米国が身を引いたアジアの国々で中国の存在感が増すにつれ、中国の利益がイスラム教徒のテロ組織に狙われるようになってきた。特に、不安定な情勢を抱えているアフガニスタンに対して、今、中国の対応力が問われている。
米
『クーリエ・インターナショナル』は、10月初旬にアフガニスタンのクンドゥズのモスクで、「イスラム国のホラサン支部(IS-K)」による自爆テロが発生し、約50人が死亡したことを伝えている。イスラム過激派組織IS-Kは犯行声明を出した際、自爆テロの犯人はウイグル人であり、新疆ウイグル自治区でのウイグル人に対する扱いを知りながらも、中国と密接に協力しているタリバンを罰するための攻撃であることを明らかにした。中国政府にとって憂慮すべき新たな展開となっている。
アルカイダやイスラム国などのテロ組織は長い間、米国や欧米全般、あるいは地元の敵対勢力に焦点を当てていたため、「発展途上国」として見ていた中国を敵対視してこなかった。1990年代の第1次タリバン政権時代には、中国の政府関係者は対話に意欲を見せ、水面下でタリバンと協力する方法を模索してきた。これは、アフガニスタンのウイグル人グループが中国を攻撃するのをタリバンが阻止することを期待して、限定的な投資と支援を行ったと言われている。しかし、今年10月に起こったクンドゥズでの自爆テロは、中国が新たな標的になったことを示している。
仏オンラインニュースサイト『ラントルプロノール』は、中国政府にとって、アフガニスタンは管理すべき問題であり、利用できる相手ではない、と伝えている。中国は、NATOの撤退を歓迎するどころか、隣国で情勢がひどくなることを懸念している。中国は以前から米軍が近くにいることに不満を持っていたものの、8月の米軍の撤退方法には明らかに不満を持っており、「性急な撤退」を繰り返し批判した。
『ラントルプロノール』は、中国は、混沌としたアフガニスタンから得るものは少なく、失うものも多いと主張している。戦争で荒廃した貧しい国では、最低限の設備しかなく、教育レベルも低く、政治的にも将来が不透明であるため、相当な資金を投入することはほとんど不可能である。中国の当面の課題は、治安状況を改善し、武装勢力の脅威を取り除くことだという。
なお、今年の中国政府とタリバンとの天津での会議では、中国はタリバンに対し、過激派テロ集団がもたらすリスクをコントロールするよう求めた。中国外務省の声明では、「アフガニスタンのタリバンが、東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)によって形成されたすべてのテロ組織ときれいに決別することを希望する」とし、中国からの「金融投資を可能にする環境を促進するために、タリバンが独自の努力をする 」ことを伝えていた。
中国はまた、パキスタンとタジキスタンの警備隊を支援し、中国とタジキスタン、アフガニスタンとの国境に小さな基地を整備し、アフガニスタンのバダフシャン州をパトロールしている。
こうした中でも、英誌『ザ・ウィーク』によると、中国国営の「環球時報」が、中国企業5社が現在アフガニスタンで「潜在的なリチウムの現地調査を行っている」と報じたという。「環球時報」はまた、「タリバン当局は会議や公式声明の中で、戦争で荒廃した国を再建しようとする中国企業を歓迎する姿勢を示した。中国政府はまた、人道的援助を提供したり、特定の貿易ルートを再開したりすることで、アフガニスタンの人々に援助の手を差し伸べている」と伝えている。
閉じる