日本の2021年度防衛予算は過去7年連続で過去最高を更新している。そうした中、中国・ロシア及び北朝鮮の軍事的脅威が急激に高まっていることを理由に、補正予算7,700億円が計上される見込みとなり、総額がついに6兆円超えとなったと欧米メディアも関心を持って報じている。
11月26日付
『AP通信』:「日本、中国及び北朝鮮の脅威に備えるためとして今年度防衛予算増額を決定」
日本の内閣は11月26日、中国、ロシア、北朝鮮の軍事的脅威が高まっていることから、防衛力強化の一環で、2021年度防衛費として7,700億円(68億ドル)の補正予算を計上することを決定した。
主として、迎撃ミサイル、対潜ロケット弾、その他装備品の追加購入に充てられる。
同補正予算は、国会での承認を得て確定することになるが、最終的な2021年度防衛費総額は6兆1千億円(532億ドル)超となり、2020年度の防衛費5兆3,100億円から実に+15%増加となる。...
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11月26日付
『AP通信』:「日本、中国及び北朝鮮の脅威に備えるためとして今年度防衛予算増額を決定」
日本の内閣は11月26日、中国、ロシア、北朝鮮の軍事的脅威が高まっていることから、防衛力強化の一環で、2021年度防衛費として7,700億円(68億ドル)の補正予算を計上することを決定した。
主として、迎撃ミサイル、対潜ロケット弾、その他装備品の追加購入に充てられる。
同補正予算は、国会での承認を得て確定することになるが、最終的な2021年度防衛費総額は6兆1千億円(532億ドル)超となり、2020年度の防衛費5兆3,100億円から実に+15%増加となる。
防衛省は、“2022年度予算として計上予定の主要な装備品を前広に取得することで、防衛力の強化を一層早め、以て北朝鮮のミサイルや中国の日本領土への軍事的脅威に備えることができる”としている。
直近においても、岸信夫防衛相(62歳)が11月23日、中国軍のH-6戦闘機2機とロシア軍のTu-95戦闘機2機が日本海から東シナ海に向けて飛来したことから、警戒のためのスクランブル発進を仕掛けるに至っていると発表していた。
今回、補正予算が充てられる主な費用項目は以下である。
・国産哨戒機P-1を3機手当て
・ミサイル垂直発射装置の護衛艦2隻への搭載
・迎撃ミサイルPAC-3改良型の取得
・戦闘機用空対空ミサイル購入
・対潜水艦用ロケット弾、魚雷購入
・石垣島新駐屯知地の兵舎建設及び同地への地対艦ミサイル防衛システム配備
同駐屯地の増強は、中国海警局艦が日本の領土としている尖閣諸島領海内にしばしば侵入してきていることに備えるものである。
当該補正予算を含めた2021年度防衛費総額は、これまで日本が上限としてきた国内総生産(GDP)の1%を僅かに超える。
しかし、岸田文雄首相(64歳)は、現下の安全保障環境の悪化状況から、防衛予算の更なる増額も辞さないと述べている。
日本の防衛費は、安倍晋三元首相(67歳)が2012年12月に就任して以来、連続して増額されてきており、更に、同元首相は、2015年には憲法9条の解釈を拡大し、集団的自衛権の行使を認めるとして、有事の際の外国軍隊との協力を可能としている。
なお、これらの政策を批判するグループは、少子高齢化が急速に進む国にあっては、防衛費よりも医療やその他福祉政策にもっと多くの予算を割くべきだと主張している。
同日付『ロイター通信』:「日本の2021年度防衛予算、7,700億円増額で過去最大に」
日本政府は11月26日、2021年度補正予算案に防衛費7,738億円を計上することを決定した。
補正予算としては2019年度の4,287億円を上回り過去最大となり、2021年度の当初予算5兆3,422億円と合わせると6兆円を超える。
この補正予算の中には、追加の迎撃ミサイル・哨戒機・弾薬などの費用に加えて、新型コロナウィルス感染問題で企業の財務が悪化する中、防衛装備品メーカーへの前払いや金利負担を軽減するための費用として4,287億円も含まれている。
なお、防衛省は、2022年度の防衛費として5兆4,797億円を概算要求している。
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