)に照会すべきだとのみコメントしたが、2つの機関とも『AP通信』の照会メールに回答してきていない。
なお、W杯の試合会場にするためには、サッカー用の広さの確保に加えて、現在人工芝となっているピッチを天然芝に変更する工事が必要となり、上記の2スタジアムもこの工事は必須である。
(編注)日本のW杯招致:2022年大会招致に失敗したが、2002年日韓共催に続いて2050年までにもう一度開催するという長期プランを掲げている。しかし、肥大化したW杯の新たな開催基本条件である、‘8万人以上収容の競技場1つ、6万人以上2つ、4万人以上11ヵ所’を中々満たすことができない状況である。因みに日本の同競技場の収容規模は、①日産スタジアム7万2千人、②埼玉スタジアム6万3千人、③新国立競技場6万人、また4万人以上は他に3ヵ所のみ。
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