11月13日、一人の男性兵士が北朝鮮から非武装地帯(DMZ)を超えて韓国へ亡命を試みたが、その際に4名の北朝鮮兵士に銃撃され、重傷を負った。同兵士は韓国の病院で緊急手術を受けたが、執刀した医師団によると、男性の体内から大量の寄生虫を発見したと発表した。中には体長27センチにおよぶものや、通常は犬に寄生するはずのものも見つかったという。担当外科医のリ氏は「20年以上外科医をやっているが、このような状況は教科書以外では見たことがない」と述べた。
専門家は胃の内容物であるトウモロコシの芯やこれら寄生虫から、これまで脱北者たちが語ってきた北朝鮮の一般的な食糧事情、衛生環境と一致するとしている。ソウル大学医学部で寄生虫研究が専門のチョイ・ミンホ医師は「北朝鮮の健康状態を示す正確な数字はないが、医学の専門家たちは、寄生虫感染の問題など深刻な健康問題が国内で起こっている」とし、「北朝鮮の衛生状況と寄生虫の問題を鑑みると、兵士の状況は不思議ではない」と述べた。
また感染症に詳しいロンドン大学衛生熱帯大学大学院のデービッド・ヘイマン教授は「B型肝炎は主に不衛生な針や注射器、または性行為を通じて感染する」と述べ、これが蔓延することはその地域の不衛生な環境を表していると語った。
これら寄生虫が蔓延した背景には下肥とよばれる人糞を使用した肥料と関連があるとみられている。1970年代に用いられていた化学肥料の国からの支給が減り、90年代以降、寄生虫リスクがあるにもかかわらず大量の下肥が使われるようになり、いまだに「最高の肥料」という理由で使われ続けているという。
亡命した男性兵士の寄生虫などは除去され、現在は容態が安定しているという。
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