9月22日付
『ワシントン・ポスト』紙:「ワクチン接種センター宛に“大虐殺”を引き起こすと犯罪予告を行った容疑者がファックスを使用」
組織的犯罪グループの一員だと臭わして、週末(9月19日)に東京のCOVID-19ワクチン接種センター宛に、ある男が“大虐殺”を引き起こすとの犯罪予告を通知してきた。
この男が使用していたのは、日本の典型的通信手段であるファックスで、“殺人予告”とのタイトルを付していた。...
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9月22日付
『ワシントン・ポスト』紙:「ワクチン接種センター宛に“大虐殺”を引き起こすと犯罪予告を行った容疑者がファックスを使用」
組織的犯罪グループの一員だと臭わして、週末(9月19日)に東京のCOVID-19ワクチン接種センター宛に、ある男が“大虐殺”を引き起こすとの犯罪予告を通知してきた。
この男が使用していたのは、日本の典型的通信手段であるファックスで、“殺人予告”とのタイトルを付していた。
日本では、当局含めてファックス通信からの脱却を試みているが、実際には非常に多くの人たちがファックス依存から離れられない状況となっている。
(本紙の若年読者への注釈:ファックスとは、電話回線を通じて文書等を送る機械で、電子メールのように通常郵便に比べて早い送達が可能、但し、固定電話のみからの発受信となる)
印刷文書も手書き文書も当地では重宝されていて、公式記録として最も高い地位にある。
従って、例えば自然災害発生時の予備の通信手段として、多くの自治体がファックス通信に依存している。
ただ、ファックス通信に頼り過ぎると、今回のCOVID-19感染流行問題にあっては、感染者数の把握等が保健所職員による手書きのファックス文書に頼らざるを得ず、迅速かつ正確な集計が不可能であったという事実が明らかになっている。
ファックスに限らず、手書きの文書が重宝されているという慣習から、求職者が求人者宛に提出する履歴書も手書きとされていて、重荷かつ非効率この上ないことである。
そうした中、菅義偉首相(72歳)がディジタル化促進を目論んで、ディジタル庁を創設した。
更に、同首相の後任候補として自民党総裁選に立候補している河野太郎規制改革担当相(58歳)が、脱ハンコのみならず、ファックス通信の取り止めの旗振りを行っている。
しかし、圧倒的な数の官僚から反対の声が上がっている。
彼らによれば、ファックス通信は公共のみならず私企業間においても使用頻度の高い通信手段であるとし、役所との通信手段に電子メールはそぐわないと考えるという。
かくたる事情から、苦情などを表だってさらけ出す人たちにとっても、ファックス通信は頼りになる手段である。
そこで、冒頭に述べた、“大虐殺”の犯罪予告をワクチン接種センター宛に送りつけた38歳の容疑者も、ファックス通信を拠り所とした訳である。
なお、警視庁は9月22日、この犯罪予告を受けて以降、各ワクチン接種センターの安全対策を強化してきていると発表した。
また、『毎日新聞』報道によると、同容疑者は、感染流行問題で失職して不満が蓄積したためにやったと告白しているという。
一方、このようなワクチン接種妨害行為が発生しているものの、日本におけるワクチン接種率は飛躍的に向上していて、9月21日現在、全人口の54%が2回のワクチン接種を済ませている。
また、全人口の30%を占める65歳以上の高齢者に限れば、ワクチン接種率は90%近くになっている。
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