米国は、中国との対峙姿勢を継続していくと標榜しており、特に中国が核心的利益とする「一つの中国原則」に抗って台湾支援の姿勢を強く打ち出している。そして、中国の国連正式加盟50周年に当たって、習近平国家主席(シー・チンピン、68歳)による記念スピーチが予定される中、米国が台湾の国連再加盟実現に向けて運動を展開している。
10月24日付
『ロイター通信』:「台湾と米国、中国の国連加盟50周年を前に台湾の国連再加盟に向けて協議」
米国と台湾の高官が先週、1971年10月25日の「アルバニア決議」(注後記)によって台湾が国連を追われて以来の国連再加盟について、協議を行った。
習近平国家主席は10月25日、中国が台湾に代わって国連の正式加盟国(かつ常任理事国)となって50周年経つことから、全加盟国に向けて記念演説を行うことになっている。...
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10月24日付
『ロイター通信』:「台湾と米国、中国の国連加盟50周年を前に台湾の国連再加盟に向けて協議」
米国と台湾の高官が先週、1971年10月25日の「アルバニア決議」(注後記)によって台湾が国連を追われて以来の国連再加盟について、協議を行った。
習近平国家主席は10月25日、中国が台湾に代わって国連の正式加盟国(かつ常任理事国)となって50周年経つことから、全加盟国に向けて記念演説を行うことになっている。
国連の創設メンバーは台湾(当時の中華民国)であったが、1949年に中国共産党が中華民国政府を打倒し、台湾に追いやって以来、国連における加盟国としての中国の代表権問題が燻り続けていた。
しかし、中国を統治以来、力を付けてきた中国共産党政権が、旧ソ連等の後ろ盾を得て1971年での国連決議を経て、台湾を追放して国連における正式代表権を獲得している。
爾来、中国共産党政権は、台湾は中国の一省だと主張し、台湾には国際社会において独立した国としての活動を一切認めてこなかった。
ただ、米国は、1970年代末の米中国交樹立を契機に「一つの中国原則」を認めるとしながらも、1971年国連決議以前からの台湾支持の姿勢を全くかなぐり捨てることはせず、近年の米中間対峙の状況が強まるにつけて、にわかに台湾支援を公然と打ち出してきている。
かかる背景から行われた米・台湾協議であるが、米国務省が10月23日夕方にリリースした声明によると、米・台湾の高官が10月22日にテレビ会議を行い、“台湾が国連に実質的に加盟できるようにする道筋について協議した”という。
更に同声明では、“米国は、世界保健機関(WHO)や国連気候変動問題国際会議において実のある成果をもたらすため、台湾の参加は意義あることだと信じて止まない”とも言及している。
米・台湾間高官協議に出席したのは、国務省側がヒューゴ・ヨン国務次官補代理(国際機関担当)、リック・ウォーターズ国務副次官補代理(中国・台湾・モンゴル担当)、そして台湾側は在米台湾代表部のワン・リァンユ代表代理(実質的大使代行)である。
台湾外交部(省に相当)は、改めて米国の“確固たる支持”に感謝すると表明している。
一方、中国は、台湾統一を悲願と公表し、台湾に対する政治的・軍事的圧力を強化してきている。
(注)アルバニア決議:1971年10月25日に採択された第26回国連総会2758号決議 「国連における中華人民共和国の合法的権利の回復」を指す。中華人民共和国の友好国であったアルバニアが提案した中華人民共和国に中国の代表権を認め、中華民国(台湾)を追放するとの決議。これを契機として、中華人民共和国が国連の常任理事国として国際社会に登場。
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