ロシアがイルカを軍事利用
米海軍協会の衛星写真の分析から、ウクライナ侵攻時の今年2月に、ロシア黒海艦隊が拠点とするクリミア半島の港の入り口にイルカ用の囲いが設置されたとみられ、海からの艦船への攻撃に備え、軍用イルカが利用されている可能性があるという。
5月1日付米
『NBC』:「なぜロシア軍は艦船を守るためイルカを用いるのか」:
軍事に関する様々な報道をする米海軍協会(USNI)が、黒海のロシア軍基地のあるセヴァストポリ港で、動物のイルカが軍艦保護目的で利用されていると伝えている。
イルカを軍事目的で動物を利用することは、数千年も前から行われてきた。軍事活動として、ほぼ知られていない内容だが、これは兵士の命を守るのに有効な手段なのだという。...
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5月1日付米
『NBC』:「なぜロシア軍は艦船を守るためイルカを用いるのか」:
軍事に関する様々な報道をする米海軍協会(USNI)が、黒海のロシア軍基地のあるセヴァストポリ港で、動物のイルカが軍艦保護目的で利用されていると伝えている。
イルカを軍事目的で動物を利用することは、数千年も前から行われてきた。軍事活動として、ほぼ知られていない内容だが、これは兵士の命を守るのに有効な手段なのだという。イルカは、超音波で目的物を探知する能力に優れる。深海でイカを探知するだけでなく、浅瀬で音波探知機では検知できない爆発物を検出できる。
ソ連崩壊後、イルカプログラムの一部はウクライナに引き継がれ、その後20年間ほぼ非公開とされてきた。2000年にイルカがイランに売却されたことで閉鎖されたとも報じられたが、クリミア侵攻の2012年に復活。
クリミア侵攻の際もイルカが利用され、それ以来、ロシアは軍用海洋生物利用を拡大している。ロシアでは現状、諜報当局により黒海のイルカや、北極でのアザラシやシロイルカ利用が行われており、2019年にはノルウェー沖でカメラや武器が装着されているシロイルカを漁師が目撃している。
ソ連やロシアとは異なり、米海軍はイルカやアシカを支援目的のみで利用していることを公に公開しており、訓練施設の見学ツアーまで企画している。2012年にはロボットでの運用を検討したが、爆発物発見にはやはりイルカが有用だとして利用継続を決めている。米海軍は、イルカなどの動物を、兵士の保護を目的とし、人間の代わりに困難や危険な任務を遂行するために利用している。
4月29日付独『DW』:「ロシアが黒海基地に訓練されたイルカを配備しているとする衛生画像」:
米海軍協会(USNI)の衛星画像によると、ウクライナ侵攻中のロシアが、黒海の軍事基地で訓練されたイルカを配備しているとみられる。
USNIは、海域防衛や安全保障問題に関する独立フォーラムで、ロシアによるウクライナ侵攻が起きた2月の画像に、クリミア半島の南西にあるセヴァストポリ港の入り江に2つのイルカの囲いが見えるとするもの。セヴァストポリ港にはロシアの重要な海軍基地がある。UNSIの分析では、ここはウクライナからの射程範囲外となる場所にあり、重要性の高い軍艦が停泊しているが、海中からの攻撃には無防備であるとされる。
軍事的にイルカが利用されたのは今回が初めてではない。冷戦時代、ソ連や米国は、敵の潜水士や地雷探知のため訓練されたイルカを利用していた。ソ連崩壊後、イルカ計画は一旦ウクライナに引き継がれたが、クリミア侵攻を機に再びロシアの管理下に入ったという。二国間では戦略的基地の共有の合意が行われていたが、クリミアがロシアの支配下となったことで、合意は破棄されたとロシアは主張している。
イルカ以外の動物も、戦争やその余波で利用されてきた。ラットはカンボジアで地雷探知に、ハトは第一次世界大戦時に重要なメッセージを運ぶ伝書鳩として利用された。
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イギリス:年金受給開始年齢引き上げに慎重論
高齢化が進行している中、年金受給開始年齢の段階的引き上げが計画されているが、最新の報告書では、平均余命の伸長が以前予測された水準には達していないため、受給開始年齢の引き上げは時代遅れだと指摘されている。
12月19日付英国
『BBC』:「年金受給年齢引き上げに慎重論」:
最新の報告書は、寿命の延びが当初の予想ほどではないため、年金受給開始年齢の引き上げは今の66歳のまま据え置くべきだとしている。政府の現行の計画だと、2028年までに受給開始年齢を67歳に、その後も68歳に引き上げる計画となっている。コンサルタントLCPは、寿命が横ばいの今、30年間は変更すべきではないと指摘している。
政府の年金年齢に関する最新調査によると、2016年以降の受給額は週当たり179.60ポンドで受給開始年齢は昨年10月まで段階的に引き上げられ、今後は10年をめどに67歳へ、その後2039年以降68歳へ引き上げる予定だ。...
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12月19日付英国
『BBC』:「年金受給年齢引き上げに慎重論」:
最新の報告書は、寿命の延びが当初の予想ほどではないため、年金受給開始年齢の引き上げは今の66歳のまま据え置くべきだとしている。政府の現行の計画だと、2028年までに受給開始年齢を67歳に、その後も68歳に引き上げる計画となっている。コンサルタントLCPは、寿命が横ばいの今、30年間は変更すべきではないと指摘している。
政府の年金年齢に関する最新調査によると、2016年以降の受給額は週当たり179.60ポンドで受給開始年齢は昨年10月まで段階的に引き上げられ、今後は10年をめどに67歳へ、その後2039年以降68歳へ引き上げる予定だ。これは老後期間が成人期間の3分の1を超えないとの想定で計算されていた。しかし、計画策定後に寿命の公式統計はパンデミック前から下方修正されている。
その結果をふまえ、LCPは、2051年までの67歳引き上げは取りやめ、2060年代半ばまでは68歳への引き上げもすべきでないと主張、このような案は1960、70年代、80年代初頭の2千万人には恩恵のあるプランだったが早急に変更されるべきだとする。
今月、労働年金省(DWP) は年金受給開始年齢の再調査を開始したと発表。透明性のある財源管理、高齢化を踏まえた老後プランと財政保障の基礎を提供していくとしている。
年金の専門家は、受給年齢計算の検討を求めてきた。受給年齢の引き上げは、それまで待つことのできる健康な富裕層へは恩恵あるものだが、不健康で個人的蓄えのない人にとっては、減額率付きであっても早く貰うことが出来なくなる。「多くの人は65歳で引退するような勤労人生を送ったときに受給できないことに失望する。若い世代が年金制度に期待しないのは当然の結果だ」としている。
12月20日付英国『Money Marketing』:「年金受給年齢引き上げは計画倒れ、LCP」:
LCPによると、年金受給開始年齢を2028年までに67歳へ、2039年までに68歳へ引き上げる政府の計画は、期待されていたような寿命の延びが見込めないとの予想から時代遅れだという。寿命に合わせた年金受給年齢引き上げ政策にこだわった場合、67歳への引き上げは2051年まで出来そうにないとする。
2014年時点の国家統計局(ONS)の人口予想を用いた資料では、今後数十年で寿命は延び続けると予想されていた。これに基づき、政府アクチャリティ部門は、リタイア期間が成人期間の3分の1を超えないと想定し、2041年までに年金受給年齢を68歳まで引き上げる必要があると試算。この報告書を受け、労働年金省(DWP)は2039年までに68歳まで引き上げるという現在法より7年前倒しとなるタイトな計画を示した。
その後ONS が発表した2016年と2018年基準の人口予想では寿命がより短くなっている。例えば2014年を基準とすると、66歳女性は平均89歳まで生きると仮定されるが、2018年を基準とすると、同じ人の寿命が87歳と短くなる。
LCPのパートナーSteve Webb氏は、「コロナ禍前から、過去100年の寿命の延びはほぼなかったのに、引き上げ計画だけが独り歩きしていた。66歳に引き上げられたのは昨年。次の引き上げはしばらくないだろう。」としている。
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