国連の気候変動と生物多様性に関する政府間パネルは、気候変動への取り組みと生物多様性は切り離せない問題で、多様性を守る対策の多くは気候変動解決にもなると提言している。また、バイオエネルギー作物や、大気中の二酸化炭素回収なども生物多様性へ大きなダメージとなると警告している。
6月10日付
『AP通信』は「国連:地球温暖化対策と同時に多様生物を守るべき」との見出しで以下のように報道している。
10日、国連の気候変動と生物多様性の喪失を調査する科学者による政府間パネルは合同報告書で、世界は地球環境を守るため気候変動と生物多様性喪失の危機に同時に取り組み、どちらか一方ではなく両方を解決する対策を講じなければならないとした。
同時にこれら二つの問題への解決策は存在するが、温暖化問題の解決策の中には動植物の絶滅を早めるものも含まれているとする。...
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6月10日付
『AP通信』は「国連:地球温暖化対策と同時に多様生物を守るべき」との見出しで以下のように報道している。
10日、国連の気候変動と生物多様性の喪失を調査する科学者による政府間パネルは合同報告書で、世界は地球環境を守るため気候変動と生物多様性喪失の危機に同時に取り組み、どちらか一方ではなく両方を解決する対策を講じなければならないとした。
同時にこれら二つの問題への解決策は存在するが、温暖化問題の解決策の中には動植物の絶滅を早めるものも含まれているとする。報告書の著者の一人でドイツのカールスルーエ工科大学の生物学者アルムット・アーネス博士は、「とうもろこしなどのバイオエネルギー作物の利用拡大や大気中の二酸化炭素を除去し回収する方法などの施策があるが、インドの2倍ほどの広大な土地の利用が必要で、生物多様性へ大きなダメージとなる」としている。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)でドイツの生物学者Hans-Otto Portner氏は、「気候変動と多様性喪失は、人間社会だけでなく、人間の健康にも脅威を及ぼしている。双方の問題を同時に解決する多くの方法がある」と指摘する。気候変動問題の解決策の中には、生物の多種性を失う可能性のあるものも含まれるが、絶滅を減らす努力は解決策として無駄でないという。
同日付仏『フランス24』(AFP通信引用)は「気候変動問題と生物多様性喪失は同時に取り組むべき課題:国連政府間パネル」との見出しで以下のように報道している。
世界は気候変動と生物多様性喪失という二つの問題へ同時に取り組まなくてはならないと国連専門家委員会が提言。地球温暖化対策として、生物多様性と生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)と気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が初めて協働し議論を報告書にまとめた。
気候変動と生物多様性喪失という二つの脅威は互いに影響し合っているが、歴史的に別の問題と見なされてきた。報告書では、現在提案されている多くの温暖化対策の多くは自然に悪影響を与えるとしている。これにはバイオエネルギー食物の植え付けも含まれる。また、森林のない場所へ二酸化炭素吸引目的で植林することも生物多様性や食物生産に悪影響となるとしている。
また、報告書では砂漠化や漁業乱獲など、自然を破壊する活動への補助金は停止すべきと結論づけている。同時に、個人の消費習慣の変化の必要性を強調。エコシステムを維持することが最も低費用で最速の気候問題解決策で、穀倉地帯や放牧システムの管理向上は年間30~60億トンの二酸化炭素排出削減と同じ効果があるとする。
IPCCのHoesung Lee委員長は、「気候変動と生物多様性喪失の両方が社会への脅威となる。年々、その影響が増している。この報告書は気候分野と生物多様性の科学者が協力した「重要なステップ」となるとしている。
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