フランスでは24日に議会上院選が行われ、地元メディアによる開票結果では、エマニュエル・マクロン大統領の中道政党「共和国前進」は伸び悩み、27議席と2議席減らして敗北を宣言した。上院で野党に譲歩を強いられる等、今後の政権運営に影響が出る可能性もある。
上院で多数派を構成する最大野党の右派共和党は159議席と17議席増やし、引き続き上院第一党の座を保った。左派野党の社会党は7議席減の79議席、ルペン党首率いる極右政党の国民戦線は、現在の2議席からの上積みを狙ったが、新たな議席を確保できなかった。
仏上院は定数348で任期は6年。3年毎にその約半数を改選する。今回は171の議席が争われた。国民の直接選挙で選ばれる国民議会(下院)とは異なり、約76,000人の国や地方の議員らによる間接投票で議員を選出する。...
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上院で多数派を構成する最大野党の右派共和党は159議席と17議席増やし、引き続き上院第一党の座を保った。左派野党の社会党は7議席減の79議席、ルペン党首率いる極右政党の国民戦線は、現在の2議席からの上積みを狙ったが、新たな議席を確保できなかった。
仏上院は定数348で任期は6年。3年毎にその約半数を改選する。今回は171の議席が争われた。国民の直接選挙で選ばれる国民議会(下院)とは異なり、約76,000人の国や地方の議員らによる間接投票で議員を選出する。そのため2016年4月に立ち上げたばかりで、まだ地方議会での基盤が弱い共和国前進にとっては不利な戦いとなり、下院のような躍進はないと考えられていたが、同党ではそうした中でも、非改選の議席と合わせ、改選前の29議席から、40-50議席程度にまでは勢力を拡大できるのではないかと期待を持っていた。
4-5月の大統領選と6月の下院選での地滑り的な勝利から僅か4カ月だが、労働者の権利を縮小する労働法の改定等の労働改革や、学生への住宅支援の見直しといった財政支出の削減等の政策によって、マクロン大統領の人気は急落、支持率も当初より大幅に下がっており、共和国前進も国家的な勢力としての地位を固めるのに苦慮している。そしてそれらの政策は、上院で投票する地方議員にとっては、自治体への補助金を3億ユーロ(約400億円)も削減したり、自治体のための財源とされる固定資産税を80%の国民について廃止したりする等、受け入れ難いものであった。
仏上院のジェラール・ラルシェ議長は、「投票者は明らかに国会で対抗する力を求めていることを示した。それはバランスの取れた民主主義にとって必須のものだ。」と述べている。
24日に明らかとなった、ある新聞の最新の世論調査によれば、マクロン大統領の支持率は先月の40%から45%へと少し回復した。今後マクロン大統領にとっては、上下両院で他党の協力を得て全議席の5分の3、すなわち555議席の勢力を確保できるかどうかが注目されている。それは、2018年半ばまでに憲法を改正し、国会議員の数を3分の1削減する等、大統領が目指している改革を実現するために必要な人数だ。下院では共和国前進の313議席を核に、400議席程度が集められるので、上院では約160議席を集めなければならない。
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