中国は、「一帯一路経済圏構想(BRI)」の下で東欧圏との経済連携確立・発展を進めてきている。しかし、当初その構想への参画意思を示していたバルト三国(旧ソ連、1991年8月独立、EU及びNATO加盟国)が、ウクライナ軍事侵攻を続けるロシアへの支持を継続する中国に嫌気がさして、同構想から離脱することを決定した。
8月12日付
『AP通信』は、「ラトビア及びエストニア、中国主導の東欧経済圏構想からの離脱を決定」と題して、中国による台湾政策を非難して一早く中国との関係を断つ決意をしたリトアニアに続いて、ラトビア及びエストニアも、ロシア支持を続ける中国に嫌気がさして中国・東欧圏経済連携構想から離脱することになったと報じている。
ラトビア及びエストニアは8月11日、ウクライナ軍事侵攻のロシアへの支持を続ける中国に嫌気がさして、この程中国主導の東欧経済圏構想から離脱すると発表した。...
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8月12日付
『AP通信』は、「ラトビア及びエストニア、中国主導の東欧経済圏構想からの離脱を決定」と題して、中国による台湾政策を非難して一早く中国との関係を断つ決意をしたリトアニアに続いて、ラトビア及びエストニアも、ロシア支持を続ける中国に嫌気がさして中国・東欧圏経済連携構想から離脱することになったと報じている。
ラトビア及びエストニアは8月11日、ウクライナ軍事侵攻のロシアへの支持を続ける中国に嫌気がさして、この程中国主導の東欧経済圏構想から離脱すると発表した。
両国はリトアニアと共にバルト三国と呼ばれ、長い間旧ロシア帝国や旧ソ連の支配下に置かれた歴史を抱えていて、ロシアによる隣国への軍事侵攻に強い懸念を抱いていた。
しかし、習近平国家主席(シー・チンピン、69歳)が軍事侵攻前の2月初め、ウラジーミル・プーチン大統領(69歳)と会談した際に、両国の協力関係は“無限大”だと宣言しただけでなく、西側諸国が科している対ロシア経済制裁を非難することで、改めてロシア支持の方針を示している。
両国の今回の決断には、一早く中国による台湾政策を非難して台湾接近を表明しているリトアニアに対して、中国が経済・外交両面で懲罰的対応を示したことも影響している。
ラトビア外務省は8月11日付の声明で、“ラトビアとして優先すべき外交・通商の方針に鑑み、中国と中・東欧との経済圏構想から離脱することを決定した”と表明した。
ただ、“今後とも、相互利益、国際法・人権・国際法準拠の国境を尊重するとの原則の下で欧州・中国間関係が続くならば、中国との建設的かつ現実的な関係構築に向けて努力していく意向である”とも言及している。
エストニアも同様の声明を発表していて、“2012年から中国と中・東欧経済圏構想フォーラムに加盟していたが、今年の2月以来、当該フォーラム首脳会議には出席していない”としている。
中国は、習国家主席主導で進めるBRI政策の一環で、中・東欧諸国と“17プラス1”フォーラムを立ち上げ、ユーラシア大陸を横断して鉄道・橋・発電所等のインフラを建設していく構想を進めようとしてきた。
しかし、バルト三国の離脱を受けて“14プラス1”となる。
一方、ナンシー・ペロシ下院議長(82歳、2019年就任)の電撃台湾訪問を理由に、中国が台湾周辺での大規模演習を続けた等もあって、米中関係は直近数十年で最低レベルまで落ち込んでいる。
また、中国は、米同盟国の豪州とも関係がぎくしゃくしているだけでなく、上記演習の一環で発射したミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)に落下したことから、日本からも先週、強烈に非難されている。
更に、韓国も8月10日、前政権が中国の要望を聞き入れて追加配備を停止している米国製ミサイル防衛システムについて、新政権が北朝鮮の脅威を理由として追加配備を行う意思を表明している。
なお、リトアニアのアグネ・バイチウケビチウテ運輸・通信副大臣が8月11日、5日間の台湾訪問の最終日に、台湾との経済連携の重要性を強調しただけでなく、主要7ヵ国及びEUがそれぞれ発表した、中国による台湾威嚇の大規模軍事演習に関わる非難声明を支持する旨表明した。
同副大臣は、“リトアニアは、台湾含めて協調関係を築ける国々と連携していく”とし、“台湾は信頼できるパートナー”だとも言及した。
この報復措置として、中国外交部(省に相当)は8月12日、リトアニアの同省との“如何なる対話”も中止し、また、“(ユーラシア大陸横断の)国際鉄道敷設計画に関わるリトアニアとの交渉”も取り止める、と発表している。
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