米宇宙企業スペースXは米東部時間23日(日本時間24日)、ロケットにより衛星60機の打ち上げに成功した。衛星1万2000機を使用して巨大通信網を形成し、宇宙からインターネットサービスを提供する「スターリンク」計画の最初の衛星群となる。
『AFP通信』『BBC』などの報道によれば、スペースXは、米フロリダ州のケープカナベラルから、衛星60機を搭載したロケット「ファルコン9」を無事に打ち上げた。衛星は約1時間後から順次軌道上に展開され、同社はツイッターで軌道投入の成功を発表した。
当初、打ち上げは前週に予定されていたが、強風のため、そしてソフトウエアの更新が必要となったため、2度延期されていた。ロケットが高度450キロに達すると衛星群が宇宙空間に放出され、推進エンジンによって順次高度550キロの軌道上に配置された。...
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『AFP通信』『BBC』などの報道によれば、スペースXは、米フロリダ州のケープカナベラルから、衛星60機を搭載したロケット「ファルコン9」を無事に打ち上げた。衛星は約1時間後から順次軌道上に展開され、同社はツイッターで軌道投入の成功を発表した。
当初、打ち上げは前週に予定されていたが、強風のため、そしてソフトウエアの更新が必要となったため、2度延期されていた。ロケットが高度450キロに達すると衛星群が宇宙空間に放出され、推進エンジンによって順次高度550キロの軌道上に配置された。これは国際宇宙ステーション(ISS)より若干高いが、大半の人工衛星よりは低い位置である。こうした衛星で最も高いものは、地上約3万6000キロの静止軌道上に置かれている。
衛星群は、米ワシントン州・シアトル近郊のレドモンドにある同社施設で製造され、1機あたりの重量は227キロ(500ポンド)。スターリンク計画は、800の衛星が稼働した時点で本格運用が開始されるため、それまでにさらに10回以上の打ち上げが必要だ。数が非常に多くなるため、衛星は宇宙ゴミとの衝突を自動的に避けるよう設計されており、部品の殆どは大気圏突入の際に、すぐ燃えるようにできているという。
大富豪であるイーロン・マスク氏が率いるスペースXは、民間企業による宇宙開発競争において、ロケットの打ち上げで優位に立っている。同社が次に狙うのは、宇宙空間を利用した未来のインターネット市場で大きなシェアを獲得することだ。
低軌道衛星群によるインターネット網構築については、英国が拠点の新興企業ワンウェブも取り組んでおり、米アマゾンも3,000機以上の衛星を打ち上げる「プロジェクト・クイパー」と呼ばれる同種の計画を推進している。スペースXのスターリンク計画は、今回の打ち上げの成功で、他社に大きく先行することになる。
スペースXによれば、同社の衛星を利用したブロードバンド網は、ネット環境の乏しい地域も含めて地球上のどこからでも、携帯電話などによってアクセス可能であり、他社との競争力ある手頃な価格で提供されるという。同社は、本インターネット提供による収益を、マスク氏の次の目標である月や火星への探査ミッションに使いたい意向を示した。
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