既報どおり、米中両大国の多方面での鍔迫り合いが激化している。そうした中、中国が、自国内の事態を棚に上げて対キューバ追加制裁を行う米国を非難するとともに、キューバを支援していくと宣言している。
8月4日付
『ニューズウィーク』誌:「中国、“制裁はもう沢山!”とし、キューバを支援していくと米国に対して警告」
中国政府はこの程、ジョー・バイデン政権が対キューバ追加制裁を発動したことに関し、米国に対して、数十年続く制裁をいい加減に止めるよう要求するとともに、今後とも共産党同志であるキューバを支援していくと表明した。
米国務省は先月末、これまでのキューバ軍や治安維持部隊の幹部に対する制裁に加えて、キューバ警察に対する追加制裁を発動している。...
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8月4日付
『ニューズウィーク』誌:「中国、“制裁はもう沢山!”とし、キューバを支援していくと米国に対して警告」
中国政府はこの程、ジョー・バイデン政権が対キューバ追加制裁を発動したことに関し、米国に対して、数十年続く制裁をいい加減に止めるよう要求するとともに、今後とも共産党同志であるキューバを支援していくと表明した。
米国務省は先月末、これまでのキューバ軍や治安維持部隊の幹部に対する制裁に加えて、キューバ警察に対する追加制裁を発動している。
これは、キューバ政府の新型コロナウィルス(COVID-19)感染対策の不備や市民の自由を制限する措置に抗議して、7月に行われた市民デモに対して、同警察部隊が厳しい取り締まりを行ったことを非難してのものである。
かかる事態を受けて、中国外交部(省に相当)の報道官が8月4日、“中国政府は、米国が「自由」、「人権」、「民主主義」といった名を借りて、他国に対して一方的な制裁を科し、かつ、他国の内政に干渉することに対して断固反対する”と表明した。
更に同報道官は、“直近で米国政府が発動した対キューバ制裁は、国際関係で尊重すべき基本的原則を無視し、かつ、米国特有のダブルスタンダードに基づいたイジメ以外の何ものでもない”とも非難した。
米国による対キューバ経済制裁は、冷戦時代(1945~1989年)の初期、1959年のフィデル・カストロ(1926~2016年)率いる革命政権の誕生以来、60年余りも続いている。
当該制裁は、バラク・オバマ政権(2009~2017年)の下で一度は回避されたが、ドナルド・トランプ政権(2017~2021年)で復活している。
そして、ジョー・バイデン大統領(78歳)は、オバマ政権下で副大統領職にあったにも拘らず、新政権としてトランプ政権を踏襲して対キューバ制裁を継続している。
そこで、中国外交部報道官は、“国連含め、国際機関の多くが、キューバの人権や経済発展を阻害する経済制裁に反対しているにも拘らず、これを無視して対キューバ制裁を継続することは看過できない”とし、“COVID-19問題で更に状況が悪化しているキューバを支援するため、中国政府は諸々の経済的援助を行っていく”と宣言している。
一方、キューバ側でも、米国が直近で発動したキューバ警察に対する制裁を猛烈に抗議しており、ブルーノ・ロドリゲス・パリージャ外相(63歳)は8月4日、“米警察こそが、市民への乱暴な取り締まりをして1千人余りを殺害しておなり、そのうちの73%が黒人やヒスパニック系という有様だ”として、反発している。
なお、バイデン政権は、キューバにおける不当なデモ取り締まり等に関して、国連人種差別問題担当のE.テンダイ・アキウム特別報告官及び少数民族問題担当のフェルナンド・デ・バレンズ特別報告官による同国訪問調査を求めている。
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