フランス国家倫理諮問委員会(CCNE)は、政府が6月15日からの12~15歳へのワクチン接種を発表した1週間後に、青少年へのワクチン接種に関する意見を発表した。CCNEは、「未成年者に、成人人口の一部のワクチン接種の拒否 (または接種が困難であること) の責任を負わせることは倫理的なのだろうか」と問いかけ、未成年接種に対する承認の速さを遺憾に思うことを明らかにした。
『ルモンド』によると、政府が6月15日からの未成年へのワクチン接種を承認したことに対して、CCNEは意見書で、「いくつもの指標が好転し、9月の新学期開始からの接種開始でも間に合いそうな今、ワクチン接種を開始する絶対的な緊急性はあるのだろうか」と問いかけている。
CCNEはまた、18歳未満の子どもではコロナに感染しても重篤になるケースが非常に稀であり、ワクチン接種による個人的な利益は「身体的な健康に対しては限定的」であると主張している。...
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『ルモンド』によると、政府が6月15日からの未成年へのワクチン接種を承認したことに対して、CCNEは意見書で、「いくつもの指標が好転し、9月の新学期開始からの接種開始でも間に合いそうな今、ワクチン接種を開始する絶対的な緊急性はあるのだろうか」と問いかけている。
CCNEはまた、18歳未満の子どもではコロナに感染しても重篤になるケースが非常に稀であり、ワクチン接種による個人的な利益は「身体的な健康に対しては限定的」であると主張している。
人口の80~85%にワクチンを接種する必要がある集団免疫の目標を、「成人へのワクチン接種だけで達成できるとは思えないものの、成人人口の一部がワクチン接種を拒否している(あるいは接種が困難である)ことに対して、集団的利益の観点から未成年者に責任を負わせることは倫理的に問題があるのではないか」と問いかけている。
また、諮問委員会は、「予防接種を拒否する青少年に対し非難の声が上がるリスク」や、予防接種と引き換えに約束された「通常の生活への回復」が、「変異株の登場によって損なわれた場合、ワクチンへの信頼を失うことになる」という点も提起している。また、「青年期におけるこれらの新しいワクチンの安全性」に関する情報が不足していることから、副作用についての「医薬品安全性監視モニタリングの導入」を推奨している。
『レゼコー』によると、CCNEは、現段階では「青年期におけるこれらの新しいワクチンの完全な安全性を保障することはできない」と強調し、ファイザー社が実施した12~15歳を対象とした研究は、ワクチンの有効性を明確に示すにはサンプルが少なすぎるとしている。
しかし、青少年にワクチン接種をすることは、間接的に子供たちの利益につながる可能性があるとも指摘している。「学校外での授業やバランスのとれた食事へのアクセスが物理的に不可能」な青少年や、うつ病や睡眠障害など、社会的不平等を拡大させる環境に置かれている青少年がいるためである。しかし、ワクチン接種で感染の媒介者になる心配がなくなれば、コロナ以前の生活に戻り、規制や制限から解放されることができる。
ただしCCNEは、国民の80~85%にワクチンを接種しなければ、ウィルスの侵入を防ぐことができないと言われている中、成人の20%はワクチン接種を望んでいないため、風疹のように、妊婦やお腹の赤ちゃんを守るために子供にワクチンを注射する「利他的ワクチン接種」の原則を採用するという策は、最善の解決策ではないとしている。まずは大人がきちんとワクチンを接種することで若者へのワクチン接種を避けることを呼びかけている。特に、流行が収まっている時期には、「検査、追跡、隔離」をもって対応することで感染拡大を抑えることができるはずだと指摘している。
諮問委員会はさらに、ワクチン接種する際には親の同意だけではなく「公衆衛生法は、未成年者の同意も考慮する義務を主張している」ため、「ワクチン接種時の医療従事者との非常に短い時間のやりとり」の中で、本人のちゃんとした理解と合意が取れるかどうかは疑問であると指摘している。諮問委員会としては、中学校と高校で集団接種を行うという考えは支持していないようである。
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