スポーツ界では、女子アスリートの性的画像問題が深刻化しているが、東京五輪のドイツ体操女子チームが、従来のレオタードではなく足が隠れるユニタードを採用し、セクシャライゼーション問題への抗議を示したと話題になっている。
7月26日付
『ロイター通信』は「ドイツ体操選手、フルボディスーツで選択の自由アピール」との見出しで以下のように報道している。
東京五輪体操で25日、ドイツ女子チームがフルボディスーツを着用。チームによると、これは女性が快適に思うものを着る選択の自由を広めるためだという。チームは、レオタードと足まで伸びたレギンスが組み合わさった赤と白のユニタード姿で競技に臨んだ。22日のトレーニング時にも同様のものを着用し、競技本番もユニタードが選択肢にあるとしていた。...
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7月26日付
『ロイター通信』は「ドイツ体操選手、フルボディスーツで選択の自由アピール」との見出しで以下のように報道している。
東京五輪体操で25日、ドイツ女子チームがフルボディスーツを着用。チームによると、これは女性が快適に思うものを着る選択の自由を広めるためだという。チームは、レオタードと足まで伸びたレギンスが組み合わさった赤と白のユニタード姿で競技に臨んだ。22日のトレーニング時にも同様のものを着用し、競技本番もユニタードが選択肢にあるとしていた。チーム全体で本番のウェアについて話し合ったところユニタードに決まったという。
21歳のサラ・フォス選手は、「女性として成長する過程で、体の変化に対応するのは難しいこと。長くても短くても、皆が快適に感じるよう、着るものを選択できるのだと示したい」、「皆に勇気を持って後に続いてもらうため、我々が模範となりたい」としている。
同チームは今年4月にも、欧州選手権大会でユニタードを着用したことで、いち早くスポーツの性的画像問題への対抗を示していた。ドイツチームのユニタードは他国選手らからも称賛され、ノルウェーのユリエ・エリクセン選手は、「大舞台に立ち、世界中の女子に、何を着てもよいのだと示した勇気は本当に素晴らしい」としている。
ここ数年、スポーツ界では性的、身体的虐待事件が多発しており、アスリートを守るための新たな安全基準を設ける動きが加速している。女子体操選手に関しては、標準ウェアはレオタードで、ロングタイプ、ハーフサイズタイプ、袖なしタイプが認められている。国際大会では足が隠れるウェアが認められているが、殆どの場合、宗教的理由による例外として採用されてきた経緯がある。
7月25日付米国『ワシントンポスト』は「ドイツ体操選手、ユニタード着用で安心感を。セクシャライゼーションへ対抗」との見出しで以下のように報道している。
日曜の東京五輪予選で、ユニタードを着たドイツ女子体操選手は、通常のレオタード姿の他国の選手より際立っていた。ドイツ体操チームが最初にユニタードを着たのは、4月の欧州大会。当時ドイツ体操協会は、ユニタードの採用は、スポーツのセクシャライゼーションへの対抗の意図があるとしていた。
体操競技の男子は、競技内容によって緩めの短パンか長ズボンを着用できるが、女子の場合は、どの年齢の競技でも、膝上までカットされたレオタードと決まっていた。一方、文化や宗教的理由に対応するため、レオタードと同色のレギンス付きユニタードも認められていた。
米コロラド大学の心理学者で、女子選手のセクシャライゼーションに関する著者のエリザベス・ダニエルズ教授は、「性的虐待等に関しても、選手とコーチ側との力関係の問題により、選手はこれまで声を上げられないと思っていた。それ故今回、ユニフォームについて選手が声を上げ始めたことは象徴的だ。選手が声を上げることで、更に国内や国際的にも事件防止につながっていくだろう」としている。
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