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【Globali】
観光ブーム等により金融危機を脱したアイスランド経済(2017/03/14)
2017年3月13日の 『CNBC』は、アイスランドが2008年の金融危機以降8年以上にわたって続けてきた資本規制を終了すると報じている。アイスランド財務省は声明を出し、金融危機の中で通貨と経済を安定させてきた資本規制の廃止は、アイスランドの国際金融市場への復帰の完了を意味するとしている。国際送金等を制限する資本規制は3月14日から解除される。アイスランドのベネディクト・ヨハネッソン財務・経済担当大臣は、過去1年間、政府とアイスランド中央銀行は、通貨の保護、国際収支問題への取り組み、アイスランド経済へのショックの緩和に焦点を当てた段階的かつ測定されたプロセスを通じて、これらの規制を解除してきたと述べた。金融危機以降、アイスランドの景気回復は観光ブームに支えられている。アイスランド観光局によると、2016年には約180万人がアイスランドを訪れ、前年度から40%増加した。アイスランドの2016年の国内総生産(GDP)は家計支出、投資、急増する観光に支えられ7.2%の成長となった。またアイスランドの比較的高い金利が注目され、通貨クローナは過去1年間でユーロに対して18%上昇した
一方、2017年3月9日の 『DW』はアイスランドの経済復活の要因が観光のほかにも女性重視の国の政策にあるとしている。3月8日、政府は均等賃金基準を導入し、25人以上の従業員を雇用するすべての雇用者に対し、同じ価値の仕事に対してどの従業員にも同等の給与を支払うことを義務付ける予定であると発表した。政府は2022年までに性別による格差を根絶しようとしている。アイスランドは世界経済フォーラムによる男女平等ランキングで世界一となっているが、依然としてアイスランドの女性は男性の同僚よりも平均で14~18%低い収入しか得ていない。...
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一方、2017年3月9日の 『DW』はアイスランドの経済復活の要因が観光のほかにも女性重視の国の政策にあるとしている。3月8日、政府は均等賃金基準を導入し、25人以上の従業員を雇用するすべての雇用者に対し、同じ価値の仕事に対してどの従業員にも同等の給与を支払うことを義務付ける予定であると発表した。政府は2022年までに性別による格差を根絶しようとしている。アイスランドは世界経済フォーラムによる男女平等ランキングで世界一となっているが、依然としてアイスランドの女性は男性の同僚よりも平均で14~18%低い収入しか得ていない。
また2016年10月18日の 『Vox』は米国からの旅行者増を例に取り、アイスランドの観光客が急増した理由を紹介している。アイスランド観光局が外国人旅行者の追跡を開始した1949年には5,312人が訪れた。2011年に事態は急変し、2016年には2010年の3倍以上の161万人となり、2017年には200万人近くが見込まれる。2016年には32.5万人の米国人がアイスランドを訪れた。現在アイスランドの人口は33.2万人であるため、2017年はアイスランドへの米国人観光客がアイスランドの人口を上回りそうだ。それではなぜ、アイスランドの観光客が急増しているのか。第一にアイスランドのエイヤフィヤトラヨークトル火山が2010年4月に噴火したことだ。この噴火はヨーロッパの航空業界に一週間の運行停止を引き起こすなど多大な影響を与え、数週間にわたって国際的にニュースの見出しを飾った。当時アイスランドは金融危機の後遺症で経済不振となり観光産業もあえいでいた。第二にここでアイスランド観光局が火山の噴火で世界の注目を集めているのを機会に、観光客を誘致するキャンペーンを行ったことだ。アイスランドは、「アイスランドに触発されて」と題する踊り、歌、氷河、フィヨルド、および温泉につかる女性を紹介するプロモーションビデオをリリースしてソーシャルメディアで大きな評判となった。また観光インフラを強化した。2010年から2014年の間に、登録ツアー運営者数は約175人から776人に増加した。個人による宿泊施設も増えた。第三に航空運賃が安くなったことだ。2012年以前には、米国からアイスランドへの航空運賃はピークシーズンに1,500ドルの費用がかかった。2012年、アイスランドに本拠を置くWOW Airはヨーロッパからアイスランドへの格安便を提供し始めた。2015年には北米へと拡大した。これがアイスランドへの観光を促進した。この記事を書いている時点で、米国からアイスランドへの平均運賃は他のヨーロッパの主要観光地への航空運賃の中央値よりも26%安い。アイスランドへの1月のフライトは最低380ドルで予約できる。大手のアイスランド航空の提供するストップオーバーに関する販売戦略も人気を集めている。第四に他のヨーロッパ諸国がテロによる混乱で旅行者から避けられているのに対してアイスランドは世界で最も安全な国の一つとして注目を集めている。最後にアイスランドがインスタグラム世代にとっても注目を集めていることだ。米国からそれほど遠くないにもかかわらず、別の惑星にいるように感じる魅力をアイスランドは持っているとする見方がある。
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