中国、政治的対立続くも人的交流活発化で米に歩み寄り【米メディア】(2024/02/18)
中国は、不動産不況等に端を発した景気後退に喘いでいて、米国とは政治的緊張関係は続くものの、何とか関係修復の道を開きたい意向とみられる。何故なら、昨秋以降、姉妹都市・州となっている米側関係者を頻繁に中国に招き入れるだけでなく、今後5年間で5万人の米学生を招待しようとしているからである。
2月17日付
『ボイス・オブ・アメリカ(VOA)』(1942年設立の国営メディア)は、中国が、米中対峙の中、米姉妹都市との交流再開に努めていると報じた。
景気後退に喘ぐ中国は、米中間で政治的緊張関係が続く最中、人的交流再開・活発化を通じて、米国との関係修復に努めている。
具体的には、①米学生の中国留学の促進であり、②米中姉妹都市・州間の交流再開である。...
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2月17日付
『ボイス・オブ・アメリカ(VOA)』(1942年設立の国営メディア)は、中国が、米中対峙の中、米姉妹都市との交流再開に努めていると報じた。
景気後退に喘ぐ中国は、米中間で政治的緊張関係が続く最中、人的交流再開・活発化を通じて、米国との関係修復に努めている。
具体的には、①米学生の中国留学の促進であり、②米中姉妹都市・州間の交流再開である。
①については、習近平国家主席(シー・チンピン、70歳、2012年就任)が、米留学生数が6、7年前の約1万5千人から、2022年350人、2023年700人と激減していることを憂慮し、今後5年間で5万人の米学生を招聘するとぶち上げている。
その一環で、先月にはアイオワ州のマスカティ高校の一行が訪中していて、来月もワシントン州タコマの高校生グループが、姉妹都市の福建省福州市に招待されている。
また、②については、昨秋のカリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(56歳、2019年就任)の訪中を皮切りに、既に二十人余りの米市長らが中国を訪問している。
これは、米中西部中国協会(2003年設立、米中部21州が所属)が企画・実行したもので、昨年10月に訪中した主な首長は、ミネソタ州ロチェスターのキム・ノートン市長(66歳、2019年就任)、ミズーリ州コロンビアのバーバラ・バッファロー市長(43歳、2022年就任)、テネシー州シェルビー郡のリー・ハリス首長(45歳、2018年就任)、ミシシッピー州ジャクソンのチョクウェ・ルムンバ市長(40歳、2017年就任)、及び同州オックスフォードのロビン・タネヒル市長(50代半ば、2017年就任)らである。
そのうち、ノートン市長は『VOA』のインタビューに答えて、“中国滞在中は会う人は皆親切で、とても貴重な経験ができた”とし、“特に、中国文化に触れ、また、気候変動問題について協議できて大変有意義であった”と述懐した。
また、同訪中ミッションの旗振り役を務めたNPO米中関係全国委員会(1966年設立)のジェシカ・ビセット専務理事(40代、2011年入会、2019年理事就任、2024年現職)は、“米中が緊張関係にある中、首長レベルの交流によって、両国間でどのような協力や関係構築が必要かが分かるし、また、地方経済の発展にも寄与することになろう”とコメントしている。
更に同専務理事は、“昨年の景気後退を受けて、中国の地方政府の首長は、特に米国の州・都市の首長との交流を望んでおり、国務省もこの動きを歓迎している”とも付言した。
一方、この動きに異議を唱える人たちは、中国による台湾や南シナ海への軍事侵略、新疆ウイグル自治区、チベット、香港への人権侵害や対応など、より大きな懸念から注意をそらすための取り組みの一環ではないかと懸念している。
例えば、米保守系シンクタンクのゲイトストーン・インスティテュート(2012年設立)のゴードン・チャン上級研究員(72歳)は、“このような交流は即刻中止すべきだ”と主張する。
“何故なら、中国共産党政府は、自国の主張を通すために断固かつ容赦ない対応を取ってきており、米国とのあらゆる接点を活用して、米国の力を減じようとしているのであり、そのためには手段を選ばないからだ”と警鐘を鳴らしている。
これに対して、ビセット専務理事は、“確かに、州・都市の首長は、先端技術や知的財産分野での中国との連携には慎重であるべきだ”としながらも、“しかし、両国は国家安全保障を口実に、如何なることをも詮索できるとするべきではない”と反論している。
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中国軍の台頭抑止で日米同盟強化(2023/01/12)
日米は11日、岸田総理の訪米に向けた外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)で、敵基地攻撃力運用での協力で一致した。一方、米国防長官は、台湾周辺の軍事活動は中国の侵攻兆候との見方に否定的見方を示している。
1月12日付
『ロイター通信』:「中国軍事活動、台湾侵攻兆候との見方に疑問」:
ロイド・オースティン米国防長官が11日、台湾周辺での中国軍事活動の台湾侵攻への深刻な兆候との見方に疑問を呈した。
オースティン氏は、ブリンケン米国務長官と日本の代表との共同会見で、「海峡での航空活動の増加や台湾周辺での水上艦の活動増加が見られるが、それが侵攻が差し迫っていることを意味するかについては非常に疑問視している」と述べた。...
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1月12日付
『ロイター通信』:「中国軍事活動、台湾侵攻兆候との見方に疑問」:
ロイド・オースティン米国防長官が11日、台湾周辺での中国軍事活動の台湾侵攻への深刻な兆候との見方に疑問を呈した。
オースティン氏は、ブリンケン米国務長官と日本の代表との共同会見で、「海峡での航空活動の増加や台湾周辺での水上艦の活動増加が見られるが、それが侵攻が差し迫っていることを意味するかについては非常に疑問視している」と述べた。
11日付米『VOA』:「中国軍の台頭抑止で日米同盟強化」:
11日、日米は南シナ海や台湾周辺へ進出する中国を阻止するための戦略的挑戦と計画行動を行うことで一致した。これらの行動には、沖縄基地の米海兵隊再編や、宇宙及び軍事技術での協力合意が含まれている。
中国が台湾海峡において「ニューノーマル」を作り出そうとしている一方、オースティン米国防長官は、これが台湾侵攻に差し迫った脅威と同格とみなすことはできないとし、「中国は数十年にわたり維持されてきた平和と安定を崩そうとしているが、我々は静かに断固としたアプローチを継続していく」としている。
11日の共同声明で、日米はより高度な反撃能力の保有にむけたインド太平洋における軍事強化として、2025年までに沖縄に新たに第3海兵隊沿岸連隊をおき、艦船攻撃能力などの向上を図るとしている。
米戦略国際研究センターの最新報告書では、「台湾有事の際、米国が日本の基地を使用できなければ戦闘活動は行えない」としている。
日本は、日米の戦略協力強化として、今後5年間で軍事予算をおよそ倍増し、初めて他国を標的とするミサイルを配備する国家安全保障戦略を打ち出しており、英国とも軍事協定を結んでいる。
12日付ロシア『スプートニク』:「米国防長官:中国軍船活動は台湾侵攻危機との見方に疑問」:
オースティン米国防長官は会見で、台湾周辺で中国の海軍活動が増加したことが侵攻の兆候であるとの見方に疑問を呈した。
台湾情勢は、米国のペロシ前下院議長が昨年8月に台湾を訪問して以来、ここ数ヶ月緊張状態が続いている。
日本は北朝鮮の核開発の進展や中国の軍事増強にともない、安全保障能力の強化に乗り出している。
先月日本メディアは、反撃能力の強化計画を報じた。今後五年で、防衛能力開発のため380億ドルの予算を投じるとされる。
日米は、安全保障に関し中国との対話を続けていくとしている。林外務大臣は、「中国と建設的で安定した関係を築くことが重要」だとし、数週間後に中国を訪問予定のブリンケン米国務長官は、「日米は中国と複雑かつ重要な関係にある」としている。
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