ドゥテルテ比大統領がまたしても暴言吐くも、忠実な大統領府報道官が真意は違うと釈明会見【米・フィリピンメディア】
1月25日付Globali「
ドゥテルテ比政権;またしても米・比軍事協定破棄と脅し」で触れたとおり、脱米国、親中・ロ政策を打ち出しているロドリコ・ドゥテルテ大統領は、米国の遣ることなすことが気に入らず、しばしば暴言を吐いている。そしてこの程、同大統領が国内富裕層に向けて暴言を吐いたことから、さすがにまずいと考えた忠実な大統領府報道官が、大統領の真意は違うので言動をそのまま受け取らないように、とわざわざ釈明をしている。
1月26日付米
『ニューズウィーク』誌:「大統領府報道官、ドゥテルテ大統領が富裕層を殺せと言ったのは真意でなく、言動をそのまま受け取らないようにと釈明」
フィリピン大統領府のサルバドル・パネロ報道官は1月26日、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領が1月23日にレイテ島(フィリピン中部)で演説した際、2大水道会社のオーナーを指して、泥棒猫の富裕層は殺せ、と発言したのは真意ではないので、言動をそのまま受け取らないようにと釈明した。...
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1月26日付米
『ニューズウィーク』誌:「大統領府報道官、ドゥテルテ大統領が富裕層を殺せと言ったのは真意でなく、言動をそのまま受け取らないようにと釈明」
フィリピン大統領府のサルバドル・パネロ報道官は1月26日、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領が1月23日にレイテ島(フィリピン中部)で演説した際、2大水道会社のオーナーを指して、泥棒猫の富裕層は殺せ、と発言したのは真意ではないので、言動をそのまま受け取らないようにと釈明した。
フィリピンメディア『GMAニュース』報道によると、同大統領は、マニラ首都圏の上下水道を管理・運営するメイニラド・ウォーター・サービス(1997年設立、西側を管轄)及びマニラ・ウォーター(1997年設立、東側を管轄)の経営者は不届き千万な富裕層なので、自身が指示を出したらすぐ抹殺してしまえ、と発言していた。
また、『ABS-CBNニュース』報道によると、同大統領は、移動通信会社のグローブ&スマートの経営者も盗人だとして、同様の扱いとするよう表明していた。
しかし、パネロ報道官は『フィリピン・スター』の番組の中で、同大統領の表現は独特できつ過ぎる嫌いはあるが、その真意は、名前を挙げた富裕層や企業の、納税者や消費者から金を奪うようなやり方を決して許してはならない、ということを強調する意味合いであるとして、一般市民の理解を求めた。
一方、同報道官は、フィリピン政府が2人の米上院議員の入国を拒否することとしただけでなく、米国からの旅行者のフィリピン入国に制限を加える可能性にも言及した。
すなわち、同報道官は、昨年12月にリチャード・ダービン及びパトリック・リーヒー両上院議員が、2017年に逮捕・拘留されたライラ・デ・リマ上院議員の事件に関わったフィリピン高官の米入国を拒否する決議を採択させたことから、フィリピンの内政に余計な干渉をすることは許されないため、当然の報復措置だと言及した。
そして同報道官は、リマ上院議員の事件は、明らかに不正摘発の所以だと強調した。
同日付フィリピン『マニラ・ブルティン』紙:「大統領府、ドゥテルテ大統領の金持ちを殺せとの発言は、重圧を与えるためのもので言動どおりではないと釈明」
パネロ大統領府報道官は1月26日の記者会見で、ドゥテルテ大統領の不道徳な金持ちは殺せ、との発言は、例によって多くの人に注目してもらおうとの意図であって、決して言動どおり受け取らないように、と釈明した。
同報道官は、一部の富裕層経営者が、法律に違反する行為をしているので、当然報いを受けなければならないと同大統領は訴えたかったものだ、と付言した。
同報道官はまた、大統領に名指しされた上下水道会社や移動通信大手の経営者はもとより、その他法律に違反しているとの心当たりがある富裕層に対する厳しい警告の一環だ、とも言及した。
なお、同報道官は、富裕層はボディガードを付けた方が良いかとの質問に対して、法律に基づいて事業等を行っていれば、かかる心配は全く不要、と回答している。
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南シナ海をめぐる近況<米・ロシア・フィリピンメディア>
北朝鮮問題が中々改善せず、親中政策に舵を切っていたトランプ大統領も、中国側動きに失望感を表している。そうした中、6月22日にワシントンで初開催される「米中外交安全保障対話」閣僚会議では、北朝鮮問題での具体的な協力関係を前進させることが期待されるものの、南シナ海問題については、大きな隔たりが埋まる可能性はない。それを暗示するかのように、日米に歩み寄りを見せたベトナム首脳に不快感を表して、中国軍事担当高官がベトナムを訪問しての領土問題協議を直前にキャンセルしたかと思えば、米比合同軍事演習が、規模を縮小しても予定どおり開催され、中国をイラつかせている。更に、6月13日付Globali「日本、海洋安全保障・装備展示会(MASTA)で東南アジア諸国連合(ASEAN)抱き込み(2)」で報じたとおり、ASEANとの防衛連携強化を狙って防衛省が企画した様々な行事-海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦に搭乗しての南シナ海監視航行や、自衛隊の災害救助訓練の視察-に、ASEAN主要国の防衛関係者が挙って参加している。
6月22日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「中国、南シナ海問題に関わるベトナムとの閣僚級会議をキャンセル」
中国国防部(国防省に相当)は6月20日、南シナ海問題に関わるベトナムとの閣僚級会議が、諸事情により中止となったと発表した。
同部は詳細を明らかにしていないが、ベトナム研究専門家の分析では、ベトナムのグエン・スアン・フック首相が、直近の日米訪問で見せた両国への歩み寄りに対して、ベトナム訪問の中国中央軍事委員会の范長龍(ホァン・チャンロン)副主席が怒り、直前に両国間協議をキャンセルしたものとみられるという。...
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6月22日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「中国、南シナ海問題に関わるベトナムとの閣僚級会議をキャンセル」
中国国防部(国防省に相当)は6月20日、南シナ海問題に関わるベトナムとの閣僚級会議が、諸事情により中止となったと発表した。
同部は詳細を明らかにしていないが、ベトナム研究専門家の分析では、ベトナムのグエン・スアン・フック首相が、直近の日米訪問で見せた両国への歩み寄りに対して、ベトナム訪問の中国中央軍事委員会の范長龍(ホァン・チャンロン)副主席が怒り、直前に両国間協議をキャンセルしたものとみられるという。
更に、同専門家は、ベトナム国営企業ペトロ・ベトナムが米石油大手エクソン・モービルと、南シナ海において“ブルー・ホエール・プロジェクト”と称する天然ガス共同探査事業に着手したことにも不快感を表しているともみている。すなわち、両社が対象とした掘削リグは、南シナ海の西沙(パラセル)諸島近海にあるため、中国の南シナ海戦略(同海域の大部分を中国主権範囲と主張)にとって“大きな打撃となる先例”となると考えられるからである。
6月20日付米
『ザ・ディプロマット』オンラインニュース:「フィリピン・ドゥテルテ政権下で初の米比合同軍事演習」
米比両軍は6月19日、反米的なロドリゴ・ドゥテルテ大統領就任後初めて、合同海上軍事演習を開始した。ただ、同大統領が、米国同盟国としての伝統より、中国やロシアとの連携強化に努めると公言してきていることから、同軍事演習規模はかなり縮小されている。
フィリピンは1995年、ASEANの他7ヵ国とともに、“協力海上即応訓練(CARAT)”協定を米国と結んで以降、合同海上軍事演習を継続してきたが、同大統領就任後、この継続が危ぶまれていた。
6月19日付フィリピン
『GMAニュース・オンライン』:「ASEAN高官、日本の軍艦に搭乗して南シナ海航行に同行」
日本の防衛省の6月19日発表によると、ASEAN高官が同日、シンガポール停泊中のヘリコプター搭載護衛艦“いずも”に搭乗して、4日間の南シナ海監視航行に同行することになったという。更に、来日中のASEAN防衛関係者が6月20日、自衛隊による3日間の災害救助訓練を視察する予定であるという。
安倍政権はかねて、中国の海洋進出に懸念を表明しており、この一環で、南シナ海問題に関わるASEAN諸国との防衛連携強化を狙ったものと考えられる。
なお、日本政府は先週、MASTA出席のタイ・ベトナム・フィリピン・インドネシア・マレーシア・シンガポール防衛関係者を招いて、防衛セミナーを開催している。
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