オーストラリアなど他国でもコロナウィルス感染拡大への不安から、政府が在庫は不足していないと強調しているのにもかかわらず、トイレットペーパー等の集団買占めが起きているという。
3月4日付英国
『METRO』は「コロナウィルスによる買占めで世界的なトイレットペーパー不足」との見出しで以下のように報道している。
ウィルスの感染拡大により、当局が必要ないと強調するなか、消費者はモノの買い溜めを始めている。米国マサチューセッツ州の店では、トイレットペーパーが品薄になっている。ベルリンでも十分な在庫があるのに、スーパーの棚が空になっているという。似たような現象はオーストラリアでも。...
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3月4日付英国
『METRO』は「コロナウィルスによる買占めで世界的なトイレットペーパー不足」との見出しで以下のように報道している。
ウィルスの感染拡大により、当局が必要ないと強調するなか、消費者はモノの買い溜めを始めている。米国マサチューセッツ州の店では、トイレットペーパーが品薄になっている。ベルリンでも十分な在庫があるのに、スーパーの棚が空になっているという。似たような現象はオーストラリアでも。トイレットペーパーがネットでトレンドワードとなり、法外な値段で売られているという。シドニーのスーパー「ウールワーズ」のある店舗では、買占めをしている人に向かってナイフを突き出した事件も起きている。
イギリスの首席科学顧問パトリック・ヴァランスは、(このような状況に)惑わされて買占めする必要はない、買い溜めする必要はないと述べている。
同日付英国『BBC』は「コロナウィルス パニック:なぜトイレットペーパーの買占めが起きるのか?」との見出しで以下のように報道している。
オーストラリアではコロナウィルスへの不安から、政府が在庫は不足していないと強調しているのにもかかわらず、トイレットペーパーの集団買占めが起きている。トイレットペーパーは多くの国では自国生産が基本である。しかし、最大都市シドニーでは、一人4個まで決めていても、スーパーの棚が数分で空になる。警察によると水曜にはトイレットペーパーを買占めをしている客同士で口論になり、客がナイフを持っているとの通報があったという。
ソーシャルメディア上では、「#toiletpapergate」や 「#toiletpapercrisis」 がトレンドとなり、トイレットペーパーが数百ドルで売買されている。また公衆トイレからも盗まれる程に事態は深刻化しているという。
買占めは他国、ウィルス感染のより深刻なシンガポールや日本、香港でも同様だ。先月香港では、武装した強盗がトイレットペーパーを盗み、米国でも買占めが起きているとの報告もある。
オーストラリアでは、コロナウィルスによる初の死者が出た週末から買占めが始まった。感染者数も増加し、当局は、手洗い等を推奨。生活必需品に加え、必要な場合は2週間分の食糧や水を備蓄するよう勧めた。するとトイレットペーパーや長期保存食等の需要が高まったが、買占めをしないよう政府は勧告。スーパーは十分在庫はあると強調し、製造元であるクリネックスは、需要に合わせて24時間の生産体制を取っているとしている。
消費者心理学専門家は、これはソーシャルメディアやニュース報道により掻き立てられた集団心理の典型だと指摘する。サウスウェールズ大学のニチカ・ガーグ助教授は、隣の人もあの人も買っていたら、自分も買わなくてはいけないと思う心理、逃すことへの不安や恐怖心(FOMO)が働いているとする。
中国では、トイレットペーパーのはティッシュやナプキンの代わりにもなると考えられる。医学的な資源に使えるという考えはオーストラリアにはまだないが、買占めは不安に端を発している。オーストラリア人は、日用品の買い占めをしたことはあるが、森林火災やサイクロンなどの自然災害の場合だけで、一定地域のみだった。
コロナウィルスの場合は、収拾のめどが立たず、状況がより悪化するとの不安から、こうするしか策がないため準備しておこうという心理が働く。また別の消費者専門家は、これは「モノの不足に慣れておらず、欲しいものは選んで買うことに慣れ、それを維持しようとする」現代の利便性を最優先とする、都市化社会や生活を表す現象だとしている。
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