先月、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗元会長が、女性蔑視発言で辞任したのに続き、五輪セレモニーの演出統括役で、リオ五輪で安倍元総理がマリオに扮した演出も担当していたディレクターが、女性タレントの容姿を侮辱する演出を企画し辞任したと海外メディアが報じている。
3月18日付米国
『CNN』(ロイター通信引用)は「東京五輪の演出統括責任者が侮辱発言で辞任」との見出しで以下のように報道している。
東京五輪の演出統括責任者が、人気女性エンターテイナーを侮辱するコメントをしたことで辞任することになった。五輪組織委員会は女性への問題発言で騒動が続いている。
統括責任者の佐々木宏氏は開会式と閉会式の演出で、演出チームに対し、グループチャットで渡辺直美を「オリンピッグ」に見立てる演出をしようと提案していたという。同氏は五輪組織委員会を通し、「私の考えや発言は非常に不適切なものでした。このような内容を不快に感じた人々に深くお詫び申し上げます。」と述べている。発言についての17日の週刊誌報道後、すぐに辞任につながり、同日には橋本聖子組織委員長に辞任の意を伝えたという。
先月には森喜朗元総理が、女性は話が長いと差別発言をしたことで、五輪組織委員長を辞任した。元アスリートから政治家に転身し、森氏の後任となった橋本組織委員長は、五輪でのジェンダー平等を誓っていた。佐々木氏は12月、五輪組織委員会がコロナ禍で延期された五輪の式典を短縮した形で行うために、演出チーム統括に任命されていた。
同日付英国『Guardian』は「五輪演出責任者が性差別発言で辞任へ」との見出しで以下のように報道している。
日本のメディアによると、トラブル続きの東京五輪の式典担当の男性が、開会式で女性タレントに豚の恰好をさせる企画を出していたことで辞任を申し出たという。週刊誌報道によると、宣伝担当重役の佐々木宏氏は、五輪開会式の演出で、33歳の女性タレントが豚のコスチュームを着て空から舞い降りる「オリンピッグ」なる演出を企画していたと報じられている。
組織委を通し、佐々木氏は提案を行ったことを認め謝罪しているという。同氏はリオ五輪閉会式の安倍元総理がマリオに扮した東京五輪へのハンドオーバーの制作にも携わっていた。現時点で組織委は、現在の世界情勢に合わせ、7人体制の演出チームの効率を見直し、伝統となっている華美な演出スタイルを改良するとしている。
同日付ドイツ『DW』は「五輪演出担当責任者が女性コメディアン侮辱で辞任」との見出しで以下のように報道している。
辞任した五輪演出ディレクターの佐々木氏は五輪関連の様々な演出を担当する中心人物で、最初はパラリンピックの開・閉会式担当だったが、昨年、五輪の演出の担当に任命されていたという。
今回の辞任騒動は森元五輪大会組織委員長の性蔑視発言による辞任から日も浅い。組織委員会内では、コロナ禍で昨年から延期になっている五輪の開催自体も危ぶまれている。来週には海外からの観客禁止の発表があるとみられており、国内からの観客の人数制限もまだ決定されていない。
閉じる
既報どおり、バイデン新政権は、トランプ前政権同様、中国対峙の姿勢を標榜しているが、前政権と大きく違うのは、四ヵ国戦略対話(クワッド会議)開催を主導する等、アジアの同盟国との連携を重要視していることである。それは、新政権の国務長官・国防長官の2閣僚の初外遊先として日本・韓国を選択したことにも如実に表れている。
3月14日付米
『ニューヨーク・タイムズ』紙:「バイデン大統領、アジア重点政策の下、中国対峙のためアジア同盟国との連携再構築」
ジョー・バイデン大統領(78歳)の外交政策には、2つの重点政策がみてとれる。
それは、トランプ前政権のやり方に不満を持っていたアジア同盟国との連携を再構築し、そしてその上で一致団結して中国に対峙していくことである。
この証左となるのが、新政権の閣僚の初の外遊先として、日本と韓国を選んだことである。
そして、米及び日韓それぞれとの2+2会談(外相・国防相)は正しく、直後の3月18日にアラスカで開催される、米閣僚と中国外交トップとの初会談の前奏曲となる。
米中閣僚級会談は、両国間の基本的立場及び相互に越えてはならない一線について協議する場と考えられ、同会談に出席するアントニー・ブリンケン国務長官(58歳)は、“21世紀最大の地政学的実験”と表現している。
また、米高官も、“1回限りの会談”で以て、米国が中国側と協働できる分野について確認する目的だとしている。
疾風のように現れた外交施策は、まず3月12日に開催されたクワッド会議サミットで始まっている。
すなわち、アジア太平洋政策を重点に捉えるべく、米国が日・豪・印メンバー国と連携を図るものであり、バラク・オバマ政権時のアジア軸足政策を復活させるとともに、トランプ前政権が行った、ぶっきらぼうで商談を進めるようなアジア同盟国へのアプローチを是正しようとするものである。
ブリンケン国務長官は先週、下院外交委員会の公聴会で、“中国が、我々米国からだけでなく、世界中から悪評となっていることを聞けば聞く程、我々にとって事態を変更しうる機会が増えることになろう”とコメントしている。
ただ、これは中々容易ではないと言える。
何故なら、まず中国は、新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題からいち早く立ち直って景気回復させているのに対して、ほとんどの西側諸国は依然感染症問題から抜け出せない状況にあることである。
更に、中国は国防費を大幅に増額して、米国の軍事力に追い付こうとしていることから、世界の中での中国の存在感がより高まっているからである。
一方、バイデン政権が、ブリンケン国務長官とロイド・オースティン国防長官(67歳)の最初の訪問先を日本としたことは、トランプ前政権が日本の駐留米軍費用の増額請求に固執したことでぎくしゃくした両国関係を改善しようとする確たる目的があるとみられる。
そして、ホワイトハウスが3月12日、バイデン大統領が最初に迎える首脳が菅義偉首相になったと発表していることからも窺える。
なお、バイデン政権の2閣僚が今週日・韓高官と2+2会談を持って、米国による中国対峙のための後援を期待しているが、両国はそれぞれ中国との貿易高が最大となっており、複雑な様相を呈することはあり得る。
ただ、両国とも安全保障面では米国頼みとなっていると言える。
そこで、日本との2+2会談では、日本が最も気にしている、中国との領有権問題がある尖閣諸島について、もし中国が一方的に攻めてきた場合、米軍は支援してくれるのかが重要課題のひとつとなろう。
また、韓国との会談においては、トランプ前政権が全面否定していた、大規模レベルの米韓合同演習の復活はあり得るのかが焦点になろう。
3月15日付ドイツ『ドイチェ・ベレ(DW、ドイツ国営通信)』(1953年設立):「バイデン新政権閣僚、初の外遊先としてアジア訪問」
バイデン政権の新閣僚であるブリンケン国務長官とオースティン国防長官が3月15日、初の外遊先として日本を訪問する。
この外交政策は、トランプ前政権の偏った外交政策と決別し、多国間関係の重視、同盟国・友好国との関係再構築を図ろうとするもので、特にアジアにおける政策に重点を置く意向である。
両閣僚は3月16日、茂木敏充外相(65歳)及び岸信夫防衛相(61歳)と外交政策及び安全保障問題について協議する。
次に両閣僚は3月17日、韓国を訪問して、特に北朝鮮問題について打ち合わせる。
日本、韓国それぞれの協議事項には、駐留米軍費用の負担額についても交渉することになろう。
なお、オースティン国防長官はその後、インドを訪問して安全保障問題につき協議する意向である。
一方、ブリンケン国務長官は一旦帰国した後、3月18日にはアラスカで、ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の同行を得て、中国外交トップと初めて会談することになっている。
閉じる