ウクライナ戦争に関し、欧米情報筋の話では、苦戦するロシア側は4万人以上も将兵を失っており、民間のみならず刑務所でも志願兵を求めているという。そうした中、国連による制裁と新型コロナウィルス感染問題で苦境に陥っている北朝鮮が、ロシアからの穀物及びエネルギー資源供給との引き換えに北朝鮮義勇兵10万人をロシアに派遣してもよいと申し出ている。
8月6日付
『ザ・デイリィ・コーラー』(2010年設立の保守系メディア)は、「ロシア国営テレビ、北朝鮮がウクライナ戦争で苦境に立つロシア軍に10万人の義勇兵派遣を提案と報道」と題して、欧米メディアの記事を引用して報道している。
『ニューヨーク・ポスト』紙は8月5日、ロシア国営テレビの報道を引用して、ウラジーミル・プーチン大統領(69歳)が、ウクライナ戦争でのロシア軍を支援するため義勇兵を10万人派遣してもよいとする北朝鮮提案を受け入れることになると報じた。
著名なロシア人国防専門家で、国営テレビ司会者のイゴール・コロチェンコ氏(62歳)が報じたもので、北朝鮮が自ら義勇兵を“ウクライナにおける紛争に派遣してロシア側に加担する”との提案を北朝鮮から受けているとした。
同氏は、“もし北朝鮮がウクライナのファシズムと戦うという国際的な義務を果たしたいと言うなら、ロシアはこれを受け入れるべきだ”と言及したという。
『ロイター通信』報道によると、ロシア軍はウクライナ戦争で多大な将兵や兵器を喪失していることから、北朝鮮がかかる提案をしてきたものとみられる。
英国国防省は、ロシア軍は“数万人の将兵”を失い、またかなりの最新鋭兵器が損壊したことから、ソ連製の旧式武器を使用せざるを得ない程追い込まれていると公表している。
ミシガン州選出のエリッサ・スロトキン下院議員(46歳、2019年初当選の民主党員)は『CNN』のインタビューに答えて、“ロシア軍の将兵は既に7万5千人以上死傷しているだけでなく、陸上部隊の80%以上が進退窮まっている”と語った。
また、英国秘密情報局(MI6、1909年設立)のリチャード・ムーア長官(59歳、2020年就任)が先月末、“ロシア軍は気力を失いつつある”とコメントしていた。
英国『デイリィ・メール』報道によると、ロシア側は、北朝鮮の申し出に対して穀物やエネルギー資源提供で報いるとしたとしている。
北朝鮮義勇兵は、ロシア側が制圧に努めているウクライナ東部のルハンスク人民共和国(LPR)及びドネツク人民共和国(DPR)(注後記)での戦闘に参戦するとみられる。
なお、金正恩朝鮮労働党総書記(38歳)は先月、LPR及びDPRを独立国として認めている。
(注)LPR及びDPR:2014年2月のロシアによるクリミア半島強制併合に準じて、同年4月に一方的にウクライナから独立宣言した親ロシア派反政府組織。
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