スイス:核のごみ貯蔵地にドイツ国境付近を選定(2022/09/12)
福島原発事故以降、脱原発を決めているスイスでは、北部ドイツの国境付近に、核廃棄物の「深地層処分場」を建設する計画があるが、ドイツでは、施設の安全性や飲み水への影響が懸念されているという。
9月11日付英
『Guardian』:「スイスが核のゴミ貯蔵地としてドイツ国境付近を選定」:
スイス当局は、放射性廃棄物の深地層処分場として、北部ドイツ国境に近い場所を選定した。スイスは最良な貯蔵場所を50年近く調査してきたが、使用済み核燃料を地下深くに粘土で埋める「世紀のプロジェクト」が進展をみせている。
プロジェクトを主導する放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は10日、地下貯蔵施設の3つの候補地のうちネルドリッヒ・レーゲルン地域が最も最適だと決定したと発表。...
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9月11日付英
『Guardian』:「スイスが核のゴミ貯蔵地としてドイツ国境付近を選定」:
スイス当局は、放射性廃棄物の深地層処分場として、北部ドイツ国境に近い場所を選定した。スイスは最良な貯蔵場所を50年近く調査してきたが、使用済み核燃料を地下深くに粘土で埋める「世紀のプロジェクト」が進展をみせている。
プロジェクトを主導する放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は10日、地下貯蔵施設の3つの候補地のうちネルドリッヒ・レーゲルン地域が最も最適だと決定したと発表。NAGRAは、「深層貯蔵には最も安全な場所」だとしている。NAGRAは同地域の住民に直接通知をしたとしている。
スイス政府は2029年までに最終決定を下すとしているが、スイスは直接民主制のため、この問題について国民投票が行われる場合は、それも変わる可能性もある。
2011年に起きた福島原原発の事故を受け、原発の段階的廃止を決定したが、原子炉は安全性が保たれる限り稼働は継続されている。現在、廃棄物はドイツ国境から15キロにあるヴュレンリンゲンに一時貯蔵されている。厳重なモニタリングを経て、地下への埋蔵は2060年までに開始されるとみられ、22世紀中には、封鎖されるとされている。
世界では現在、フィンランドのみが深地層処分場建設を完了、スウェーデンは1月承認が下りたところで、フランスでも放射性廃棄物を地下に粘土で埋める計画がある。
同日付ドイツ『DW』:「スイス、核の廃棄処分場をドイツ国境付近に建設予定」:
スイスの核処理施設計画に対し、ドイツ国境付近では安全性への懸念が高まっている。
スイス連邦エネルギー局によると、この計画は、放射性廃棄物の処理問題にあたるスイス政府と発電所職員からなる放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)によるもので、チューリッピの北方、ドイツ国境に近くが予定地となっている。廃棄物は地下数百メートルで、オパリナス粘土で固められるという。
現在スイスでは原子力発電所が4ヶ所で稼働しており、安全性に問題が生じない限りは2040年代まで稼働が継続される。また、使用済み核燃料など放射性廃棄物のためのいわゆる「深地層処分場」には、 スイス政府と議会の両方での承認が必要で、このプロセスには数年かかるとみられている。
一方、国境付近のドイツの地域では懸念が高まっている。懸念は主に、施設の安全性へ不安や飲料水供給の問題で、ドイツ連邦環境省はこのスイスの決定を批判している。他の2つの候補地も、ドイツ国境に近い。ドイツでは、賛否のある高放射性廃棄物の埋蔵地の決定は、最低でも2031年まで議論されない。
NAGRAは2024年までに承認の申請を行う予定だとしている。スイス政府の決定後、議会での承認を待つことを考慮すると、貯蔵施設は2050年頃まで始動しないとみられる。
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参院選:安倍氏死去・与党勝利(2022/07/11)
安倍元総理が襲撃された2日後の参議院選挙が行われたが、政治指導者が民主主義と言論の自由の大切さを強調する中、事件により自民党支持が上昇し、与党勝利に繋がったと欧米メディアは報じている。
7月10日付
『AP通信』:「安倍氏の死去受け、与党勝利へ」:
10日の参院選で、安倍晋三元総理の暗殺をきっかけとした同情票が後押したことで、連立与党が過半数勝利を収めている。
岸田政権はこの参院選を乗り切れば、参院半数改選の2025年までは安泰となる。それにより、肝となる国家安全保障や、曖昧な「新しい資本主義」という経済政策、平和憲法改定等に長期的戦略で立て取り組みやすくなるだろう。...
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7月10日付
『AP通信』:「安倍氏の死去受け、与党勝利へ」:
10日の参院選で、安倍晋三元総理の暗殺をきっかけとした同情票が後押したことで、連立与党が過半数勝利を収めている。
岸田政権はこの参院選を乗り切れば、参院半数改選の2025年までは安泰となる。それにより、肝となる国家安全保障や、曖昧な「新しい資本主義」という経済政策、平和憲法改定等に長期的戦略で立て取り組みやすくなるだろう。
先週の銃撃事件を受けて、10日の選挙は新たな意味が加わった。政治指導者らは、言論の自由の重要性や、民主主義への脅威に屈することなく公約を貫くことを強調した。岸田総理は、「選挙を行うことは非常に意義深いことであった。民主主義を守り抜く」と述べた。
日本は銃規制が厳しいことで知られている。最新の犯罪白書によれば、人口1億2500万人で、銃に関連した犯罪件数は2020年にわずか21件しか起きていない。しかしながら専門家は、近年ガソリン等の身近なモノを使った犯罪が起きており、一般市民が無差別犯罪に巻き込まれるリスクが増していると指摘している。
安倍氏は2020年の首相退任後も自民党内で大きな影響力を持ち最大派閥を率いていた。同氏が不在となれば、戦後1955年の成立以降続いた自民党のパワーバランスに変化が生じかねない。ジェンダー平等、同性婚等の揺れる政策をめぐり、これが自民党にとってのターニングポイントになる可能性もある。一方、安倍氏が築いた日本の外交、安遠保障への施策が揺らぐことはないと見られる。
同日付独『DW』:「安倍氏暗殺後の選挙で与党勝利へ」:
安倍元総理が選挙キャンペーン中に銃撃され死去した2日後の参院選では、出口調査によると、与党の過半数が確定すると見られている。
安倍氏の後継者にあたる岸田総理は、「暴力により選挙の根底が危ぶまれる中、選挙を共に実行できたことは重要だ」と述べた。正式な選挙結果は月曜となるが、安倍氏暗殺後、自民党への支持上昇がみられるとされる。
先週の段階での世論調査では、自民党が過半数をわずかに割り勝利すると予測されていたが、安倍氏の自民党の連立与党が議席を拡大すると期待されている。
警察は、安倍氏の死去を巡り、警備の抜け穴を認識し、警護と安全対策に問題があったことを認めている。土曜夜の記者会見で、奈良県警の本部長は、「1995年に警察官になって以来、最大の悔恨、痛恨の極み」だと述べている。
ブリンケン米国務長官は、安倍氏死去への国家としての弔慰を示すため、月曜東京に立ち寄る予定で、既に協議のためアジア入りしている。ドイツのベアボック外相も、日本に滞在中で、日曜に長崎原爆記念館を訪問、月曜に東京入りする予定だという。
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