プーチン大統領;バイデン大統領から”人殺し”呼ばわりされて、オンライン・ライブ会合で話をつけようと挑発【米・ロシアメディア】(2021/03/19)
既報どおり、ジョー・バイデン大統領(78歳)は、アジア同盟国と協調して傍若無人な中国を包囲しようとしている。また、欧州においても、欧州連合(EU)との関係を修復して、対ロシア政策で連携していく方針である。そうした中、同大統領が米テレビのインタビューで、野党勢力代表アレクセイ・ナワルニー氏(44歳)の暗殺未遂事件の黒幕にウラジーミル・プーチン大統領(68歳)がいると間接的に認めたことから、これに激怒したプーチン氏がバイデン氏に対して、オンライン・ライブ会合で話をつけようと挑発している。
3月19日付米
『Foxニュース』:「プーチン大統領、バイデン大統領に対して“オンライン・ライブ”会合で話をつけようと挑発」
ウラジーミル・プーチン大統領は3月18日、ロシアメディアのインタビューに答えて、ジョー・バイデン大統領とすぐにでも“オンライン・ライブ”会合で話をつけようと挑発するコメントを出した。
これは、バイデン大統領が同日の米メディアの番組で、2020年米大統領選へのロシアの介入疑惑報告を踏まえて、“ロシアに責任を負わせる”と発言していたことに対抗したものである。...
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3月19日付米
『Foxニュース』:「プーチン大統領、バイデン大統領に対して“オンライン・ライブ”会合で話をつけようと挑発」
ウラジーミル・プーチン大統領は3月18日、ロシアメディアのインタビューに答えて、ジョー・バイデン大統領とすぐにでも“オンライン・ライブ”会合で話をつけようと挑発するコメントを出した。
これは、バイデン大統領が同日の米メディアの番組で、2020年米大統領選へのロシアの介入疑惑報告を踏まえて、“ロシアに責任を負わせる”と発言していたことに対抗したものである。
プーチン大統領は、“時間をおかず、公開の場で、かつ生中継の形で討議するようバイデン大統領に提案する”と言及した。
プーチン氏は、両大国の首脳がかかる形で討議することは、両国民のみならず国際社会にとっても興味深い話となろうとも付言した。
バイデン氏は、『ABC』ワシントン支局長のジョージ・ステファノプロス氏(60歳、クリントン政権時にホワイトハウス広報部長)とのインタビューで、ロシア野党勢力代表のアレクセイ・ナワルニー氏の暗殺未遂事件に関わったとされるプーチン氏は“殺人者”かと問われて、“そう思う”とコメントもしていた。
ホワイトハウスのジェン・サキ報道官(42歳)は同日の記者会見で、バイデン大統領が自身のコメントについて後悔しているかと問われ、即座に“全く”と否定した。
そして、“大統領は単刀直入の質問に、単刀直入に答えたに過ぎない”と付言した。
なお、プーチン大統領は、オンライン・ライブ会合を、3月19日でも3月22日でも可能な限り速やかに行うことを提案したが、もし来週になるなら、週末はロシア北部の針葉樹林地帯に行って“少しリラックス”してくると語った。
一方、米国家情報長官事務所が3月16日に公表した、2020年大統領選でロシアが反バイデン派世論に影響を与えようとしたとの調査報告を踏まえて、バイデン大統領が“ロシア側にすぐにでも責任を取らせる”と発言したことを受けて、ロシア側は抗議の意味で、駐米ロシア大使を本国に召還している。
同日付ロシア『RT(ロシア・トゥデイ)』:「米大統領報道官、プーチン大統領のオンライン・ライブ会合の呼びかけに対して、“大統領は超多忙”として不受諾」
サキ報道官は3月18日の記者会見で、プーチン大統領からのオンライン・ライブ会合の呼びかけに対してどう対応するのか問われ、“大統領はプーチン氏と既に会談している“とした上で、”他にまだ協議できていない外国首脳が多くいる“として、否定的な回答をした。
また、同大統領がプーチン氏を“殺人者”と認めるような発言をしたことに対して、同報道官は、“バイデン政権は国家的相互利益を求めて行動していく所存だが、大統領は懸念することに関してコメントを控えることはしない”として、前言を撤回する考えがないと言及した。
なお、オバマ政権及びトランプ政権下で、ロシア側が全否定している疑惑、例えば2016年米大統領選への介入疑惑を理由として、何度も何度も対ロシア制裁が講じられてきたことから、米ロ関係は完全に冷え切っている。
バイデン政権は発足当初、米ロ戦略兵器削減条約(新START)延長に同意し、前政権とは対ロ政策で違う側面を示すとみられていた。
しかし、ホワイトハウスは今週、米国家情報局がリリースした、2020年米大統領選にロシア介入疑惑があるとの調査報告を踏まえて、新たな追加制裁を講じる意向があると表明している。
ただ、同調査報告には、ロシア介入疑惑を示す証拠が一切示されていない。
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ベラルーシの独裁大統領;反政権派抗議行動に音を上げてロシアの強権大統領の助けを求めて訪ロ(2)【米・ロシアメディア】(2020/09/18)
9月12日付GLOBALi「
ベラルーシの独裁大統領;反政権派抗議行動に音を上げてロシアの強権大統領の助けを求めて訪ロ」で報じたとおり、6選を果たしたと宣言しているアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、一時はウラジーミル・プーチン大統領に敵対する態度を取っていたが、反政権派抗議行動が1ヵ月余りも続いていることに音を上げて、訪ロの上でプーチン大統領の支援を直接訴えることとした。プーチン大統領としても、反政権派の後押しをする欧州連合(EU)及び米国を苦々しく思い、軍事・警察力のみならず資金援助の手を差し伸べることになった。そして更に、ロシアの諜報機関トップが、米国が反政権派に資金援助等を行ってベラルーシ政権転覆を図ろうとしていると非難声明を出した。
9月16日付米
『AP通信』:「ロシアの諜報機関トップ、米国がベラルーシ反政権派を扇動していると非難」
ロシアの諜報機関トップは9月16日、米国がベラルーシの反政権派を扇動しているため、彼らの抗議行動が鎮静化せず6週間余りに及んでいると非難した。
反政権派は、8月9日の大統領選で不正があったため、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領の当選は無効であるとして、それ以来同大統領の退陣を求めて毎週末に大規模抗議デモを繰り広げてきている。...
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9月16日付米
『AP通信』:「ロシアの諜報機関トップ、米国がベラルーシ反政権派を扇動していると非難」
ロシアの諜報機関トップは9月16日、米国がベラルーシの反政権派を扇動しているため、彼らの抗議行動が鎮静化せず6週間余りに及んでいると非難した。
反政権派は、8月9日の大統領選で不正があったため、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領の当選は無効であるとして、それ以来同大統領の退陣を求めて毎週末に大規模抗議デモを繰り広げてきている。
そして、米国及びEUも、同選挙が自由でも公平でもなかったと非難し、同大統領に反政権側との対話を要求しているが、同大統領はこれを拒否している。
そうした中、ロシア海外諜報局(1991年に旧ソ連のKGB後継組織として設立)のセルゲイ・ナリシーキン局長が9月16日、米国が反政権派に数千万ドル(数十億円)の資金援助をして抗議活動を扇動していると非難する声明文を発表した。
同局長は更に、“かつての「カラー革命(注後記)」と同様の事態を引き起こそうと企んだもので、全くベラルーシ市民の利益とはならない”と強調した。
一方、9月14日に訪ロしたルカシェンコ大統領と4時間に及ぶ会談をしたウラジーミル・プーチン大統領は、15億ドル(約1,575億円)をベラルーシに融資すると発表している。
ベラルーシの反政権派は一斉に抗議の声を上げたが、ロシア大統領府のドミートリィ・ペスコフ報道官は、ロシアはルカシェンコ大統領が合法的に選出された首脳だと認めていると表明した。
同報道官は、反政権派代表のスベトラーナ・チハノフスカヤ氏から出されている、ルカシェンコ大統領が自ら退陣すれば安全は保証するとの提案について報道陣から質問されたところ、“正規に選出されたルカシェンコ大統領は、退陣含めて何ら対応する必要はない”と断言した。
一方、ロシアから強力な支援を取り付けたルカシェンコ大統領は、西側諸国がロシアを意図的に孤立させようとしていると非難した上で、ロシアとベラルーシは軍事協力を強化し、自分たちを敵視している北大西洋条約機構(NATO)に対抗するため共同軍事演習も実施していくと表明している。
なお、ロシアは今週初め、空挺部隊をベラルーシ南西端のブレスト(ポーランド国境付近の都市)に派遣して9月25日まで軍事演習をすると発表している。
同日付ロシア『RT(ロシア・トゥデイ)』:「ロシアのナリシーキン諜報局長、米国がベラルーシ暴動を扇動していると非難し、ルカシェンコ大統領も同意」
ルカシェンコ大統領は9月16日、ロシアのナリシーキン諜報局長による米国介在の暴動非難声明に続いて、西側諸国は何十年も前から、東欧諸国の混乱を引き起こしており、それはカラー革命と呼ばれているが、今回の米国の介入もそれに倣ってベラルーシを混乱に陥れようとしているものだ、と非難した。
なお、ナリシーキン諜報局長は、“米国は表立って行動していないが、裏で反政権派を操って、大規模抗議デモ等の組織活動を支援している”とし、“実際問題、米国が2019年及び2020年初めに、反政権派の基となる複数のNGO団体に約2千万ドル(約21億円)を支援し、ベラルーシ大統領選の遥か前から反政権運動を準備させてきている”とも付言している。
(注)カラー革命:2000年ごろから、中・東欧や中央アジアの旧共産圏諸国で民主化を掲げて起こった一連の政権交代を指す。これらの政権交代劇では、政権交代を目指す勢力が、特定の色や花を象徴として採用したり、メディアの報道においてそれらが当てはめられることが多かったため、そう呼ばれた。2000年のセルビア(旧ユーゴスラビア)のブルドーザー革命、2003年のジョージアのバラ革命、2004年ウクライナのオレンジ革命、2005年キルギスのチューリップ革命等がある。
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